NYの視点:米11月雇用統計、ポジティブサプライズの思惑

2013年12月5日 07:02

印刷

記事提供元:フィスコ


*07:02JST NYの視点:米11月雇用統計、ポジティブサプライズの思惑

米国労働省は6日にワシントンで11月雇用統計を発表する予定だ。この統計は、12月17-18日に開催される連邦公開市場委員会(FOMC)で米連邦準備制度理事会(FRB)が資産購入の行方を決定する上で鍵を握ると見られている。先行指標は雇用が順調に拡大していることを示唆している。米国の大手給与計算アウトソーシング会社ADP(オートマティック・データ・プロセッシング社)が発表した民間部門の雇用統計の11月分は前月比21.5万人増と、市場予想の17万人増を上回り1年ぶりの大幅な伸びとなった。10月分も+13万人から+18.4万人に上方修正された。ただ、10月初旬の米国政府機関閉鎖の影響が続いている可能性を指摘する懐疑的な見方もある。ムーディーズのチーフエコノミスト、マーク・ザンディ氏は11月の雇用統計で非農業部門雇用者数が20万人増近くになる可能性も指摘。ただ、同氏はFRBがQE縮小に向かっているものの、開始には今後数ヶ月かかると見ている。

また、ISM(米供給管理協会)が発表した11月製造業景況指数の雇用項目は、53.2から56.5へ上昇し2012年4月以来で最高。11月の雇用統計が市場にポジティブサプライズを与える可能性も出てきた。一方、全米のサービス業活動を示すISM非製造業指数の雇用は52.5と5月来で最低。米国経済の3分の2を消費が占めるためこの指標に特に注目されていたが、結果はQE縮小を必ずしも正当化するものではない。

雇用統計が予想を大幅に上振れた場合、FRBは現在各月850億ドル規模で実施している資産購入を100-150億ドル規模ほど縮小せざるを得なくなる。早期のQE縮小を見込み、米国債券相場は下落。10年債利回りは2.85%手前まで上昇し9月17日以来の高水準で推移している。9月17-18日に開催された米FOMCで米FRBは市場の予想に反し、米国財政問題の不透明感などから量的緩和第3弾(QE3)の縮小を見送った。米国債券相場では、9月のFOMC時と同水準の確率でQE縮小を見込んでいると考えられる。

●11月雇用統計先行指標

■米・10月ADP雇用統計
前月比+21.5万人(予想:+17万人、10月:+18.4万人←+13万人)

■米ISM製造業景況指数
雇用:56.5(10月53.2)2012年4月以来で最高

■米ISM非製造業景況指数
雇用:52.5(10月56.2)、5月来で最低

■シカゴ購買部協会指数(PMI)
雇用:60.9(10月57.7)

■フィラデルフィア連銀景況指数

◎現況
雇用者数:+1.1(10月 +15.4)6月来で最低
週平均就業時間:-8.6(+8.5)5月来で最低

◎6ヶ月見通し
雇用者数:+26.9(+27.2)
週平均就業時間:+17.2(+9.3)

■リッチモンド連銀製造業景況指数

◎現況
雇用者数:+6(10月+4)
週平均就業時間:+12(-1)

◎6ヶ月見通し
雇用者数:+16(+13)
週平均就業時間:+2(+5)

■NY連銀製造業指数

◎現況
雇用者数:0(+3.61)6月来で最低
週平均就業時間:-5.26(+3.61)7月来のマイナス

◎6ヶ月先の見通し
雇用者数:+22.37(+7.23)
週平均就業時間:-3.95(+2.41)

■消費者信頼感指数

◎現状
雇用
十分:11.8%(10月11.6%)
不十分:54.2%(53.5%)
困難:34.0%(34.9%)

◎6ヶ月見通し
・雇用
増加:12.7%(16.0%)
減少:21.7%(22.6%)
不変:65.6%(61.4%)
・所得
増加:14.9%(15.7%)
減少:15.9%(15.5%)
不変:69.2%(68.8%)

●市場エコノミスト米11月雇用統計予想
失業率:7.2%(10月:7.3%)
非農業部門雇用者数:前月比+18.3万人(+20.4万人)
民間部門雇用者数変化:前月比+17.9万人(+21.2万人)《KO》

関連記事