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【社外取締役に訊く 金澤悦子氏】(1)
【2月13日、さくらフィナンシャルニュース=東京】
■どう判断したらいいのか逡巡
編集Y 金澤さんは、昨年7月に株式会社ninoya(東京都港区)の社外取締役に就任しています。どのような経緯だったのですか?
金澤 お話をいただいたのは、そのひと月ほど前でした。私は、働く女性のキャリアをサポートする株式会社はぴきゃりを経営しています。
他の会社の取締役になるということで「どう判断したらよいのか」少し逡巡しましたが、ninoyaの古越社長はwebマーケティングに定評がありましたので、弊社のビジネスとシナジー効果が期待できると思いました。
弊社はセミナーやイベントを行う機会が多く、基本的にはウェブで集客しているので、ninoyaのビジネスにコミットすることで、「共業」できると考えたのです。
実際、はぴきゃりのサイトは現在リニューアル中なのですが、古越社長からは、「なるほど」と思うアドバイスをたくさんいただいています。
編集Y 逆にninoyaさんには、金澤さんを社外取締役に迎えることで、どのような利点があるのでしょう。
金澤 ninoyaは、2014年3月に出来たばかりの若い会社です。はぴきゃりは、細々とではありますが、2005年に創業しているので、それなりに信用と実績があります(笑)。
私自身のキャリアや知識も含めて、「自分たちに足りないところを補ってほしい」と、頼まれました。
現在、スタートアップ企業なので報酬は「ゼロ円」ですが、ninoyaのHPでblogを書かせていただいており、それを見た方から、セミナーの依頼が来ることもあります。報酬に匹敵するものを貰っていると感じています。
■女性社外取締役は増加傾向
編集Y なるほど。安倍政権の成長戦略の一環として、金融庁と東京証券取引所は、上場企業に2人以上の独立社外取締役の選任を求める「コーポレートガバナンス・コード(起業統治指針)」の指針をまとめる方向です。
金澤 そうですね。そうした潮流もありますが、これまで社外取締役といえば、男性がほとんどでした。
最近は、安倍政権が女性の活躍推進を進め、2020年度までに女性管理職(=指導的地位)の割合を少なくとも30%まで引き上げると数値目標を明確にしているので、私のような女性の社外取締役が上場、未上場にかかわらず増えていくと思います。
編集Y 女性の社外取締役を増やすこと自体には、賛成です。しかし、実際に能力に見合った女性がどの程度いるのか疑問です。
また、社外取締役の責任は非常に重い。「経営の監視」が求められるだけでなく、「善管注意義務」や「利益相反禁止」など、遵守しなくてはいけないことがいくつもあります。
金澤 確かに、「何もしない、名義を貸しているだけの社外取締役」は訴訟の対象にもなるということすら知らずに「社外取締役」になっている女性がいることは事実なので、そのあたりはしっかりとした認識を抱いて欲しいと思います。
とりあえず、「女性の社外取締役」を入れて企業のイメージを上げ、利益を出そうとする会社も少なくありません。
もし、社外取締役の依頼がきたら、会社のビジネスモデルだけでなく、経営者やその他の役員の人柄についても、じゅうぶん吟味して決断してほしい。
■自社の利益になる決定の時は場を外す
現在、私は、月に一度、取締役会に出席しています。これは、1時間ぐらいでしょうか。また、お互いのリソースを持ち寄って事業の企画立案をすることもありますが、弊社との取引が議題になる場合は、取締役会の決定の議論からは必ず出ています。
編集Y 経営の監視を徹底するためですね。スタートアップや未上場の企業でも、金澤さんのように社外取締役の役割と責任を認識した上で就いてもらいたいものです。
次回は、金澤さんの経営する「はぴきゃり」について、お話を伺いたいと思います。【了】
金澤悦子/かなざわ・えつこ
株式会社はぴきゃり代表取締役。1991年、現株式会社リクルートホールディングス入社。94年、株式会社キャリアデザインセンターに創業メンバーとして参画。01年、日本初の総合職女性のためのキャリア転職マガジン「ワーキングウーマンタイプ」を創刊し、5000人以上の女性を取材する。現在、『はぴきゃりアカデミー』(http://www.i-color.info/)を運営し、オリジナル素質診断ツール「i-color」を使ったセミナーを通じて、年間300人以上の女性たちを「ココロとサイフが満たされる仕事発見」へと導く。著書に、「ハッピーキャリアのつくりかた」(ダイヤモンド社)等がある。
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※この記事はSakura Financial Newsより提供を受けて配信しています。
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