大王製紙、福島県いわき市に段ボール原紙抄紙機を設置 投資額は83億円

2012年12月28日 12:50

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 大王製紙は28日、同社の連結子会社であるいわき大王製紙(福島県いわき市)に、段ボール原紙を生産する抄紙機を設置することを決定したと発表した。設置する抄紙機は、大王製紙可児工場のN3抄紙機(生産品種:洋紙)を改造・移設する計画であり、営業運転開始は2014年10月を予定している。投資額は83億円。

 大王製紙の段ボール原紙生産拠点は、東日本地区はいわき大王製紙、西日本地区は大王製紙三島工場(愛媛県四国中央市)・大成製紙(岡山県津山市)・ハリマペーパーテック(兵庫県加古川市)であり、いわき大王製紙では段ボール原紙の主要品種であるKライナー・ジュートライナー・白ライナー・中芯原紙を生産している。

 国内の段ボール原紙工場は工場毎に生産品種が分散しており、品種毎に出荷工場が異なるが、いわき大王製紙では当該抄紙機設置により、主要品種を1工場から安定供給できる国内唯一の工場になり、小ロット・短納期化が進む中で全品種の積み合わせ配送が可能となる。また、顧客より要望のある中芯原紙をはじめとした段ボール原紙の供給増を果たし、東西での安定供給体制をさらに強化することができる。

 さらに、省資源の観点から近年需要が増えつつある薄物ライナーを生産できる設備を導入することで品揃えの充実を図り、大王製紙グループの企業価値向上を進める。また、可児工場のN3抄紙機を中芯・ライナー抄紙機に転抄し、当該抄紙機の生産品種を三島工場に集約することによって洋紙品種の生産調整(7,000トン/月)を行うことから、需給ギャップが発生している国内洋紙市場の安定に寄与することとなる。

 いわき大王製紙は昨年3月の東日本大震災により被災したが早期に復旧を完了しており、現在は従前通りの生産活動を行っている。大王製紙は新設備導入により、地元いわき市はもとより福島県など東北地区の経済復興に貢献する考え。

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