NYの視点:バーナンキ前FRB議長のシグナル、米債利回り急低下のきっかけに

2014年5月20日 07:01

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記事提供元:フィスコ


*07:04JST NYの視点:バーナンキ前FRB議長のシグナル、米債利回り急低下のきっかけに

バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長は本年の1月末で議長を退任後、夕食会などで講演を行っている。その料金、会費はおおよそ25万ドルと言われている。しかし、こういった会合に参加したヘッジファンドマネジャーなどは「高すぎる」とは考えていない。公の職を退いたあと前議長はこういった機会に、緩和政策や異例な低金利が長期にわたり継続するとの見通しを今までにないほど明確化しているようだ。

前議長は政策が引き締めに転じた後も金利の上昇は非常に緩やかなペースにとどまると予想している。労働市場には金融危機や景気後退(リセッション)から回復する余地がまだあると見ているほか、利上げを支援するにはまだ、経済の停滞があまりにも多すぎるとの見解。前議長はまた、金融状況の逼迫が経済の脅威を創出する可能性が浮上した場合、FRBが利上げをさらに先送りする可能性も指摘したという。ある夕食会で、前議長は財政の引き締め、金融市場の抑制、低い生産性は実質金利の低下を示しており、金融安定における圧力への懸念は正式に政策決定において検討されるべきだと主張したという。

メディア報道によると、数人の参加者は「バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長が自身の生涯において政策金利であるFF金利誘導目標が長期的な平均である4%に戻ることはないと見ている」との印象をもったようだ。米ヘッジファンド、フォートレス・インベストメント・グループのプリンシパル、マイケル・ノボグラッツ氏は「多くの金利・通貨ヘッジファンドは夕食会でのバーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長のヒントを見逃し、長期国債の購入に出遅れた」と述べている。

米金利先物市場ではFF金利誘導目標が4%に戻るのは2022年と見ている。昨年9月時点では2018年だった。前議長が退任した当初の米10年債利回りは3.0%前後で、投資家や市場関係者は年末までに3.4%まで上昇すると予想していた。しかし、今月に入り、米国の債券利回りは急激に低下。10年債利回りは一時13年7月以来の2.5%割れをつけた。バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FRB)議長の「ヒント」が、投資家やヘッジファンドマネジャーの米国債買い戻しにつながっているようだ。他国の中央銀行が追加緩和に踏み切らない限り、ドルは当面伸び悩むことになりそうだ。《KO》

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