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「懐疑」のなかの相場環境下では新株価指数から外れた日経225銘柄に瀬踏み先駆高を期待=浅妻昭治
<マーケットセンサー>
日経平均株価は、前週末15日に今年5月の年初来高値1万5942円まであと908円と迫る続急騰を演じた。市場には、さぞかしガンガンの強気観測が溢れ返っているのかと思ったら、そうでもないようだ。意外に慎重というか、どちらかといえば冷めたマーケット・コメントが多い。東証1部の業種別週間騰落率ランキングでみても、1位が証券・商品先物取引、2位が倉庫・運輸関連と、米国のダウ工業株30種平均(NYダウ)の連日の最高値更新、先物主導型で相場が引っ張られている割りには、ややディフェンシブ関連への銘柄シフトがみられた。
この業種別傾向は、思い起こせばちょうど1周年を迎えた「アベノミクス相場」の初動段階とウリ二つである。昨年11月14日の野田佳彦前首相の解散・総選挙表明を引き金に、日経平均は8664円から今年5月高値まで83%の棒上げを演じたが、このときの初動段階の急騰の瀬踏み役を演じたのは、主力輸出株というより内需系の含み資産系の銘柄群であった。確かにあのときのテレビ中継された党首討論での野田前首相の解散・総選挙表明は、サプライズではあったが、サプライズをそのままサプライズと素直に受け止めるにはいささかの逡巡があったことも確かだった。それは、野田発言を受けた当時の安倍晋三自民党総裁のテレビ画面に大写しにされた顔の表情にも如実に読み取れたところで、それが、相場そのものものにも波及、まず市況敏感特性の証券株、含み系の倉庫株への打診買いから入る相場展開につながった側面があった。
前週末11月16日付けの日経平均夕刊のコラムには、米国の著名投資家ジョン・テンプルトンのあの有名な相場サイクル理論の箴言の「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、陶酔の中で消えていく」が引用されていた。米国市場が、このサイクルのどの段階にあるかウオッチが怠れないとするのがコラムニストの提議であったが、東京市場も、この相場サイクルのどの段階にあるによって、当然、相場への対処方法も異なってくる。
投資サイクル理論の観点からすると、昨年11月からのアベノミクス相場の初動段階にしろ、前週末の急騰にしろ、なお東京市場は、「懐疑」のなかで強弱感が対立しているとみられるフシがある。買い気はあることはある。手元のマネーも潤沢である。ところが買い気とはウラハラに、あれこれ理屈を並べ立てて買いの手が引っ込んで伸びない。くだけていえば「買いたい弱気」である。無理もない。株高と円安が、別々のメカニズムで起こっているようにもみられるからだ。
株高は、米国のFRB(連邦金融制度理事会)が、量的緩和策第3弾(QE3)の縮小を先延ばししたことによるリスクマネーの流入拡大を期待する金融相場を背景にしている。ところが、このメカニズムからすれば、日米の金利差は縮まり、円高に進むはずなのにもかかわらず円安の進行である。まさか11月14日に麻生太郎財務大臣が発した為替介入シグナルが、効きすぎたわけではないだろうが、金融緩和が長期化するなかでの円安進行である。今年の5月天井では、バーナンキFRB議長の金融緩和縮小示唆の議会証言で、相場はハシゴを外されて急落してしまったのである。いくら景気重視のハト派のイエレンFRB副議長が、次期議長に指名されているとはいっても、いつ何時、緩和縮小の決定が行われるか警戒は怠れないことになるわけだ。
こうした「懐疑」のなかでの相場環境下では、定石通りにまず周辺株からの打診買いから入って、新規資金の流入を図りつつ、徐々に相場エンジンのアクセルを踏むこんでゆく相場シナリオの再現は十分に想定範囲内となる。とすれば、前週末に急騰した証券株、倉庫株に続く次の先駆セクターは何になるかという問題に行き着く。中心となるのは、日経平均株価の構成225銘柄となるのは間違いないが、そこで一工夫、来年1月6日から算出開始となる新株価指数の構成銘柄から外れた64銘柄からアタック銘柄をセレクトしてみたい。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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