【決算】星光PMC:13年3月期業績予想は前期とは一転し増収大幅増益を見込む

2012年5月30日 09:26

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■アルカリ抄紙システム等を国内、海外の製紙メーカー展開

  製紙用薬品の星光PMC <4963> は24日、前期12年3月期決算説明会を開催した。

  12年3月期連結業績は、売上高227億16百万円(前年同期比0.6%減)、営業利益10億59百万円(同35.4%減)、経常利益11億6百万円(同34.0%減)、純利益3億49百万円(同67.6%減)と減収大幅減益となった。

  同社の業績に影響を与える紙・板紙の12年度の国内生産は2,653万トンと前年度比3%減となったことにより、主力の製紙用薬品事業の売上も伸び悩んだ。しかも、ロジンを始めとする原燃料価格の高騰により、利益面では大幅な減益となった。

  一方、11年度の印刷インキの国内生産は37万トンと前年度比4%減少した。需要が低迷する中、同社の水性インキ用樹脂の売上高はほぼ横ばいであったが、オフセットインキ用樹脂の売上高が増加した。さらに、事務機器業界の需要が堅調であったことから、記録材料用樹脂の売上高が増加した。その結果、印刷インキ用・記録材料用樹脂事業の売上高は、68億1百万円(同10.0%増)となった。利益面でも、原燃料価格の高騰を抑え、販売の増加等により、営業利益3億26百万円(同35.7%増)となった。

  しかし、主力の製紙用薬品事業の減収減益をカバーするまでは至らなかった。

  前期は製紙用薬品事業の低迷により、減収減益となったが、今期13年3月期連結業績予想は、売上高236億30百万円(前期比4.0%増)、営業利益14億90百万円(同40.7%増)、経常利益15億60百万円(同41.0%増)、純利益10億60百万円(同203.0%増)と前期とは一転し増収大幅増益を見込む。

  業績好転を見込む要因は、業界随一といわれる同社の新製品開発力によって開発されたアルカリ抄紙システム等を国内、海外の製紙メーカーに対して積極的に展開することによる。

■中国の大手製紙メーカーへ乾燥紙力増強剤の販売が実現

  今期予想売上高236億30百万円の内訳は、製紙用薬品168億93百万円(同6.1%増)、樹脂67億37百万円(同0.9%減)となっている。

  製紙用薬品は、国内148億10百万円(同2.2%増)、海外20億83百万円(同39.9%増)と国内、海外ともに増収を見込んでいる。特に海外の売上が伸びる理由は、中国の大手製紙メーカーへ乾燥紙力増強剤の販売が実現していることによる。

  また、営業利益は、12年度の営業利益より4億31百万円増益の14億90百万円を見込んでいる。これは、国内の販売増により2億19百万円の増益、また販売構成をより高利益率の製品にシフトすることで1億94百万円の増益、中国事業の販売増により1億65百万円の収支改善を見込んでいることから、製造費90百万円、販管費1億5百万円の支出増を飲み込み、前年度比40.7%と大幅増益を予想している。

■乗越厚生社長 大幅増益の核となる製紙用薬品事業について語る

  今期の大幅増益の核となる製紙用薬品事業について、代表取締役社長乗越厚生氏は、「国内の成熟した市場で、お客様のニーズを的確に捉えた操業性の向上、品質の安定、省資源に向けたソリューションを勧めてまいります。具体的には4つのテーマを掲げています。まず、前年度までに実績化が進んでいる板紙アルカリ抄紙システムを更に国内製紙業界に浸透させ、製紙用薬品事業の柱とすることです。板紙アルカリ抄紙システムの利点は、マシン汚れを低減することによる紙品質の安定化、生産性の向上、及びトータルコストダウンの達成です。段ボール原紙であるライナー、中芯は、回収された古紙で作られています。古紙には、マシン汚れの原因となる様々な物質が含まれておりますが、中でも近年の宅配便の発達により、「糊」が付いた伝票が貼られた古紙が増えております。この「糊」の粘着性の強さは、pHによって変わること、具体的には、pHがやや酸性側である6~6.5において最も粘着性が強く、ややアルカリ側である7.5前後では粘着性が低くなることを当社研究所における実験で確認いたしました。従前より段ボール原紙を製造する際には、酸性側のpHで製造することが一般的ですが、先に述べた宅配便伝票の「糊」等によってマシンが汚れ、紙の品質が低下したり、連続生産している紙が切れたりするトラブルが起こり、マシンを止めて洗浄する必要が生じております。弊社の推奨する板紙アルカリ抄紙システムは、宅配便等に由来する「糊」の粘着性が低い、pH7.5前後のややアルカリ条件で紙を製造することを推奨しております。実際にある大手の製紙メーカーで検討して頂いたところ、弊社が予想した以上のメリットが見られました。マシン汚れ、紙切れ回数が減少し、ダウンタイムが大幅に減少した結果、トータルコストダウンが実現しました。紙を製造する際のpHを上げることは非常に大変なことで、従来酸性で製造していたときに使用している薬品の大部分は使用できなくなり、アルカリ条件で使用可能な薬品に切り替えることが必要になります。即ち「システム」での処方の推奨が必要になります。ここに当社の強みである製紙用薬品の品揃えの多さが活きてきます。我々はこのシステムを開発して、数年前から製紙メーカー様にご提案しています。これを今期も引き続きお客様に勧めて行きます」と板紙アルカリ抄紙システムの導入が本格化していることを紹介した。

■紙、板紙の軽量化、高灰分化に適したシステムを開発

  次に、紙、板紙の軽量化、高灰分化に適したシステムの開発である。軽量化とは、省資源のため、紙の諸品質を維持しつつ軽量化することである。高灰分化とは、コート紙等の情報印刷用紙に関することである。これらの紙を作る際には、炭酸カルシウムに代表される填料(灰分)を配合するのが一般的である。填料は紙の主原料であるパルプよりも価格が安いことから、填料の配合率を上げることで、製紙メーカーは大幅なコストダウンが可能である。生産量の大きい最新のコート紙マシンでは、填料の配合率を10%から15%に増やすことで、概略年間数億~十数億円のコストダウン額が見込まれる。一方で、填料の配合率を上げると、紙の製造時の歩留まり率の低下や紙切れ回数の増加による生産性の低下に繋がり、また、紙の強度が低下する等、紙品質の面においても問題が生じる。同社はこの紙、板紙の軽量化、高灰分化に適した薬品システムの開発に取り組んでおり、今後のビジネス展開に優位に立ったといえる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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