ロボットが東大に挑戦!? 広がる人工知能の可能性

2014年11月9日 18:32

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記事提供元:エコノミックニュース

東大赤門を目指す「東ロボくん」の挑戦は去年から始まり、偏差値は去年の45.1から今年47.3へとアップ。少しずつではあるが着実に伸びている。人工知能開発は何かのきっかけで大きく飛躍する可能性もあるため、東ロボくんが東大に合格する日もそう遠くないかもしれない。

東大赤門を目指す「東ロボくん」の挑戦は去年から始まり、偏差値は去年の45.1から今年47.3へとアップ。少しずつではあるが着実に伸びている。人工知能開発は何かのきっかけで大きく飛躍する可能性もあるため、東ロボくんが東大に合格する日もそう遠くないかもしれない。[写真拡大]

 国立情報学研究所などによる研究チームが開発を進めている人工知能「東ロボくん」をご存知だろうか。なんとこの東ロボくん、2021年度までに東大入試合格を目標に開発・研究されている人工知能なのだ。

 11月2日、研究チームは東ロボくんの大学入試センター試験の模擬試験結果を発表した。7科目の合計偏差値は47.3と去年よりも上昇。全国の私立大学約6割強と、国公立大学4校などで合格率80%以上のA判定を記録した。しかし、偏差値70以上がラインと言われる東大合格にはまだまだ時間がかかる見通しだ。とは言え、一般高校生の平均レベルまではあと少し。現役受験生もうかうかしてはいられないだろう。

 東ロボくんは、昨年苦手だった英語の成績が大幅アップ。昨年までは文法の正確さや情報量から問題を読み解いていたが、スマートフォンで用いられる文章認識技術を活用したことで、「文章の流れ」を類推して読解問題に対応できるようになった。データベースにも基づいた統計的な類推とは言え、「人間の会話のキャッチボールや感情の動き」を計算に入れられるようになり、それが英語の成績アップにつながったという。

 もちろんこの人工知能の開発・研究は、東大合格だけが目標ではない。こうして、会話の流れや感情の動きに対する理解力を高めていくことで、ゆくゆくは対人向けのロボットやサービスに応用するのが狙いだ。例えば、自律型の災害用救助ロボットや、外国人向けの観光案内サービスなど、基本はマニュアルに従いつつも、人工知能自身に応用がきけば活動・サービスの幅は大きく広がるだろう。また、開発に関わるNTTコミュニケーション科学基礎研究所によると、そうした会話や感情に対する理解力が高まれば、近い将来、人工知能が人間相手に雑談程度なら行える可能性もあるという。

 まるでSFのような話だが、いつの日か「東ロボくん」に受験生が勉強を教わるような未来も来るのかもしれない。とは言え、東大合格の目標まででも後7年が見込まれている。人間が大学生になり、その後社会人になることで経験を積んでいくように、人工知能の発達もそこから更に数年の研究開発が必要だろう。

 そろそろ受験生には追い込みの季節。体に気を付け、東ロボくんに負けないように受験戦争を乗り切ってほしい。(編集担当:久保田雄城)

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