【相場展望】地合い改善して関心は13年3月期の収益回復期待へ

2012年1月29日 09:34

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【株式市場フューチャー:1月30日~2月3日の株式市場見通し】

■為替動向がポイント、落ち着けば買い戻し継続

  来週(1月30日~2月3日)の日本株式市場では、為替動向がポイントになりそうだ。国内に買い手掛かり材料が見当たらない中で、引き続き海外要因に神経質な地合いに大きな変化はないだろう。そして外国為替市場では、一旦は円安方向に傾きかけたものの、1月25日の米FOMC(連邦公開市場委員会)声明後に一転してドル売り・円買い方向に傾いたため、円高方向の流れが継続すれば日本株式市場の地合い改善期待が萎みかねない。

  ただし、ユーロ圏債務危機問題に対する警戒感が和らいでいることもあり、為替動向が落ち着いた展開になれば、日本株式市場での買い戻し基調に変化はないだろう。また企業業績についても、12年3月期の収益悪化懸念は織り込み済みであり、地合いが改善すれば13年3月期の収益改善期待へ市場の関心がシフトするだろう。そして本格的な戻り相場がスタートするためには、循環物色による水準訂正がポイントになるだろう。

  なお、ギリシャ債務交換交渉の動向、ポルトガルの国債利回りの動向、イラン問題の地政学リスクなどにも注意が必要であり、週末2月3日の米1月雇用統計を控えて様子見ムードを強める可能性にも注意しておきたい。

  前週(1月23日~27日)の日本株式市場では、週間ベースで日経平均株価が前週末比74円86銭(0.86%)上昇して3週連続の上昇、TOPIXが同5.66ポイント(0.75%)上昇して5週連続の上昇となった。

  ユーロ圏各国の国債入札が概ね順調で利回りも落ち着いていたこと、ギリシャ債務交換交渉の合意に対する期待感が高まったことに加えて、週前半には外国為替市場で円安方向に傾いたことなどを好感した。週後半には短期的な過熱感に加えて、外国為替市場で円高方向に傾いたこともあり、主力大型株への買い戻しが一服感を強めたが、下値は限定的であり、全体としては地合いが改善して堅調な1週間だった。

  ユーロ圏債務危機問題に関する前週の動きを整理すると、主要国の国債入札は概ね順調な結果となって利回りも低下したため、国債入札と利回り動向に対する警戒感は、やや落ち着いた状況となった。ギリシャ債務交換交渉に関しても、1月23日のユーロ圏財務相会合が民間投資家の関与案を拒否したため一時的に警戒感を強める場面もあったが、その後は国際金融協会(IIF)が交渉を再開すると発表したことなどを受けて、概ね合意に対する期待感が優勢だった。週末1月27日には、格付け会社フィッチ・レーティングスがイタリアやスペインなどユーロ圏5カ国の国債格付け引き下げを発表したが、市場の反応は限定的だった。

  米国の主要経済指標では強弱感が交錯した。1月26日には、米12月耐久財受注が前月比3.0%増加となり、11月改定値の同4.3%増加に比べて伸び率が鈍化したが市場予想を上回った。米12月シカゴ連銀全米活動指数はプラス0.17となり、11月のマイナス0.46に比べて改善した。米新規失業保険申請件数は37.7万件となり、前週改定値の35.6万件に比べて2.1万件増加して市場予想以上に悪化したが、4週移動平均が37.75万件となり前週時点の38.00万件から0.25万件低下した。米12月新築住宅販売件数(年率換算)は30.7万件となり、11月改定値31.4万件に比べて0.7万件減少して市場予想も下回った。米12月景気先行指数(コンファレンス・ボード)では先行指数が前月比0.4%上昇となり、11月の0.2%上昇に比べて改善したが市場予想を下回った。1月27日には、米第4四半期実質GDP速報値が前期比年率プラス2.8%となり、第3四半期の同プラス1.8%に比べて改善したが市場予想を下回った。米1月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値は75.0となり、速報値の74.0から上方修正され12月確報値の69.9に比べて大幅上昇した。

  なお1月25日には、米FOMC(連邦公開市場委員会)声明が「異例の低金利水準を少なくとも14年終盤まで継続する」「2%のインフレーションを目標にする」とし、記者会見ではバーナンキ米FRB(連邦準備制度理事会)議長が量的緩和策第3弾(QE3)に含みを持たせた。

  外国為替市場はやや乱高下した。ドル・円相場は、日本の11年貿易収支が31年ぶりの赤字となったことなどを材料視してポジション調整のドル買い戻しが進み、1月25日の海外市場で一時1ドル=78円台前半に円が下落する場面があった。しかし米FOMC声明を受けて米長期金利が低下したため、一転してドル売り・円買い方向に傾き、週末1月27日には1ドル=76円台半ばに円が上昇した。ユーロ・円相場は、週前半はユーロ買い戻しが優勢となって円安方向に傾き、1月26日の海外市場で一時1ユーロ=102円台前半に円が下落する場面があった。その後はユーロ買い戻しが一服して円高方向に傾き、1月27日の東京市場では1ユーロ=100円台後半に円が上昇する場面があった。週末1月27日の海外市場で終盤は、1ドル=76円70銭近辺、1ユーロ=101円40銭近辺だった。

