【相場展望】ユーロ不安や企業業績に対する警戒感で手控えムード

2011年11月6日 16:15

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【株式市場フューチャー:11月7日~11日の株式市場見通し】

■悪材料出尽くしの可能性も

  来週(11月7日~11日)の日本株式市場では、ユーロ圏の債務危機問題が再燃したため、引き続き海外要因に神経質な展開に変化はない。また、外国為替市場での円の高止まりやタイの大洪水の影響などで、通期見通しの下方修正が相次いだ企業業績への警戒感もあり、手控えムードの強い展開が想定される。ただしユーロ不安が落ち着けば、悪材料出尽くし感が広がり、下値不安が後退する可能性もあるだろう。

  前週(10月31日~11月4日)の日本株式市場(3日は休場)は、日経平均株価(225種)、TOPIXともに週間ベースで2週ぶりに下落した。ギリシャの国民投票実施問題で政治的混迷を深めたため、ユーロ圏債務危機問題に対する警戒感が再燃した。また、外国為替市場での円の高止まりやタイの大洪水の影響で、主要企業の通期業績見通しの下方修正が相次いだことも警戒感につながった。

  ユーロ圏の債務危機問題に関しては、10月26日のEU首脳会議およびユーロ圏首脳会議において危機拡大阻止に向けた包括戦略を合意したため、一旦は過度な警戒感が後退していた。しかし10月末以降、イタリア国債の利回りが上昇し、EFSFの規模拡大が難航するとの見方も広がった。そしてギリシャのパパンドレウ首相が突然、ユーロ圏残留か離脱かを問う国民投票を実施すると発表したため、ユーロ不安が再燃して週前半の世界の株式市場の急落につながった。11月4日には、ギリシャ議会で野党が包括的支援策を受け入れる見通しとなり、国民投票が撤回されて内閣信任投票も可決されたが、政治的混迷を深める展開となった。

  また3日~4日のG20首脳会議では、欧州支援を継続する姿勢を打ち出したが、メルケル独首相が「EFSFに対する各国からの協力確約の表明が得られなかった」と発言し、IMF(国際通貨基金)の資金増強策に関しても具体策の合意に至らなかったことが失望感につながった。さらに、イタリアの国債利回りが上昇していることに加えて、ベルルスコーニ伊首相に対する辞任要求が表面化するなど政治的不透明感も増していることを受けて、IMFがイタリアの財政再建状況を直接監視することになった。

  米国の主要経済統計には依然として強弱感が交錯している。10月31日には、米10月シカゴ地区購買部協会景気指数が市場予想を下回った。11月1日には、米10月ISM製造業景気指数が50.8となり前月の51.6から悪化して市場予想も下回った。2日には、米10月ADP雇用リポートが前月比10万人増加して市場予想を上回った。3日には、米新規失業保険申請件数が39.7万件となり5週ぶりに40万件を下回った。米10月ISM非製造業景況指数は52.9となり市場予想を下回った。4日には、米10月雇用統計で失業率が9.0%となり前月比0.1ポイント改善したが、依然として高水準だった。非農業部門雇用者数の増加は8.0万人にとどまり市場予想を下回ったが、8~9月分が大幅に上方修正された。

  また主要各国の金融政策に関しては、世界的な景気減速懸念を受けて追加緩和の動きが鮮明になっている。2日の米FOMC(連邦公開市場委員会)で量的緩和策第3弾(QE3)は見送られたが、バーナンキ米FRB(連邦準備制度理事会)議長は追加緩和の選択肢としてMBS(住宅ローン担保証券)の購入に言及した。また3日には、ECB(欧州中央銀行)が予想外の政策金利引き下げを発表し、ドラギECB新総裁は記者会見でユーロ圏の景気下振れリスクを強調した。

  そして外国為替市場でドル・円相場は、10月21日の海外市場で1ドル=75円78銭、25日の海外市場で1ドル=75円73銭、26日の海外市場で1ドル=75円71銭、27日の海外市場で1ドル=75円67銭、31日の早朝時間帯に1ドル=75円32銭まで上昇し、円の戦後最高値更新が続いた。そして31日午前、日本政府・日銀がドル買い・円売り市場介入を実施したため、一時1ドル=79円50銭台まで円が下落し、週後半は概ね1ドル=78円台前半で推移した。しかし、ドル買い・円売り市場介入の効果持続には懐疑的な見方が多いだけに、ドル買い・円売り市場介入が継続的に実施されるかどうかが当面の焦点だろう。

