【中国から探る日本株】鉄鋼業界に薄明かり 宝山鋼鉄が4カ月ぶり値上げ、業界PMIも上昇

2013年12月13日 08:03

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記事提供元:フィスコ


*08:03JST 【中国から探る日本株】鉄鋼業界に薄明かり 宝山鋼鉄が4カ月ぶり値上げ、業界PMIも上昇
中国の鉄鋼業界に薄明かりが差し込んでいる。鉄鋼大手の宝山鋼鉄は11日、来年1月分の出荷価格を引き上げる方針を示した。宝山鋼鉄の値上げは9月分以来、4カ月ぶり。値上げ幅は50-100元(約850-1700円)と大きくないものの、需給バランスの改善を映した格好だ。同社の出荷価格は鉄鋼市況のベンチマークとなっており、同業他社もこれに追随する可能性がある。

また、中国物流購買連合会の鉄鋼物流専門委員会が先ごろ発表した鉄鋼業界の11月の購買担当者景気指数(PMI)は3カ月ぶりに上昇に転じた。国内外での景気回復に加え、中国政府による過剰生産問題や環境問題への対策強化といった要素が製品の需給バランスを改善させている。業界団体によると、11月中旬の粗鋼生産量(大型企業を対象に統計)は1日当たり175万トンと、上旬比で0.7%減少した。

今後しばらくは鉄鋼業況が安定するとみられている。新年および旧正月に向けて生産量が大幅に増える可能性が低いほか、大気汚染の深刻化を受けた生産制限が供給のダブつきを改善させるとの見方からだ。ただ、冬場を迎えて中国北部を中心に需要も鈍るため、価格の大幅な上昇にも期待できないという。

また、もう少し長い目で見た場合には、依然として不透明感が強いとの指摘も目立つ。実際、先に挙げた鉄鋼業界の11月PMIは49.0に上昇したものの、依然として好不況の節目となる50を下回っている状況だ。また、少しでも価格が回復すると、鉄鋼メーカーが生産量を増やす傾向が見られ、過剰生産問題の根は深いと指摘されている。《NT》

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