【外国為替市場展望:ユーロ・円相場】ユーロ危機に対する警戒感の落ち着き次第

2011年10月16日 12:28

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【外国為替市場フューチャー:10月17日~21日の週・ユーロ・円相場】

■銀行への資本注入策の具体化が焦点、ユーロ買い戻し継続の可能性も

  来週(17日~21日)のユーロ・円相場については、ユーロ危機に対する警戒感が強い状況に変化はなく、引き続きこうした警戒感の落ち着き次第の展開だろう。ただし、ユーロ圏の銀行に対する資本注入策が早期に具体化するなど、ユーロ危機拡大を阻止するための包括的対策が進展するとの期待感が高まれば、ユーロ買い戻しの動きが継続する可能性があるだろう。

  前週(10月10日~14日)のユーロ・円相場(10日の東京市場は休場)では、ユーロ買い戻しが優勢になり、週後半には概ね1ユーロ=106円台~107円台に円が下落した。前週末14日の海外市場でも、1ユーロ=107円10銭~30銭近辺に円が下落して取引を終了した。トロイカ合同調査団がギリシャに対する80億ユーロの次回融資実行で合意したこと、スロバキア議会がEFSF(欧州金融安定基金)機能拡充案を可決したことに加えて、ユーロ圏の銀行に対する資本注入に対する期待感の高まりで、当面の過度な警戒感が後退した。また「日本政府が来週にも新たな円高対策を発表する」との一部報道も円売りにつながった。格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)がスペイン国債の格付けを引き下げたことの影響は限定的だった。

  ギリシャのデフォルト(債務不履行)、イタリアやスペインなど南欧諸国のソブリンリスク、ユーロ圏の金融システム、そしてリセッション(景気後退)に対する警戒感は根強く、EFSF機能拡充案に関しても、今回の拡充では規模的に不十分という見方が優勢である。

  ただし、9日の独仏首脳会談ではユーロ圏の金融機関に対する資本増強計画を11月3日のG20首脳会議までにまとめることで合意し、ギリシャ債務問題を含めてユーロ安定に向けた包括的な対策を提案する考えも表明した。12日にはバローゾ欧州委員長が銀行の自己資本比率の大幅引き上げを求める方針を示し、ユーロ危機拡大を阻止するための包括的対策が進展するとの期待感が高まっている。このため、銀行への資本注入に関する具体策が早期に示されれば、リスク回避の動きが後退してユーロ買い戻しが継続する可能性があるだろう。14日~15日のG20財務相・中央銀行総裁会議、18日のバーナンキ米FRB議長の講演、20日のECB理事会、23日のEU首脳会議なども注目材料だろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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