NYの視点:オバマVSプーチン

2013年9月13日 07:03

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記事提供元:フィスコ


*07:03JST NYの視点:オバマVSプーチン

化学兵器を使用した疑惑があるシリアに関する外交的解決を模索するため、ケリー米国務長官とラブロフ・ロシア外相は会談を開催した。そんな中、プーチン露大統領が12日付けNYタイムズ紙に寄稿した論説が話題となっている。最近のシリアをめぐるイベントを受けて、米国国民や政治家に直接訴えかける必要性が出てきたと説明した。その中で、プーチン大統領は米国によるシリア攻撃の可能性を警告すると同時に、米国の例外論を非難した。

コラムの中では同時に、国際連合は国際連盟と違い常任理事国に拒否権を与えたことにより大国が残ったが、もし影響力のある諸国が国連の決断を無視し安全保障理事の許可なくして軍事行動を起こしたならば国際連合が崩壊する危険性に言及。多くの諸国、主要な政治化やローマ法王を含んだ宗教の指導者達の強い反対にもかかわらず、米国によるシリアに対する攻撃は、無実の市民への被害を大きくするほか潜在的にシリアの国境を越えてしまう可能性もあるとした。また、暴力が増し、新たなテロを導く可能性もあり、国際的な法や秩序を乱す危険があると警告した。

また、我々は国連安全保障理事会を通して法や秩序が大混乱に陥ることを回避させると信じる必要があるとした。法は法であり、好き嫌いにかかわらず遵守する必要がある。現在の国際法によると、武力行使は自己防衛または、安全保障理事による決定でのみ認められるもので、それ以外の行動は許されないと訴えた。しかし、ロシア自体、1999年にロシア地上部隊がチェチェン侵攻を実施している。

プーチン大統領はまた、毒性ガスがシリアで使用されたことに疑問はないが、シリア軍が使用したとは限らず、「反政府派が西側諸国の介入を誘発するために使用した可能性もある」と主張。外国の内戦に軍事介入することが当たり前となってきた米国の方針は気がかりで、これは米国の長期的な益になるとは思わないと非難した。世界は米国を民主化のモデルとしては見ておらず、残虐な武力にだけ頼っているとの見方を強めていると強調した。武力が効果が無いことは証明済みで、「アフガニスタンは不安定で、国際軍が引き上げた後どうなるか誰も予測がつかない。リビアは分裂しており、イラクでは内戦が続いている」と指摘している。

アサド・シリア大統領は化学兵器を受け渡す意向を示したもののイスラエルが大量破壊兵器を処理するという条件をつけた。ケリー米国務長官はシリアに関する協議をラブロフ・ロシア外相と開始したが、懐疑的な見方を払拭できないでいるという。関係筋によると米国務省はシリア反政府派に米国による攻撃は依然選択肢にあると伝えたと報じられている。マッケイン共和党、シューマー民主党上院議員は大統領に新たな解決策を模索するよう要請した模様で、攻撃の可能性は依然残る。

ロシアがシリアに化学兵器を供給したとの報道もある。アサド大統領が独断で化学兵器の使用を決断するわけがなく、ロシアが米国を抑え中東、または世界支配を目指して仕組んだイベントだとの思惑もある。米国では「ロシアは信じられない」との見方も強まりつつある。世界の主導権をめぐる米国とロシアの静かな対立が続く限りリスクは存続する。《KO》

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