【株式市況を検証】日米欧主要中央銀行のドル資金供給拡充策発表で過度な警戒感が緩和

2011年12月3日 18:13

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【株式市場フラッシュ:11月28日~12月2日の週の日本株式市場】

■日経平均株価、TOPIXともに大幅反発

  11月28日~12月2日の週の日本株式市場では、日経平均株価(225種)、TOPIXともに5週ぶりの上昇に転じた。週間上昇率は日経平均株価が483円74銭(5.93%)、TOPIXが37.54ポイント(5.32%)だった。週末2日の終値は、日経平均株価が8643円75銭で11月14日(8603円70銭)以来となる8600円台を回復した。またTOPIXは744.14で11月9日(749.40)以来の水準に回復した。

  21日~25日の週に大幅下落した反動に加えて、30日には日米欧主要6カ国・地域の中央銀行が、ドル資金供給を拡充するための協調対応策を発表したため、金融市場の緊張が和らぐとの期待感が高まった。中国人民銀行が08年12月以来、ほぼ3年ぶりに預金準備率を引き下げて金融緩和方向に転じたことも好感した。外国為替市場で円高が一服したことも支援材料だった。

  ユーロ圏の債務危機問題については、主要各国の国債利回り上昇が続いていたため各国の国債入札が注目された。29日のイタリア国債入札では落札利回りが過去最高水準だったが、応札倍率が上昇したため一定の需要があるとして過度な警戒感が後退した。その後の入札も概ね順調だったため、各国の国債利回りはやや落ち着いた展開となった。市場が期待するECB(欧州中央銀行)の役割拡大やユーロ共同債の導入については、メルケル独首相が引き続き反対の立場を強調したが、29日のユーロ圏財務相会合ではEFSF(欧州金融安定基金)の機能拡充、12月8日~9日のEU首脳会議ではEU条約改正に関する協議が進展するとの期待感も高まった。なお29日のユーロ圏財務相会合では、ギリシャ向け融資の実行、EFSFの機能拡充、IMF資金源拡大の検討などで合意したが、特に目立った進展はなく、EFSFの規模は1兆ユーロに達しない見通しとなった。

  米国の主要経済統計を見ると28日には、米10月新築1戸建て住宅販売が前月比1.3%増加して市場予想を上回った。30日には、米11月ADP雇用リポートで民間の非農業部門雇用者数が20.6万人となり、前月の11.0万人から大幅に増加して市場予想の13.0万人も上回った。米11月シカゴ購買部協会景気指数(PMI)は62.6となり、前月の58.4から上昇して市場予想も上回った。1日には、米11月ISM製造業景況感指数が52.7となり、前月の50.8から上昇して市場予想も上回った。新規失業保険申請件数は40.2万件となり、前週比0.6万件増加して市場予想よりやや悪化した。2日には、米11月雇用統計で失業率は8.6%となり、前月の9.0%に比べて0.4ポイント低下して市場予想以上に改善した。非農業部門雇用者数は12.0万人増加となり、市場予想をやや下回ったが前月改定値の10.0万人に比べて改善した。概ね堅調な結果となり、米景気の2番底に対する警戒感はやや後退している。

  外国為替市場では、ドル・円相場は概ね1ドル=77円台後半~78円台前半で推移した。ユーロ・円相場は週後半に1ユーロ=104円台後半~105円台前半に円が下落した。いずれも円高が一服した形となった。

  テクニカル面で見ると、日経平均株価(2日時点の8643円75銭)の移動平均線に対する乖離率は、25日移動平均線(同8573円14銭)に対しては0.82%のプラス乖離に転じたため、当面は下値支持線として意識される形になった。75日移動平均線(同8682円51銭)に対してはマイナス0.44%、200日移動平均線(同9378円74銭)に対してはマイナス7.83%となり、いずれもマイナス乖離幅を大幅に縮小した。東証1部市場の騰落レシオ(25日移動平均)は2日時点で95.7%となっている。

  なお東証1部市場の売買代金は、29日まで11営業日連続の1兆円割れとなり、30日と1日は1兆円を超えたが、2日には1兆円を割り込むなど薄商いの状況が続いている。

  日経平均株価の終値で騰落状況を見ると、28日は前週末比127円48銭(1.56%)高で6営業日ぶりに大幅反発、29日は前日比190円33銭(2.30%)高で大幅続伸、30日は前日比43円21銭(0.51%)安で3営業日ぶりに反落、1日は前日比162円77銭(1.93%)高で大幅反発、2日は前日比46円37銭(0.54%)高で続伸した。日中の値幅は28日が62円30銭、29日が126円44銭、30日が73円65銭、1日が76円79銭、2日が51円82銭だった。

  日経平均株価の週末2日の終値は8643円75銭で、前週末25日の終値8160円01銭に比べて483円74銭(5.93%)上昇した。週間ベースで5週ぶりの上昇となった。取引時間中ベースの週間高値は1日の8653円88銭、週間安値は28日の8259円71銭、1週間の取引時間中の値幅は384円04銭だった。なお月間ベースで見ると、11月末(30日)の終値は8434円61銭で、10月末(31日)の終値8988円39銭に比べて553円78銭(6.17%)下落した。2カ月ぶりの下落だった。

  TOPIXの週間騰落状況を見ると、週末2日の終値は744.14で、前週末25日の終値706.60に比べて37.54ポイント(5.32%)上昇した。週間ベースで見ると5週ぶりの上昇となった。取引時間中ベースの週間高値は1日の746.44、週間安値は28日の713.98だった。2日時点のNT倍率は11.62倍で、前週末25日時点の11.55倍に対して0.07ポイント上昇した。月間ベースで見ると11月末(30日)の終値は728.46で、10月末(31日)の終値764.06に比べて35.60ポイント(4.66%)下落した。2カ月ぶりの下落だった。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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