  前週末1月27日の米国株式市場の主要株価指数は高安まちまちだった。ダウ工業株30種平均株価は前日比74ドル17セント(0.58%)安の1万2660ドル46セントとなり続落した。利益確定売りが優勢だったが、下落幅を縮小する場面もあり下値は限定的だった。米第4四半期実質GDP速報値が前期比年率プラス2.8%となり、第3四半期の同プラス1.8%に比べて改善したが、市場予想を下回ったことで失望感につながった。米1月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値は75.0となり、速報値の74.0から上方修正されて12月確報値の69.9に比べて大幅上昇したが、市場の反応は限定的だった。S&P500株価指数は前日比0.16%安と小幅に続落した。ナスダック総合株価指数は前日比0.40%高と反発した。

  このため週初1月30日の日本株式市場では、前週末の外国為替市場で1ドル=76円台半ばに円が上昇したことや、米国株式市場でダウ工業株30種平均株価が続落した流れを受けて、売り優勢でのスタートとなりそうだ。その後は為替動向が焦点となり、為替がドル安・円高進行の流れになれば軟調展開、為替が落ち着いた動きになれば堅調展開となりそうだ。為替動向については、週末2月3日に米1月雇用統計を控えているため、様子見ムードが強まる可能性もあるだろう。

  また日本の主要企業の11年10~12月期決算発表も本格化する。地合いが悪化する軟調展開であれば、好決算でも材料出尽くしで売られる可能性があるだろう。ただし12年3月期の収益悪化懸念は織り込み済みであり、13年3月期の収益改善期待に市場の関心がシフトする可能性も高いだろう。

  テクニカル面で見ると、日経平均株価(27日時点の8841円22銭)の移動平均線に対する乖離率は25日移動平均線(同8540円45銭)に対して3.52%、75日移動平均線(同8588円75銭)に対して2.93%とプラス乖離を維持しており、当面の下値支持線として意識される形である。200日移動平均線(同9094円02銭)に対してはマイナス2.77%となりマイナス乖離幅を縮小している。これを突破すれば上昇基調への転換期待が高まる。なお東証1部市場の騰落レシオ(25日移動平均)は27日時点で124.0%となり、短期的な過熱感が警戒される水準となっている。

■注目スケジュール

  来週の注目スケジュールとしては、国内では、1月31日の11月住宅着工戸数、11月大手建設受注、12月完全失業率、12月有効求人倍率、12月家計調査、12月鉱工業生産速報、日銀金融政策決定会合議事録(01年7~12月分)公表、2月1日の12月毎月勤労統計、2月2日のマネタリーベースなどがあるだろう。その後の注目イベントとしては、2月8日の11年12月および11年経常収支、9日の12月機械受注、13日の11年10~12月期GDP1次速報値、13日~14日の日銀金融政策決定会合などが予定されている。

  海外では、1月30日のドイツ1月消費者物価指数速報値、スペイン第4四半期GDP速報値、ユーロ圏1月景況感・業況感指数、フランス短期債入札、イタリア国債入札、独仏伊首脳会談、EU非公式首脳会議、米12月個人所得・消費支出、1月31日のユーロ圏12月失業率、米11月S&Pケース・シラー住宅価格指数、米1月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、米第4四半期雇用コスト指数、米週間チェーンストア売上高、米週間レッドブック大規模小売店売上高、米議会予算局「予算と経済見通し」公表、2月1日の中国1月PMI、ユーロ圏1月製造業PMI改定値、ユーロ圏1月消費者物価指数速報値、ドイツ10年債入札、米12月建設支出、米1月ADP雇用リポート、米1月ISM製造業景気指数、米住宅ローン・借り換え申請指数、米1月自動車販売台数、プロッサー米フィラデルフィア地区連銀総裁の講演、2月2日の豪12月貿易収支、ユーロ圏12月生産者物価指数、米1月企業人員削減数(チャレンジャー社)、米1月チェーンストア売上高、米第4四半期労働生産性・単位労働コスト速報値、米新規失業保険申請件数、バーナンキ米FRB(連邦準備制度理事会)議長の議会証言、2月3日の中国1月サービス部門PMI、ユーロ圏12月小売売上高、ユーロ圏1月総合・サービス部門PMI改定値、米12月製造業新規受注、米1月雇用統計、米1月ISM非製造業景気指数、フィッシャー米ダラス地区連銀総裁の講演などがあるだろう。

  その後の注目イベントとしては、2月7日の豪中銀理事会、8日~9日の英中銀金融政策委員会、9日の中国1月PPI・CPI、9日の韓国中銀金融政策決定会合、9日のECB理事会と記者会見、米伊首脳会談、10日の中国1月貿易統計、米2月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、13日のギリシャ債務交換の最終案提示期限、オバマ米大統領の2013会計年度予算教書発表、15日のユーロ圏第4四半期GDP速報値などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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