【業績でみる株価】リオンの収益力向上顕著、3年で営業利益2.2倍、営業利益率4.8%から10%台乗せ

2013年9月23日 17:23

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■株価割安、上場来高値へ

  リオン <6823> の収益力向上がすばらしい。前期(2013年3月期)の1株利益は101.0円と3年前の35.5円に比べ大幅に増加している。

  同社の前期売上は172億1200万円で、『医療機器』と、『環境機器』の2つの事業から成っている。売上構成比率は医療機器が62.2%、環境機器で37.8%で、さらに、営業利益の構成では医療機器が61.0%、環境機器が39%となっており、医療機器事業が主力事業である。

  3年前の2010年3月期と前2013年3月期比較では売上の6.9%増に対し、営業利益は実に2.2倍と大きく増加している。これは、2010年4月1日から組織改革を行い、機能別組織から事業部組織体制したことが大きかったといえる。

  この結果、売上セグメントは、それまでの「補聴器」、「医用検査機器」、「音響・振動計測器」、「微粒子計測器」という機能別製品中心に4つのセグメントだったが、以後、医療機器と環境機器という2つの事業に移行した。社会ニーズ対応した、いわゆる「プロダクトアウト型」から、「マーケットイン型」への転換によってニーズに対応したきめ細かい製品を提供できたことが収益力向上に結びついたといえる。

  主力の補聴器を持つ医療機器についてみてみよう。すでに、事業部制に移行する前から新製品開発及び販売に積極的で2009年8月に言葉の明瞭度の高い『リオネットロゼ』の小型化、2010年2月にはブルートゥース通信(近距離無線通信)の利用できる『リオネットクレア』、さらに2010年3月に電池寿命倍増の高出力耳かけ型を発売している。さらに、2012年6月~8月には最上位ランクの『リオネットマジェスシリーズ』、今年2月には快適性を追求した中価格帯の『リオネットプレシア』を発売している。普及型から中価格帯、高価格帯までの品揃えを行い、全国展開のテレビCMや敬老の日、耳の日を中心に積極的な販売キャンペンも展開してきた効果が現れている。

  また、医療機器事業における新生児の聴力障害を早期に発見する『耳音響放射検査装置』や電子カルテも堅調である。

  一方、環境事業では『航空機騒音監視装置』、『液中微粒子計』、『新型空中微粒子計』、『振動監視装置』、『地震計』などが官公庁や海外の装置メーカー向けに堅調である。

  今期(2014年3月期)は、売上1.7%増の175億円、営業利益9.7%増の19億円、1株利益は112.9円と向上する。とくに、3年前に4.8%だった営業利益率は前期には10.1%に大きくアップし、さらに今期は10.8%の見通しだ。配当は3年前の年15円から前期は年22円とし、今期も年22円を予定している。ただ、今期予想の配当性向が19.4%と20%を下回ってくることから増配の期待は高まりそうだ。

  株価は3年前の2010年3月末の514円は今年3月末では855円と3年対比で66.3%の上昇。さらに、今年9月18日には1490円と年初来高値に買われ、2009年1月以来となる1500円に接近となっている。

  PERは13.1倍、利回りは1.4%、1株純資産1147円に対しPBRは約1.3倍。とくに、PERはマーケット平均の16倍台に比べると割安といえる。このため、1998年9月の上場来高値1890円奪回は十分見込めるだろう。さらに、2000円台ということになれば増配期待や3年後見通しなどがポイントとなってくるものとみられる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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