世界初、分子の自己組織化の時間制御に成功

2014年11月28日 16:23

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(a)ポルフィリン分子1。(b)ポルフィリン分子1が関与できる2種類の自己組織化。粒子状構造が初期に形成されるが、時間経過とともに粒子状構造は消失し、繊維状構造が形成される。(c)分子1の繊維状構造への自己組織化は、約4時間後に開始する(物質・材料研究機構の発表資料より)

(a)ポルフィリン分子1。(b)ポルフィリン分子1が関与できる2種類の自己組織化。粒子状構造が初期に形成されるが、時間経過とともに粒子状構造は消失し、繊維状構造が形成される。(c)分子1の繊維状構造への自己組織化は、約4時間後に開始する(物質・材料研究機構の発表資料より)[写真拡大]

 物質・材料研究機構(NIMS)の杉安和憲主任研究員らによる研究グループは、分子の自己組織化(分子が自発的に集合する現象)の開始時刻を制御する手法を開発することに成功した。

 分子が自発的に集合する「自己組織化」は、自然界で広く見られ、光合成や神経回路など複雑な機能を発揮するシステムの構築に欠かせない現象の一つである。しかし、これまで自己組織化の開始時間を制御する研究はほとんど進んでいなかった。

 2種類の自己組織化構造を有する分子を混ぜ合わせると、一つの分子の自己組織化は素早く起こるが、もう一つの自己組織化は一定時間が経過してから起こる。今回の研究では、この仕組みを利用して、2種類の分子の混合率を変えることで自己組織化が始まる時間を制御することに成功した。

 今後は、好きなタイミングで発光させたり、導電性を変化させたりする高度なシステムの構築、そして時間の経過や外界の環境変化に応じて自律的に機能するスマートマテリアルへの展開が期待されている。

 なお、この内容は「Angewandte Chemie International Edition」に掲載された。

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