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懐かしい「飛ばし」という大見出し、90年代初めのマスコミ報道=浅妻昭治

上場会社や経済官庁の記者会見に出席するのは、経済部や証券部の記者と決まっている。幹事会社の代表質問のあと、どこの新聞社の記者が、質問の口火を切るか、上場会社や経済官庁の答えがどうなるかもおおよそ察しがつき、記者会見は、すべては想定問答集通りに進行するのが普通である。[写真拡大]
【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】
上場会社や経済官庁の記者会見に出席するのは、経済部や証券部の記者と決まっている。幹事会社の代表質問のあと、どこの新聞社の記者が、質問の口火を切るか、上場会社や経済官庁の答えがどうなるかもおおよそ察しがつき、記者会見は、すべては想定問答集通りに進行するのが普通である。
ところが、この記者会見に社会部の記者が出席すると、雰囲気は一変する。社会部の記者が出席するということは、記者会見そのものがスキャンダル絡みの緊急会見ということになる。記者の数は膨れ上がり、会見場にテレビカメラが入り、カメラマンが大挙押し寄せ、騒然として緊張感が走る。質疑の方向も、想定問答集のワクには収まらず予測不可能で、記者の厳しい詰問に担当者の答えは防戦一方となり、広報担当者も制御不能になる。
「損失隠し」発覚で株価が急落し「監理銘柄」に指定されたオリンパス <7733> の記者会見も、現場には立ち会ってはいないが、その雰囲気はおおよそ想像ができるというものである。関連の新聞記事には、あの懐かしい「飛ばし」という大見出しが躍った。20年も前の1990年代初めのマスコミ報道が激化した証券不祥事当時に、新聞紙面を飾った証券用語である。「営業特金」、「握り」、「損失補てん」などとスキャンダルが次々と発覚し、ついには当時の故橋本龍太郎蔵相の辞任にまで発展した。
国会の特別委員会の証人喚問には、社会部の記者が押し寄せて記者席は満杯となり、兜町のあちこちでは、大手証券の子会社が入居するビルの前にテレビカメラやカメラマンが、張り付いて屯するのが目撃された。この取材攻勢の目指すところはただ1つである。記者用語でいうところの「クビを取る(辞任)」か「縄付き(刑事被告人)を出す」かのいずれである。
ともに監理銘柄に指定されたオリンパスと大王製紙 <3880> の上場維持問題は、予断を許さない。東京市場は、欧米市場や中国市場の動向に振り回されて独自材料に事欠くといわれ続けてきたが、監理銘柄2銘柄は、日本企業のコンプライアンス(法令遵守)・ガバナンス(企業統治)問題としてマイナスの独自性を発揮し、売りの引き金材料とならないとも限らない。
閑話休題。東京証券取引所には、11月29日に「東証マザーズCore指数」と連動する上場投資信託(ETF)が上場されるが、この上場を記念して東証が開催する上場セレモノーには、まさか社会部の取材攻勢はないはずである。個人投資家にも参加を募り、同時に東証マザーズの市況活性化シンポジウムも開催するから、ことによれば、これは東京市場のポジティブは独自材料になるかもしれない。(続きと詳細は「浅妻昭治のマーケットセンサー:メールマガジン」に掲載。果たして注目銘柄は?)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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