「日銀の苦悩・・・異次元緩和策、ふりだしに戻る、に関する考察」

2013年6月13日 18:29

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記事提供元:フィスコ

*18:29JST 「日銀の苦悩・・・異次元緩和策、ふりだしに戻る、に関する考察」

13日の東京株式市場は、終値ベースで、日銀が異次元緩和を導入する4月4日以前のレベルに戻ってしまったのだから、日銀黒田総裁も気が気ではないのではないか。なぜなら、日銀が推し進めている異次元緩和とは、これまでの量的緩和の進化系であり、その政策の意味するところは、リスク資産の強引なまでの上昇を最大目標としているのだから、そのリスク資産の代表格である株価が、異次元緩和以前のレベルにまで戻ったというのは、異次元緩和自体が“ふりだし”に戻ったといっても過言ではないのである。

菅官房長官が、先ほど、日銀の金融政策に全面的に信頼しているとのコメントを発していたようだが、筆者から言わせると危機感がなさ過ぎといわざるを得ないのである。

本日の株価下落、円高要因として、ちまたで聞こえきたのは、ヘッジファンドがポジション整理を、とか、キャリートレードのアンワインドとか、これまでのリスクオン相場を否定するような言葉ばかりであり、読者の方も思わず、それに納得してしまうのかも知れない。

しかし、それこそが誤りなのである。ポジション整理を誘発させないだけの魅力、それも異次元緩和の魅力を、日銀は出し続けなければならないのである。なぜなら、経済は生き物だからだ。生き物である経済を相手に、日銀は異次元緩和という禁断の金融政策を打ち出してしまったのだから、その生き物に食いつかせたい材料を、常に提供し続けなければならないのである。

それが、異次元緩和という量的緩和策を打ち出した日銀の“性”なのである。

その量的緩和で今、逆な意味で苦悩しているのがFRBであることからも、それがわかるというものだ。

片や出口論で、片や効果論で、、日銀とFRBは、今、まさに量的緩和策について対極的な悩みに陥っているのである。

だから故、日銀は果敢に攻め続けなければならないのである。《FA》

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