  企業業績に関しては主要企業の7~9月期決算発表がほぼ出揃った。小売、サービスなどの内需関連が堅調で、鉱業、石油、総合商社などの資源関連も好調だった。しかし一方で、鉄鋼、機械、自動車、電機、自動車・電子部品、海運などの輸出関連・景気敏感関連セクターでは、通期業績見通しの下方修正が相次いだ。世界的な景気減速、外国為替市場での円の高止まりとともに、タイの大洪水による生産停止の影響も深刻化している。一部の企業では、タイの現地生産再開に向けた動きも出始めたが、生産への影響が長期化すれば下期の一段の下振れリスクとなるため、警戒感が強まっている。

  また前週末4日の米国株式市場ではダウ工業株30種平均株価が前日比61ドル23セント(0.51%)安と3営業日ぶりに反落した。S&P500株価指数とナスダック総合株価指数も3営業日ぶりに反落した。G20首脳会議でEFSF(欧州金融安定基金)に対する各国からの協力確約の表明が得られず、IMF(国際通貨基金)の資金増強策に関して具体策の合意に至らなかったことが失望感につながった。ギリシャの国民投票は回避されたが、ギリシャ議会での内閣信任投票やベルルスコーニ伊首相に対する辞任要求など、政治的不透明感も警戒された。米10月雇用統計に対する反応は限定的だった。

  こうした流れを受けて来週7日の日本株式市場は、売り優勢のスタートとなりそうだ。ギリシャ議会では内閣信任投票が可決され、国民投票も回避されたが、政治的混迷や不透明感が嫌気されるだろう。また外国為替市場での円の高止まりや、タイの大洪水による企業業績への悪影響に対する警戒感も強いだけに、手控えムードを強めそうだ。

  ただし、ギリシャの国民投票が回避されたことで、ユーロ圏崩壊という最悪のシナリオに対する警戒感が和らいだだけに、ギリシャの連立内閣発足に向けた動きが加速すれば、当面の安心感につながるだろう。また企業業績に対する警戒感についても、通期業績見通しの下方修正が一巡し、一旦は悪材料出尽くしとなる可能性もあるだろう。

  テクニカル面で見ると、日経平均株価(4日時点の8801円40銭)の移動平均線に対する乖離率は、25日移動平均線(同8734円00銭)に対しては0.77%のプラス乖離を維持したが、75日移動平均線(同8980円02銭)に対してはマイナス1.98%となり、上値抵抗線として意識される形になった。当面は25日移動平均線の維持と、75日移動平均線の突破が焦点となる。

■注目スケジュール

  来週の注目スケジュールとしては、国内では、7日の9月景気動向指数CI速報値、9日の9月経常収支、10月景気ウォッチャー調査、10日の9月機械受注、10月マネーストック統計、10月消費動向調査、11日の9月第3次産業活動指数、10月企業物価指数、APEC閣僚会議などがあるだろう。そして12日~13日にはAPEC首脳会議、14日には7~9月期GDP1次速報値、15日~16日には日銀金融政策決定会合を控えている。

  海外では、7日の独9月鉱工業生産、ユーロ圏9月小売売上高、ユーロ圏財務相会合、米9月消費者信用残高、国際決済銀行(BIS)主要国中央銀行総裁会議、8日の豪9月貿易収支、独9月貿易収支、仏9月貿易収支、EU財務相理事会、米週間チェーンストア売上高、米週間レッドブック大規模小売店売上高、米3年債入札、コチャラコタ米ミネアポリス地区連銀総裁の講演、プロッサー米フィラデルフィア地区連銀総裁の講演、9日の中国10月主要経済統計(PPI、CPI、小売売上高、鉱工業生産、固定資産投資)、英9月貿易収支、英中銀金融政策委員会(~10日)、米9月卸売在庫、米住宅ローン・借り換え申請指数、米10年債入札、10日の中国10月貿易統計、英中銀金融政策委員会(金利発表)、ECB月報、米9月貿易収支、米10月輸出入物価、米10月財政収支、米新規失業保険申請件数、米30年債入札、ロックハート米アトランタ地区連銀総裁の講演、エバンズ米シカゴ地区連銀総裁の講演、11日の韓国中銀金融政策決定会合、スペイン第3四半期GDP、米11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値、イエレン米FRB副議長とエバンズ米シカゴ地区連銀総裁の講演などがあるだろう。そして12日~13日にはAPEC首脳会議、15日にはユーロ圏第3四半期GDP速報値、米11月ニューヨーク州製造業景況指数、17日にはフィラデルフィア地区連銀業況指数を控えている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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