【アナリストの眼】自民党大勝を前提に強基調継続を想定、来期企業業績を睨む

2012年12月16日 09:01

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<相場展望>(17日~21日)

  来週(12月17日~21日)の株式市場については、16日投開票の衆院選で自民党が事前の予想どおりに大勝することを前提として、引き続き強基調の展開を想定する。

  国内の衆院選後の新政権に対する期待感と米国の「財政の崖」問題に対する警戒感との綱引き状態に変化はなく、クリスマス休暇や年末年始休暇が接近して利益確定売りも出やすいが、為替の円高修正トレンドが鮮明になっていることも支援材料であり、新政権に対する期待感優勢の展開が続きそうだ。海外からの新規資金流入が続いている模様であり、市場は来期(13年度)の企業業績改善を睨んで動き出している。

  国内要因に関しては、16日に衆院選の投開票が行われるが、主要メディアによる終盤の世論調査結果として「自民党と公明党の合計で300議席を上回る勢い」との報道が相次いでいる。予想どおり自民党の大勝という結果になれば、安倍晋三自民党総裁が発言している政策の実現可能性が高まるため、新政権に対する期待感が膨らむ形になりそうだ。19日~20日の日銀金融政策決定会合に関しては、11日~12日の米FOMC(連邦公開市場委員会)が長期国債購入に加えて失業率の目標値を設定したこともあり、日銀が何らかの追加金融緩和や目標設定を決定するとの見方が有力になり、市場もある程度は織り込み済みのようだ。したがってポジティブサプライズにはなり難いが、好地合いの状況であり、材料出尽くしのネガティブ反応が見られたとしても一時的・限定的だろう。

  海外要因では、米国の「財政の崖」問題の進展状況が引き続き最大の焦点となり、タイムリミットが接近してチキンレースもいよいよ終盤戦に入る。富裕層増税と歳出削減という方向性に原則合意したうえで継続協議とし、詳細を詰めるまで暫定法案で対応するという見方が有力になり、米下院も休会を21日まで1週間延期する模様だ。予断を許さない状況が続くことになるが、米国株式市場や外国為替市場で警戒感を強める大きな動きがなければ、国内要因優勢の日本株式市場への影響は限定的だろう。

  ユーロ圏に関しては、13日~14日のEU首脳会議で銀行監督の一元化など経済・金融統合の工程表を示した。財政統合など危機再発防止のための根本的な解決策に向けた道程は長いが、一定の安心感に繋がるだろう。

  中国に関しては、9日に発表した11月主要経済指標に加えて、14日にHSBCが発表した12月製造業PMI(購買担当者景気指数)速報値も1年2カ月ぶりの高水準となり、景気底入れ感を一段と強めている。尖閣諸島を巡っての中国リスクや人件費高騰の影響などもあり、中国市場での日本企業の活動には懸念が残るが、中国景気の底入れでアジア市場の素材関連や海運などの市況には好影響を与えそうだ。新体制移行後の経済政策に関しては消化不良の状況が続くだろう。

  その他の注目スケジュールとしては、17日のユーロ圏10月貿易収支、米12月ニューヨーク州製造業景気指数、18日の米12月住宅建設業者指数、米7~9月期経常収支、19日の日本11月貿易統計、韓国大統領選投開票、ユーロ圏10月経常収支、独12月IFO業況指数、米11月住宅着工件数、20日の米10月住宅価格指数、米11月景気先行指数(コンファレンス・ボード)、米12月フィラデルフィア地区連銀業況指数、米7~9月期GDP確報値、21日の独1月消費者信頼感指数、米11月シカゴ連銀全米活動指数、米11月個人所得・消費支出などがあるだろう(本紙・シニアアナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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