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市場との対話に失敗したFRB、日銀はどうか
*08:00JST 市場との対話に失敗したFRB、日銀はどうか
米国の金融政策である量的緩和(QE)の縮小懸念によって、東南アジアなどの新興国の株式や通貨がアジア通貨危機を彷彿とさせるかのように暴落している。米国はまだ1ドルの縮小もしていないのに、新興国を中心に金融引き締めを超える影響を世界経済に与えている。外部からはバーナンキFRB議長の発言がブレているように見えるのと、FRBメンバーである各連銀総裁それぞれがバラバラなタイミングでバラバラな発言を繰り返していることが要因だ(会合の議事録でも意見が割れている)。現時点では米連邦準備制度理事会(FRB)は市場との対話に失敗しているといってよい。今年中に量的緩和の縮小に入る計画では合意しているのであろうが、1.量的緩和の縮小が少しずつ慎重に行われものであること、2.経済情勢が逆向きに動いた時は再び緩和に転じること、3.金利の引き上げはずっと先になること、4.FRBの保有資産は引き続き保持されること、5.全体として量的緩和の縮小は金融引き締め策ではないこと、といったことについて市場を全く説得できていない。
今後9月や12月に量的緩和の縮小に着手するとして、どのような声明の出し方や政策対応によって上記の点について市場と上手くコミュニケーションを取れるのか注目される。今のままで同政策の縮小に着手すればさらに混乱を招くことが懸念される。
翻って我が日銀はどうか。米国の量的緩和策に比べて、その規模もスピードもヒケをとらないはずの日銀の異次元緩和だがほとんど注目を浴びなくなっている。ましてや、米国が縮小に転じても日本の異次元緩和があるじゃないか、とはなっていない。これは、日銀が早々に「戦力の逐次投入はしない」と宣言してしまって、「とりあえず追加では何もしない」と見切られていること無関係ではないのではないだろうか。日本株やドル円の売り仕掛けをする向きも日銀をあまり恐れていないように見える。戦力の逐次投入をしないということは、何もしないということではないということを説得する必要があるだろう。 あと、「量的・質的緩和」という緩和策のネーミングはどうか。米国の「QE」は世界中誰でも知っているが、日本の「量的・質的緩和」という名前を知っている人はどれほどいるだろうか。ネーミングも市場との対話に重要なツールである。もっと世界中から認知されやすい名前に変更すべきではないだろうか。FRBのみならず、今後の日銀による市場とのコミュニケーションや政策対応にも一味違ったものを期待したい。《YU》
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