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【近況リポート】ティー・ワイ・オー:TV-CM事業はクリエイティブな人材を揃えた同社を含む大手3社の寡占化が進む
■今期は前期に続き不採算事業の整理を行い、最終的な仕上げの段階
TV-CM制作を主力とするティー・ワイ・オー <4358> (JQS)は18日、今期13年7月期第2四半期連結業績を発表した。
同社は一時エンタテインメント事業に進出したことで、業績が低迷し、赤字経営となっていたが、その後の再建計画が着実に行われたことにより、10年7月期より事業の改善が進んでいる。今期は前期に続き不採算事業の整理を行い、最終的な仕上げの段階を迎えている。
前期12年7月期には不採算部門であったGreat Works AmericaとGreat Works AB(スウェーデン)の2社を連結から除外し、今期も残りの2社Great Works Chinaとグレートワークス㈱を昨年9月に連結除外した。
また、不採算事業の整理の一方で、コスト削減に努めていることで、販管費は削減されている。過去3年の第2四半期売上高販管費率は16.9%、14.0%、11.8%と確実に低減している。
同社が属するTV-CM制作業界は、08年に発生したリーマンショックから立ち直り、事業環境は好転していることから、再建計画による業績回復との相乗効果もあり、3月11日に今期第2四半期業績予想の上方修正を発表している。
■2社を連結除外したにもかかわらず第2四半期売上高は増収
その結果、第2四半期連結業績は、売上高123億73百万円(前年同期比4.7%増)、営業利益8億17百万円(同5.9%増)、経常利益7億55百万円(同55.3%増)、純利益4億72百万円(同272.7%増)と増収大幅増益となった。
売上高に関しては、2社を連結除外したにもかかわらず増収となっているが、その理由としては、主力のTV-CM事業で順調に案件を獲得していることが挙げられる。
利益面については、前期に比べシンジケートローン手数料が減少したことから、営業外費用が大幅に減少し、営業利益以下は大幅増益となった。
セグメント別の業績を見ると、TV-CM事業は、自動車、衣料、飲料業界をはじめとして案件受注が好調であった。その結果、売上高89億53百万円(同7.5%増)、営業利益14億79百万円(同0.4%増)と増収増益。売上の伸びに比較して、営業利益の伸びが微増であったのは、人材への先行投資の影響による。
マーケティング・コミュニケーション事業は、不採算子会社の連結除外により収益性の改善を目指した。その結果、売上高27億8百万円(同9.3%減)、営業利益40百万円(同67.3%減)と共に減少した。売上高に関しては、2社を除外したことが減収の要因であるが、既存事業ベースでは2億35百万円の増収となっている。利益面では減益となっている為、組織変更を行うと共に、人員配置の適正化を実施する。
■海外展開に関しては、ターゲットを日系企業の広告主に限定
第2四半期業績の説明に引き続き、代表取締役社長吉田博昭氏が経営施策の進捗状況について語った。
海外展開、人員・人材強化、コスト削減、財務基盤の強化の4つのテーマについて説明が行われた。
海外展開については、「今まで、当社は中国に現地法人を設立したりもしましたが、反省点として今までの海外進出はそこで何を求めるのかという定義が不充分であったという点があります。今年から行っていることは、広告主は日本に豊富に存在するため、ターゲットを日系企業の広告主に限定しています。顧客は日本に存在し、広告宣伝費を使う場所がアジアであると整理しています。昨年9月にはトヨタモータース&マーケティング100%出資の広告代理店デルフィスと共同でインドネシアに広告コンサルティング会社を設立しました。この出資により、トヨタグループのインドネシアでの広告展開において、今後更に受注を拡大していきたいと思っています。また、これから当社はアジアに拠点を構える事も検討しており、同様のビジネスパターンでもって、他の広告主さんの仕事も東京で承って、アジアで執行していく形を考えています」と海外展開について語った。
■自己資本比率は09年の0.8%から今期第2四半期29.9%へと改善進む
人員・人材強化については、既存事業ベースの人員数は着実に増加している。実質的な戦力数は628名、645名、678名、693名と確実に育ってきている。
コスト削減については、海外子会社を連結除外した影響もあり、販売管理費は前年第2四半期16億57百万円あったが、今期第2四半期は14億65百万円と1億92百万円減少している。コスト削減は順調に進んでいる。
財務基盤の強化については、自己資本比率の推移をみると改善が進んでいることが歴然である。09年7月の自己資本比率は0.8%、10年2.2%、11年16.4%、12年28.0%、今期13年第2四半期29.9%となっている。今期7月末には30%を超えるとみている。有利子負債の推移は、09年117億7百万円、10年89億64百万円、11年77億57百万円、12年46億50百万円、今期13年第2四半期43億円と有利子負債の削減は確実に進んでいる。
今期13年7月期連結業績予想は、売上高250億円(前期比3.5%増)、営業利益16億円(同10.5%増)、経常利益14億円(同28.0%増)、純利益7億円(同37.5%減)を見込んでいる。最終利益の減益は、前期の法人等調整額の影響であり、実質は増収増益といえる。
事業再建計画は最終段階を迎えている一方で、すでに海外事業に関しても新たな戦略の下での事業展開の環境が整ってきている。そのような状況中で、TV-CM事業に関しては、クリエイティブな人材を揃えた同社を含む大手3社の寡占化が進んでいることから、今後の事業拡大が更に期待できる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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