米株式:下落、18日の上昇分取り消す

2013年9月23日 23:45

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記事提供元:フィスコ


*23:45JST 米株式:下落、18日の上昇分取り消す

米株式市場

SPXは下落し、18日の上昇分を取り消している。一方で、先週末20日の下落時からの傾向としてスモールキャップでなすラッセル2000が大きく売られておらず、本日もSPXが下げを牽引している。

先週末、投票権を持つセントルイスのブラード連銀総裁は「過去のテクと住宅がバブルだったことは隠し事ではない。現在、資産に大きなバブルの兆候なし」と述べていたが、先週レポートした通り、「バーゲンを見つけていない、現在買いに値するものを探すのは困難」(バフェット氏)、「概して、株式市場はオーバーバリューされている」(アイカーン氏:両氏共にCNBCにて)と現在の株式市場は買われ過ぎとの意見が多く聞こえる。

18日に毎月850億ドルでの資産購入維持を発表した連銀関連では、今週は連銀幹部による発言・講演が多く予定されており、23日は投票権を持つニューヨークのダドリー総裁、持たないロックハート・アトランタ連銀総裁、午後には来年投票権を持つダラス連銀のフィッシャー総裁となる。以前、「9月に縮小開始するシナリオを否定しない」と発言していたロックハート総裁は寄り付き直後に資産購入を支持しており、ダドリー総裁は「失業率の低下は現在の状況を物語っていない」「経済は依然非常に緩和的な政策が必要」と発言しており、依然同様のドヴィッシュな発言をなしている。また、ダドリー氏は、「6.5%の失業率に至るには多くの時間を必要かもしれない」とも指摘しており、18日のバーナンキ議長による利上げのタイミングは失業率が6.5%を「大きく」上回った後、との見解に沿っている。ダドリー総裁はイエレン現副議長並にドヴィッシュとの見方が多い。

14年1月で任期を終えた後の退任が予想されているバーナンキ議長の後任レースはホワイトハウスの元経済顧問のサマーズ氏が辞退した後にホワイトハウス関連者からもイエレン現副議長を推す声が聞こえてきており、今後数週間の間に指名される可能性が高いことを週末のレポートでウォール・ストリート・ジャーナル紙のヒルゼンラス氏も報じている。ヒルゼンラス氏は同時にイエレン副議長とバーナンキ議長とのリーダーシップの違いを指摘。バーナンキ議長が他人の意見を聞き、また尊重するタイプであるのに対して、現副議長が周りを尊重するタイプである、との証言はあるが自己の意見を推すとの意見もあることを報じている。報道によれば、大統領は後任を今週中には指名しないとのこと。

なお、23日の債券購入は大規模で30-40億ドルで予定されている。

今月中に予算案が決まらなければ政府機関封鎖が現実化する議会の動向に関しては、下院が先週末にオバマケア延期を含む暫定予算案を可決。民主党のぺロシ下院院内総務は「共和党には機関封鎖を望むものがいるようだ」と非難。この案が民主党が過半数を占める上院を通らないことは必至だが、上院の共和党の間では今後議事妨害も厭わないもよう。ワシントンでの両党による関係が更に悪化すれば、10月の債務上限にまで影響を及ばしてワーストシナリオとしては債務不履行までが想定される。

海外では、週末にドイツでの連邦議会選挙においてメルケル首相率いるドイツキリスト教民主同盟 (CDU)とCSUが大勝、だが過半数には5席足りずに連立政権を組まざるを得ない状況には変更ない。首相は、自由民主党 (FDP)に連絡を既に取ったことを明らかにしている。

個別銘柄では、週末にシティグループ(C)のトレーディング部門の売上が冴えないものになっていると報じられている(ファイナンシャル・タイムズ)。

S&P 500は7.25安の1702.66前後で推移、ナスダック総合指数11.20ポイント安の3763.53ポイント前後で推移、ダウ平均株価は43.67安の15407.42ドル。(日本時間23時20分時点)。《KG》

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