またまた「2日新甫」、9月相場は下に荒れるか上に荒れるか?=浅妻昭治

2013年8月26日 11:49

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

■過去の「2日新甫」相場を参考に和戦両用の備え

 またまた「2日新甫」である。9月相場は、2日の月曜日から月初商いがスタートする。「2日新甫」は荒れるとするのが、兜町のジンクスとなっており、これが下に荒れるのか、上に荒れるのか予断を許さない。

 実際に昨年2012年は、「2日新甫」の当たり年で、3日に売買がスタートした9月相場を含めて4回も、「2日新甫」があり、このうち日経平均株価の月足は、2回が陽足、2回が陰線の2勝2敗で、ジンクスは、5割の確率で当たっていたことになる。もっとも9月相場の陽線は、始値と終値の開きがわずか34円にとどまっており、これを勘案すると、75%の確率で「2日新甫」は、下に荒れる経験則を示唆している。今年2013年も、6月相場が、3日に売買がスタートした準「2日新甫」であり、月足はわずか125円幅の価格差で陽線を示現したものの、月央には、1万3000円台割れまで突っ込む長大の下ヒゲを引く波乱展開となった。

 外部環境をみれば、今週央に月替わりとなる9月相場の「2日新甫」は、下に荒れる懸念材料が目白押しである。この最大の材料は、9月17~18日に開催予定のFRB(米連邦準備制度理事会)のFOMC(公開市場委員会)だろう。量的緩和策第3弾(QE3)の縮小が、ここから始まるのか、資産購入額がどの程度、減額されるかが、新興国を含めて世界の為替市場・株式市場に大きな波乱要因となる。この緩和策縮小を決定する参考指標とみられる米国の8月の雇用統計は、9月2日に発表予定であり、9月相場は、月初早々から株価、為替の方向感が試されるギリギリのせめぎ合いが続く。

 国内でも、9月4~5日に日銀の金融政策決定会合が開催され、9日には、安倍晋三首相が、消費増税を政治決断するための重要な参考指標となる4-6月期の国内総生産(GDP)の確定値が発表予定であり、同確定値が、設備投資の上ぶれで上方改定されるようなら、消費増税に向けての既定路線の第一歩に歩む進むことになる。もちろん日米両市場は、米国で量的緩和策が縮小されたら売り、見送られたら買い、日本でも、消費増税が政治決断されたら売り、回避されたら買いとは単純に想定できないのが難しいところで、それこそが「2日新甫」が、ジンクス通りのそもそもの荒れ模様を示唆する由来になっている。

 こうなると、「2日新甫」相場は、下に荒れても上に荒れても対応できるよう「和戦両用」で備えを怠らないことが肝心となる。そこで参考にしたいのが、直近の「2日新甫」相場である。外部材料にポジティブに反応して「リスク・オン」で上に荒れるケースでは昨年12月相場、ネガティブし悲観して「リスク・オフ」で下に荒れる場合では、今年6月相場を先行事例として参考にしたいのである。

 昨年12月相場は、12月16日に投開票日を迎えた衆議院選挙で自民・公明両党が圧勝、安倍自民党が政権奪還を実現、「アベノミクス相場」の初動段階にあり、ご祝儀相場も含めても上に荒れて不思議はなかった「2日新甫」相場であった。これに対して、今年6月相場は、5月末のFRBのバーナンキ議長の議会証言で、量的緩和策縮小を示唆する発言が飛び出し、とたんに為替相場も株式相場も、「リスク・オン」から「リスク・オフ」に急転回し、下に荒れた「2日新甫」相場であった。この両相場で、強気に攻めて上げた銘柄、守りのなかで踏み止まって逆行高した銘柄をリサーチして、来るベき9月相場の「2日新甫」に和戦両用で対処しようというのである。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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