熊谷組とIHI、地表面の放射線分布を面的に計測するシステムを開発

2013年4月9日 12:22

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自走式放射線2次元分布測定装置による放射線測定状況(写真:IHI)

自走式放射線2次元分布測定装置による放射線測定状況(写真:IHI)[写真拡大]

 熊谷組、IHI、IHI建機は8日、3社共同で、放射性物質で汚染された地表面の放射線分布を建設機械に搭載した放射線測定器で面的に計測するシステムを開発したと発表した。同計測システムを使用することにより除染作業の効率化が可能となる。

 従来の放射線計測システムでは、人力で放射線を格子点で測定するため大面積の測定に多大な時間を要していた。また、格子点測定であるため格子点間にある局所的なホットスポットを検出することは困難だった。このため、効率的な除染を行うには面的な測定を高速で行うことが求められていた。

 今回3社は、独立行政法人日本原子力研究開発機構(JAEA)の協力のもと、自走式放射線2次元分布測定装置を開発した。同システムは、放射線検出部にJAEAが開発したプラスチックシンチレーションファイバー(PSF)を用いた計測システムを採用し、全地球航法衛星システム(GNSS)とともに建設機械(コンパクトトラックローダー)に搭載して自走させることにより、1時間で2000m2という早さで正確に測定することが可能。従来の計測システムでは、同面積を測定するのに1m間隔のポイント計測でも50時間以上かかり、また、格子点間のホットスポットを探し出すことは困難だった。

 今回開発されたシステムは、農地等の大面積を短時間で計測するという使い方以外にも、森林除染のように効率的な除染方法をこれから見出していかなければならない分野において、いろいろな除染方法の効果を細かく確認しながら進めていく場合にも有効な手段となる。

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