富士フイルム、レーザー光源搭載の新世代内視鏡システムを発売

2012年9月4日 21:24

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新世代内視鏡システム「LASEREO(レザリオ)」(画像:富士フイルム)

新世代内視鏡システム「LASEREO(レザリオ)」(画像:富士フイルム)[写真拡大]

 富士フイルムは4日、内視鏡検査に使用する光源にレーザーを用いて、がんなど病変部の視認性を向上した新世代内視鏡システム「LASEREO(レザリオ)」を、富士フイルムメディカルを通じて本日より発売すると発表した。

 「LASEREO」は、富士フイルムが写真分野・医療分野で長年培ってきたレーザー制御技術を応用して、2種類のレーザー光を観察目的に応じて自在にコントロールし、独自の画像処理技術と組み合わせることで、早期がんに特徴的な粘膜表層の微細血管などの変化を強調した画像観察を可能とした。LASEREOシステムは、新開発のレーザー光源とビデオプロセッサ、4種類の専用スコープで構成される。

 がんの診断では、小さな病変を早期発見、治療することが重要。消化管領域における病変の観察は通常、粘膜表面の色や構造の変化を観察するが、従来のハロゲンやキセノン光源を用いた白色光照明による観察では粘膜表面の微細な変化をとらえることが難しいと言われている。

 一方、今回発売する新世代内視鏡システム「LASEREO」は、波長の異なる「白色光観察用レーザー(白色光用レーザー)」と「狭帯域光観察用レーザー」の2種類のレーザーを搭載。白色光用レーザーを蛍光体に照射することで、通常の観察に適したスペクトル幅の広い白色光を発光させ、自然な色の画像をモニター上に再現することができる。また、「狭帯域光観察用レーザー」は、波長が短いスペクトル幅の狭い光であり、この光を照射することによって、粘膜表層の微細血管やわずかな粘膜の凹凸などのコントラストを強調して画像をシャープに映し出すことができ、微小な病変を観察するのに適している。

 さらに「LASEREO」は、「狭帯域光観察用レーザー」を照射し、粘膜表層の微細な血管や粘膜の模様を強調して表示する「Blue LASER Imaging(BLI)機能」を搭載している。「BLI機能」では、白色光用とBLI用のレーザー光の発光比率を制御することで、観察目的や対象部位に応じて最適な照明モードで使い分けが可能。BLI機能には、近接・拡大観察に適した「BLIモード」と、全体の明るさを高め、診断しやすいことを目的とした「BLI-brightモード」を用意している。

 また、レーザー光源は、従来のハロゲンランプやキセノンランプ光源と比べ高効率で消費電力が少なく、かつ長寿命であることから、省エネ運用が可能。

 さらに富士フイルムは、今回開発した新世代内視鏡システムを応用し、現在、国立がん研究センターとの共同研究で、レーザー光源を搭載した内視鏡システムによる腫瘍とその周辺部の酸素飽和度を画像化する新たな画像診断技術の確立を目指した研究を進めている。将来的には、病変の形態診断だけではなく、腫瘍による組織の酸素消費の変化など、機能診断が可能となるシステム開発を目指す。

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