【アナリスト水田雅展の銘柄診断】ワイヤレスゲート下値切り上げて強基調に転換、中期成長力を評価して出直り

2015年4月21日 08:57

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 ワイヤレスブロードバンドサービス事業を展開するワイヤレスゲート <9419> (東マ)の株価は、安値圏3000円台前半でモミ合う展開だが徐々に下値を切り上げている。強基調に転換する動きであり、15年12月期大幅増収増益見通しや中期成長力を評価して出直り展開だろう。なお5月8日に第1四半期(1月~3月)の業績発表を予定している。

 通信事業者からインフラを借り受けてワイヤレスブロードバンドサービス(Wi-Fi、WiMAX、LTE)を提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)である。販売チャネルはヨドバシカメラ、および携帯電話販売最大手ティーガイア <3738> を主力としている。月額有料会員数の積み上げに伴って収益が拡大するストック型収益構造で、社員1人当たり営業利益額の高さも特徴だ。

 中期成長に向けた重点戦略としては、M&A・提携も活用したサービス提供エリア拡大、サービスラインナップ拡充、新規事業推進などを掲げている。

 新規事業では14年1月、法人向けWi-Fi環境イネーブラー(構築運用支援)事業を開始した。公衆無線LAN環境を活用する動きが自治体(災害時通信インフラ)、観光地(外国人旅行客誘致)、商店街(集客力向上)などに広がり、20年東京夏季五輪開催も追い風となって無線LANの需要拡大が予想されるため、クラウド型Wi-Fi環境サービスシステムなど法人向けソリューションサービス提供を拡大する。

 14年8月にはLTE領域ソリューション拡充の一環として、M2M/IoTソリューション「クラウド型みまもりサービス」の販売開始と、訪問看護サービスのNフィールド <6077> との業務提携を発表した。14年11月にはWeb会議システムのブイキューブ <3681> と業務提携、世界200カ国以上に1300万カ所以上のWi-Fiスポットを保有するFon(スペイン)および日本法人フォン・ジャパンと業務協力した。

 なおFonとの業務協力に関して15年3月、日本のWi-Fiインフラ拡充に向けた取り組みを開始すると発表した。20年東京夏季五輪を視野に入れて国内において20万スポットを構築するとともに、Wi-Fiを活用したマーケティング事業をFonおよびフォン・ジャパンと共同で開始し、観光地や商業施設などのパブリックエリアにFonのルーターを活用したWi-Fiエリアを構築する。

 また15年3月には、移動販売者向けプラットフォームを提供するアンデコ社(大阪市)との資本業務提携、およびWi-Fi環境の構築・保守のバディネット社(東京都)との業務提携も発表した。

 観光地や商業施設などに構築するWi-Fiインフラにおいて、アンデコ社の「Mobility-Store Platform」と組み合わせてロケーションコマース事業を共同展開する。このロケーションコマース事業の共同展開に関して、バディネット社のWi-Fiインフラ構築体制とノウハウを活用し、ロケーションコマース・ソリューションの拡大を目指すとしている。

 SIMカードに関しては、14年9月にデータ通信専用「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE SIMカード」の販売を開始し、14年12月には訪日外国人向けデータ通信専用プリペイド型SIMカードの販売を開始した。そして4月13日には、音声機能付き格安SIMカード「ワイヤレスゲート Wi-Fi+LTE 音声通話プラン」の販売を4月28日から販売すると発表した。

 また4月15日には、経済産業省の大規模HEMS情報基盤整備事業「みやまHEMSプロジェクト」のコンソーシアムメンバーである福岡県みやま市に対して、エプコ <2311> と「共同で当社LTE回線の提供を開始すると発表した。M2M/IoTサービス事業の一環としてSIMカードとフリールーターを提供する。なおHEMSは省エネ機器をネットワーク化して家庭の電力利用を一括制御するシステムのことである。

 なお前期(14年12月期)連結業績の四半期別推移を見ると、売上高は第1四半期(1月~3月)20億45百万円、第2四半期(4月~6月)21億59百万円、第3四半期(7月~9月)23億69百万円、第4四半期(10月~12月)25億32百万円で、営業利益は第1四半期2億07百万円、第2四半期2億00百万円、第3四半期1億76百万円、第4四半期2億11百万円である。

 今期(15年12月期)の連結業績見通し(2月12日公表)は、売上高が前期比37.0%増の124億72百万円、営業利益が同69.9%増の13億50百万円、経常利益が同70.8%増の13億48百万円、そして純利益が同71.6%増の8億56百万円としている。配当予想は同1円増配の年間26円(期末一括)としている。

 個人向けでは公衆無線LANサービスやモバイルインターネットサービス「Wi-Fi+WiMAX」「Wi-Fi+LTE SIMカード」「訪日外国人向けプリペイド型SIMカード」などの販売を強化し、法人向けではWi-Fiインフラ事業(環境イネーブラー事業から名称変更)の収益化を目指す。

 会員数(14年12月期末の会員数は50万人)が順調に増加して増収基調だ。増収効果で人件費増加などを吸収し、前期のSIM事業開始に伴うオペレーション費用の影響も一巡して大幅増益見通しだ。中期的にも成長を加速して収益拡大基調が予想される。

なお2月に東京証券取引所本則市場への変更申請取り下げを発表したが、企業統治と執行を強化することによって成長スピードを再び加速し、市場変更準備は今後も継続するとしている。

 株価の動きを見ると、安値圏3000円台前半でモミ合う展開だ。ただし2月安値2653円から徐々に下値を切り上げている。4月15日には3415円まで上伸する場面があった。音声機能付きSIMカード販売開始も好感し、15年12月期の大幅増収増益見通しを再評価する動きだろう。

 4月20日の終値3245円を指標面で見ると、今期予想連結PER(会社予想の連結EPS84円53銭で算出)は38倍近辺、今期予想配当利回り(会社予想の年間26円で算出)は0.8%近辺、前期実績PBR(前期実績の連結BPS224円48銭で算出)は14倍近辺である。

 日足チャートで見ると25日移動平均線がサポートラインの形となって下値を切り上げている。また週足チャートで見ると13週移動平均線に続いて26週移動平均線突破の動きを強めている。強基調に転換する動きのようだ。15年12月期の大幅増収増益見通しや中期成長力を評価して出直り展開だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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