「第2の中山鋼」探しで株価2ケタの極低位値ごろ株は「アベノミクス相場」の初動段階の再現を期待=浅妻昭治

2013年6月24日 10:00

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

 「金曜日の引けピン」である。兜町では、金曜日の後場に株高となれば、普通は週末休みを控えて優先する手仕舞い売りが引っ込んだ結果と評価し、それだけで次週の強調相場を先取りするシグナルとして歓迎されてきた。その経験則通りに、前週末21日の日経平均株価は、朝方寄り付きの311円安から、後場取引時間中に反転上昇、大引けは215円高とほぼ高値引けとなった。底打ちを示唆するという日足の陽線包み足まで示現した。しかも、前日6月20日の米国NYダウは、353ドル安と今年最大の下げで帰ってきたのに、この最悪材料を打ち返したのである。投資家なら誰だって、今週の反騰相場への期待を高めることになる。

 しかしである。「金曜日の引けピン」ほどには市場関係者の今週の相場見通しは景気がよくない。カンカンの強気など見当たらず、妙にしみったれているのである。日経平均株価は、21日の前場安値が、前々週末の安値(1万2629円)や6月のSQ値(1万2668円)を下回らず、FRB(米連邦準備制度理事会)の量的緩和縮小は織り込み済みとしたものの、先行きは、なお世界同時株安や為替相場の動向への懸念は残ると観測し、警戒感は収まらない。今週のポイント銘柄にしても、今週に今2月期第1四半期決算を発表する高島屋<8233>(東1)などの大手小売り株を取り上げ、前日23日を投開票日とする東京都議会議員選挙で自民党が、第1党をほぼ確保する情勢にもかかわらず、なお資産効果が、業績に継続するかどうか確かめたいと慎重に構えて、あくまでディフェンシブ株寄りである。

 FRBのバーナンキ議長にこれだけ揺さ振られて日経平均株価が、年初来高値からわずか半月で3500円超も下げ、前週末の急反発が、日経平均先物の売買に絡む裁定買いがキッカケといわれれば、今週も先物主導でなお上ぶれ・下ぶれする不安定さへの危惧は働く

 これは、要するに、相場の乱高下のなかで、実需筋がいったいどのポジションにいるか掴めないことが要因となっているはずだ。「アベノミクス相場」で日経平均株価が、7000円高する過程で実需筋が、どれだけリターンを享受したのか、そのリターンは「バーナンキ・ショック」で水浸しとなってしまったのか、水浸しになってもなお投資余力は確保しているかなどによって、株価の方向が決まってくるからだ。実需筋がどう動くかが、今後の相場動向を占うカギとなるが、実需筋がどう動くか判断できる格好の銘柄がある。株価が、2ケタ台に低迷する極低位値ごろ株である。

 極低位値ごろ株は、「アベノミクス相場」の初動段階の昨年末から今年年初に含み資産株人気の不動産株、倉庫株、資産効果で高額商品の売れ行き拡大がハヤされた小売り株とともに動意付き、ここでつけた勝ち癖が、その後の主力株への積極投資の引き金となった。極低位値ごろ株の株価は現在、この時の動意付く前の水準まで往って来いの調整となっており、ここで、実需筋が再度の打診買いを入れてくるようなら、先行きの期待も高まってくる。

 この再動意を誘発する銘柄も、デビューした。前週末21日に東証第1部値上がり率ランキングの第1位に躍り出た中山製綱所<5408>(東1)である。40の金融機関から総額608億円の債務免除を受け、同額の債務免除益を計上、経営再建への期待を高めたことが要因となった。同じ株価2ケタ台の銘柄から、「第2の中山鋼」をセレクトする動きも見込まれることになる。

 東証1部には、株価2ケタの極低位値ごろ株は、中山鋼を含めて37銘柄を数えるが、「板子一枚、下は地獄」のリスクをより限定して配当を実施する有配の銘柄に絞れば、年初相場の再現もそれほど難しいことにはならないはずである。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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