【アナリスト水田雅展の銘柄分析】テラは調整一巡して出直りのタイミング、ヘリオスとの業務提携も刺激材料

2013年12月6日 09:23

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

  バイオベンチャーのテラ <2191> (JQS)の株価は10月の戻り高値圏から反落して水準をやや切り下げたが、足元では調整一巡感を強めて下値を切り上げる形だ。中期成長期待に変化はなく、出直りのタイミングだろう。5日に発表したヘリオスとの業務提携も刺激材料となりそうだ。

  東京大学医科学研究所発のバイオベンチャーで、樹状細胞ワクチン療法を中心とした独自のがん治療技術を契約医療機関に提供する細胞治療技術開発事業と、医療機関から受託する細胞加工施設の運営・保守管理サービスやCROなどの細胞治療支援事業を展開している。

  主力の細胞治療技術開発事業は症例数に応じた収入が収益柱であり、契約医療機関数の増加が収益拡大につながる。8月に北里研究所(東京都港区)、八九十会高尾病院(東京都八王子市)と提携契約、9月にべにばな内科クリニック(山形県山形市)、はちのへファミリークリニック(青森県八戸市)、10月に池田外科・消化器内科医院(岩手県盛岡市)と連携契約を締結し、契約医療機関数は全国で32カ所となっている。

  成長に向けた施策として、13年4月に世界初のiPS細胞を用いた再生医療実用化を目指す日本網膜研究所(現:ヘリオス)に出資、13年5月にがん新薬を中心とした治験支援事業「イメージングCRO」に新規参入するため子会社タイタンを設立した。また13年7月には「免疫制御性樹状細胞の調整法およびその用途」に関する独占的実施権を取得、アンジェスMG <4563> と子宮頸がんの前がん病変治療ワクチンの共同研究・開発の基本契約を締結、そして13年10月には北里研究所と共同で肝細胞がんに対するがん抗原を用いた樹状細胞ワクチン療法の第I相臨床試験の開始を発表した。

  なお12月5日には、出資先のヘリオス(旧:日本網膜研究所)との業務提携に関する基本合意書締結を発表した。iPS細胞を用いたがん免疫細胞療法の開発に向けた検討を開始する。

  今期(13年12月期)連結業績見通し(7月31日に増額修正)は売上高が前期比11.2%増の17億17百万円、営業利益が同29.9%減の1億55百万円、経常利益が同54.4%減の1億円、純利益が同78.4%減の21百万円としている。中期成長に向けた先行投資負担で減益見込みだが、細胞治療支援事業では保守管理サービスの新規受注が寄与して増収見込みだ。提携医療機関数の増加や先行投資の効果などで、来期(14年12月期)以降の収益拡大が期待される。

  株価の動きを見ると、10月の戻り高値圏3500円近辺から反落して11月12日に2560円、11月28日には2521円まで調整する場面があった。しかし足元では2700円近辺まで戻して調整一巡感を強めている。12月5日の終値は2662円だったが、一時は前日比108円(4.12%)高の2730円まで上伸する場面があった。日足チャートで見ると25日移動平均線を割り込んでいるが、週足チャートで見ると26週移動平均線近辺で下げ渋り、下値を切り上げる形だ。出直りのタイミングだろう。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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