関連記事
【小倉正男の経済羅針盤】「トランプ旋風」はアメリカ衰退の証
■アメリカの衰退と中国のゾンビ経済
鉄鋼にしてもセメントにしても、中国の生産・浪費は酷いものである。中国のこの2~3年の鉄鋼、セメントの生産・使用量は、アメリカの20世紀の100年間で生産・使用した量を上回るといわれる。呆れるしかない。
中国は、控えめにみても先行き50年ぐらいまで需要を「先食い」している。GDPで世界2位に上りつめたが、再びまた長いビンボー経済に逆戻りとなる可能性が強まっている。 中国は、超大国たらんとにわかに軍備拡張に狂奔し、顰蹙を買いながら領土拡張に走ったりしている。だが、経済=カネが尽きればそれどころではない。
アメリカにしても、まだ回復途上でしかない。イラク戦争、サブプライムローン危機、リーマンショックと国力を消耗させてきた。アメリカは、ピーク時には、年間1兆ドル超の財政赤字をタレ流した。いまでも5000億ドルを超える膨大な財政赤字が続いている。
中国は、そのアメリカの衰退をみて「誤認」した。中国の高い経済成長率からすれば、いずれアメリカのGDPに追い付き、追い越して、世界トップの超大国になれる――。 しかし、そこに行くどころか、いまや巨大なバブルを膨らませて、にっちもさっちもいかない事態である。習近平が言う「ゾンビ企業」といった次元では済まされない。 中国は、国家・地方政府・国有企業・大銀行が丸ごと「ゾンビ経済」に陥っている。
■居丈高に威張って、おカネは他国が払え・・・
世界経済は、アメリカが牽引する順番なのだが、「トランプ旋風」現象などをみるとアメリカの回復もまだまだの感がする。 ドナルド・トランプが共和党の大統領候補に躍り出ているのは、アメリカの衰退・疲弊と無関係ではないとみられる。
見てくれは過激というか、派手というか、ただし案外内向きでおカネは使わない。トランプの発言では、虫が良いことにおカネはすべて他国が払えということになっている。 メキシコ国境に建設する万里の長城は、メキシコが払え。日米安保は、軍が駐留してやっているのだから、日本が払え。中国はアメリカに輸出するなら、高い関税を払え――。
巨額な財政赤字でおカネがない、アメリカの衰退・疲弊をそのまま反映させたような主張である。アメリカを再び「偉大な国」にするために、「偉大な国」とはいえないような他国払いの政策を声高に主張している。
しかも、居丈高に威張っており、そのうえで他国におカネを払えと――。 共和党内からも「ゆすりではないか」という批判が出ているが、確かに盛り場の用心棒のシノギ交渉といった感がある。 それがトランプの売り物で、批判も多いが、一般の人気を集めているポイントにほかならない。
■トランプVSネオコン
共和党の大統領候補を争っているテッド・クルーズなどは、トランプを「リベラルだ」と批判している。 トランプのどこがリベラルなのかと思うわけだが、クルーズからするとトランプはリベラルな政治家の範疇に入るようだ。
ではクルーズはどうかといえば、ネオコン系であり、最も右翼ということになる。イラク戦争を主導したイデオロギーの政治家で、アメリカの財政を悪化させた保守派ということになる。 クルーズは、アメリカの財政赤字を再び1兆ドル台に拡大しかねない。人気がいまひとつ出ないのはそうした懸念が根底にあるのではないか。
オバマ大統領のようにシリア空爆を土壇場で止めるのも情けないが、ネオコンのように中東を含めて世界のどこでも地上戦も辞さずというのも困る。 となれば、やたらと威張っているが、おカネをそう浪費しないトランプのほうがややましということになる。
■「トランプ旋風」はアメリカ衰退の証
かくてアメリカ一国が繁栄すればそれでよいというトランプの勢いがなかなか止まらない。
「大統領にふさわしくない――」。共和党主流派がなりふり構わずトランプを引き下ろそうとしている。民主党からも同様な酷評がなされている。だが、トランプはそんなことは知らないという調子だ。
世界経済がおかしくなれば、恐慌と戦争の時代になりかねない。アメリカになんとか頑張ってほしいところだが、アメリカ経済が本格回復するかどうかはまだみえない。
トランプが大統領になったら、アメリカを再び「偉大な国」にできるかどうか――。これも彼の髪の毛と同じで本物かどうか何ともいえない。 だが、巻き起こされた「トランプ旋風」は、アメリカ衰退の証であることだけは間違いないといえるだろう。(文中継承略)
(経済ジャーナリスト『M&A資本主義』『トヨタとイトーヨーカ堂』(東洋経済新報社)、『日本の時短革命』『倒れない経営―クライシスマネジメントとは何か』『第四次産業の衝撃』(PHP研究所)など著書多数。東洋経済新報社編集局・金融証券部長、企業情報部長,名古屋支社長・中部経済倶楽部専務理事など歴任して現職)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
【関連記事・情報】
・【編集長の視点】セキドはLEADERS直営1号店新規出店と北海道新幹線開業がドッキングして反発(2016/03/02)
・【株式評論家の視点】ソネット・メディア・ネットワークスはビッグデータ関連、今3月期営業利益53%増益(2016/03/02)
・【編集長の視点】コラボスは続落も下値には3Q最高業績を手掛かりに下げ過ぎ訂正買いは継続(2016/03/01)
・【編集長の視点】京写は高配当利回り買いに来期業績V字回復・増配含み観測が加わって3連騰(2016/02/29)
※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク
