トヨタ、新素材SiCパワー半導体搭載車両の公道走行で燃費効果を検証

2015年1月30日 15:23

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新素材SiCパワー半導体を搭載したカムリの試作車。2月初めから公道での走行試験を実施する。(写真提供:トヨタ自動車)

新素材SiCパワー半導体を搭載したカムリの試作車。2月初めから公道での走行試験を実施する。(写真提供:トヨタ自動車)[写真拡大]

  • 新素材SiCパワー半導体を搭載したカムリの試作車。2月初めから公道での走行試験を実施する。(写真提供:トヨタ自動車)
  • 新素材SiCパワー半導体を搭載したカムリの試作車。2月初めから公道での走行試験を実施する。(写真提供:トヨタ自動車)
  • 新素材SiCパワー半導体を搭載したパワーコントロールユニット(写真提供:トヨタ自動車)
  • 新素材SiCパワー半導体を搭載したカムリの試作車。2月初めから公道での走行試験を実施する。(写真提供:トヨタ自動車)

 トヨタ自動車は29日、SiCパワー半導体(シリコンと炭素の化合物)の実用化に向けた取り組みの一環として、ハイブリッド車などのモーター駆動力を制御するパワーコントロールユニットに新素材SiCパワー半導体を搭載したカムリの試作車を開発し、2月初めより約1年間、豊田市を中心に公道での走行試験を行うと発表した。

 同社が今回開発したカムリ試作車は、パワーコントロールユニット内の昇圧コンバーターおよびモーター制御用インバーターに、SiCパワー半導体を搭載。同社は、公道走行試験では、走行速度や走行パターン(高速走行、市街地走行、渋滞等)、外気温など様々な走行条件ごとに、パワーコントロールユニット内の電流、電圧などのデータを取得し、現状のシリコン半導体と比べ、新素材であるSiCパワー半導体搭載による燃費向上効果を検証していく。

 さらに同社は、豊田市内の路線バスとして営業運行している燃料電池バスにもSiCダイオードを搭載しており、走行データを取得し、燃費向上効果を検証していくという。

 トヨタは、ハイブリッド車など電動車両の燃費向上において、エンジンや空力性能などの改善はもとより、パワー半導体の高効率化も重要な技術として位置づけており、新素材SiCパワー半導体の早期実用化に向けて、公道走行データを開発に反映していく考えだ。

 パワーコントロールユニットは、走行時はバッテリーの電力をモーターに供給、減速時は回生した電力をバッテリーに充電するなど、ハイブリッド車などの電力利用において重要な役割を担っている。そのパワーコントロールユニットに使われているパワー半導体は、車両全体の電力損失の約20%を占めており、パワー半導体の高効率化、すなわち、電流を流す時の抵抗を低減することが燃費向上に不可欠である。(記事:宮野 浩・記事一覧を見る

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