米国株式市場見通し:ウクライナ情勢を注視、中期的には影響なし

2014年3月8日 14:27

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記事提供元:フィスコ


*14:27JST 米国株式市場見通し:ウクライナ情勢を注視、中期的には影響なし

週初はウクライナ情勢の緊迫化が嫌気され下落して始まった。インタファックス通信が「ロシアが最後通告を行った」と報じたことで一時下げ幅を拡大する場面もあったが、その後ロシアが同報道を否定し下げ幅は縮小した。また2月ISM製造業景況指数や1月個人所得・支出が予想を上回ったことも支援材料となった。その後ロシアのプーチン大統領がウクライナのクリミア半島を併合する意図はなく、軍事介入も今のところ必要性はないと発言したことで、軍事衝突への緊張が大きく緩和し急騰する展開となった。週半ばになると2月ADP雇用報告が予想を下回ったものの、悪天候による一時的な影響との見方が多く相場の反応は限定的だった。雇用統計では失業率が6.7%へと上昇する一方、非農業部門雇用者数は17万5千人増と予想を上回った。悪天候の影響で下振れする可能性も指摘されていたが、予想外の大幅増加となったことで、量的緩和縮小が少なくとも現在のペースで継続するとの見方が広がり上値も重い展開となった。結局、週を通じて主要株式指数は上昇。

個別ではタバコのレイノルズが同業のロリラードの買収を検討しているとの思惑から両社とも上昇。デルタ航空は2月の旅客単価が4%増となったことで堅調推移となった。ビデオゲーム小売のゲームストップは20%の増配を発表して上昇。一方でペット用品のペットスマートは減益となる決算を発表して下落。オフィス用品のステープルズや家電小売のラジオシャックは決算が予想を下回り急落となった。石油のエクソン・モービルは投資を抑制し2014年の産出量が前年比横這いとの見通しを示したことで軟調推移となった。

今週もウクライナ情勢の進展状況が注目を集めるだろう。アメリカと欧州連合(EU)がロシアに対する制裁発動などに踏み切った一方で、クリミアがロシアへの編入を決議するなど緊張が続いている。もちろん、状況が一段と緊迫化したり軍事衝突が起きる事態となれば、米国株式相場も短期的には売られる局面が想定されるものの、米国経済への実質的な影響は殆どなく、企業業績の中長期的な見通しにも変化はない。ウクライナ情勢を受けて一段安となる場面があれば、絶好の投資機会となるだろう。

経済指標では2月小売売上高(13日)、3月ミシガン大学消費者信頼感指数(14日)などの発表が予定されている。また中国の2月固定資産投資(13日)や鉱工業生産(13日)なども、資源・エネルギー関連銘柄の動意材料となりそうだ。

個別企業ではアパレル小売のアーバン・アウトフィッターズ(10日)やディスカウントストアのダラー・ゼネラル(13日)の決算発表が予定されている。小売セクターは悪天候による業績への影響が警戒されたものの、これまで発表された小売各社の決算は概ね良好な内容が目立っており、決算発表後に見直される例も少なくない。

携帯通信キャリア3位でソフトバンク傘下のスプリントが、同4位Tモバイルの買収を目指している問題で、司法当局が独禁法の観点から難色を示していることが報じられているが、状況の打開に向けてソフトバンクの孫社長が11日にワシントンDCで説明会を開催する予定だ。米国の携帯電話通信業界は、AT&Tとベライゾンの2強による実質的な複占状況にあり、日本や他の先進国と比較してもサービスや料金の面で競争が進んでいないことを訴えるとともに、業界3位と4位が合併することで競争を促し、消費者の利益につながるとの考えを示すことになるだろう。米議会や政府関係者に、スプリントによるTモバイルの買収を後押しする機運が高まるかどうか注目される。《TN》

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