【相場展望】7日の米9月雇用統計を控えて様子見ムードだがドル・円相場の流れに注目

2011年10月2日 15:15

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【株式市場フューチャー:10月3日~7日の株式市場見通し】

■海外要因を睨みながら神経質な展開

  来週(10月3日~7日)の日本株式市場では、引き続き海外要因に神経質な展開となりそうだ。世界的なリセッション(景気後退)やソブリンリスク拡大に対する警戒感が根強いため、ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念やユーロ圏の金融システム不安の落ち着きが最大の焦点となり、7日の米9月雇用統計を控えて様子見ムードも強めるだろう。ただし前週末9月30日の海外市場で、ドル・円相場が1ドル=77円10銭台まで下落したため、この流れが続くかどうかも注目点だろう。

  前週(9月26日~30日)の株式市場は、世界的に警戒感を引きずる展開だった。ギリシャのデフォルト懸念が収束せず、米国の主要経済指標には強弱感が交錯し、世界的なリセッションに対する警戒感が強まった。日本の株式市場も海外要因に神経質な展開が続いた。日経平均株価(225種)、TOPIXともに、週間ベースでは2週ぶりの上昇となったが、いずれも9月26日には年初来安値を更新している。

  そして前週末9月30日の米国株式市場が大幅下落したため、週初10月3日の日本株式市場は、売り先行で軟調なスタートが想定される。その後は、PBR(株価純資産倍率)で見た日本株の割安感を下支え要因として期待したいところだが、ギリシャに対するトロイカ調査団の査定とユーロ圏財務相会合の動向、EFSF(欧州金融安定基金)機能拡充に関するユーロ加盟各国議会での採決動向、米国の主要経済統計の動向などが焦点となり、週末7日の米9月雇用統計を控えて様子見ムードも強めるだろう。

  ソブリンリスクに関する前週の動きを見ると、EFSFの機能拡充に対する期待感が高まり、9月29日にはドイツ連邦議会がEFSFの機能拡充に関する法案を可決した。しかし最終的にはユーロ加盟国の全会一致の同意が必要となるため、各国での採決が終了する10月中旬までは安心できないとの見方が広がった。さらに、今回の拡充案が各国で承認されても、債務国救済には規模的に不十分という見方が優勢だけに、警戒感を引きずる可能性が指摘されている。また、ユーロ加盟各国間の足並みの乱れを示す要人発言にも、警戒が必要となるだろう。

  ギリシャに対する次回融資の問題については、EU(欧州連合)、ECB(欧州中央銀行)、IMF(国際通貨基金)のトロイカ合同調査団によるギリシャ査定が行なわれ、その報告書に基づいてユーロ圏財務相会合で決定される予定だが、当初の10月上旬の融資というスケジュールが遅れる模様であり、不透明感が増している。

  米国の主要経済統計には強弱感が交錯している。前週の主要統計を見ると、9月27日には、米9月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)が8月に比べて小幅に改善したが、市場予想を下回った。28日には米8月耐久財受注が減少して市場予想を下回った。29日には、米4~6月期実質GDP(国内総生産)確定値が上方修正され、米新規失業保険申請件数が市場予想以上に改善した。30日には、米8月個人所得が減少して市場予想を下回り、個人消費支出が鈍化した。一方で、米9月シカゴ地区購買部協会景気指数は市場予想以上に改善し、米9月ミシガン大学消費者信頼感指数確報値は速報値から上方修正された。

  また前週の外国為替市場では、ドル・円相場が概ね1ドル=76円台半ば~後半で推移した。ユーロ・円相場は、9月26日に1ユーロ=101円90銭台まで円が上昇する場面もあり、概ね1ユーロ=103円台~104円台で推移した。いずれも円の高止まり状況が続いているため、日本株式市場の圧迫要因となっている。ただしドル・円相場では、日本の輸出企業による9月期末のドル売り・円買い需要が一巡し、30日の海外市場で1ドル=77円10銭台まで円が下落した。7日の米9月雇用統計を控えて様子見ムードを強めると想定されるが、当面はドル買い・円売りが優勢となる可能性もあるだろう。ユーロ・円相場については、ユーロ圏9月消費者物価指数の速報値が8月から拡大して市場予想も上回ったため、ECBの利下げ観測が急速に後退している。このため、一時的にユーロ買い戻しにつながる可能性もあるだろう。外国為替市場の動向にも注目しておきたい。

  テクニカル面で見ると、日経平均株価(前週末9月30日時点)の移動平均線に対する乖離率は、25日移動平均線に対してマイナス0.33%、75日移動平均線に対してマイナス6.43%、200日移動平均線に対してはマイナス10.78%となっている。下値固めに加えて、上値抵抗線として意識される25日移動平均線の突破が、当面のポイントになるだろう。さらに需給面で見ると、外国人投資家の売り越し基調の変化が焦点となるだろう。

■注目スケジュール

  来週の注目スケジュールとしては、国内では、10月3日の9月日銀短観、9月新車販売台数、4日の8月毎月勤労統計、9月マネタリーベース、6日の日銀金融政策決定会合(1日目)、7日の8月景気動向指数CI速報値、日銀金融政策決定会合(2日目)、などがあるだろう。

  海外では、10月1日の中国10月購買担当者景気指数(PMI)、3日のユーロ圏9月製造業PMI改定値、ユーロ圏財務相会合、米8月建設支出、米9月ISM製造業景気指数、米9月自動車販売台数、ラッカー米リッチモンド地区連銀総裁の講演、4日の豪8月貿易収支、豪中銀理事会(金利発表)、ユーロ圏8月生産者物価指数、EU財務相理事会、米8月製造業新規受注、米週間チェーンストア売上高、米週間レッドブック大規模小売店売上高、バーナンキ米FRB議長の議会(上下両院合同経済委員会)証言、5日の英第2四半期GDP確報値、英中銀金融政策委員会(~6日)、ユーロ圏8月小売売上高、ユーロ圏9月総合・サービス部門PMI改定値、ユーロ圏第2四半期GDP改定値、ECB理事会(~6日)、米9月ADP全米雇用リポート、米9月企業人員削減数、米9月ISM非製造業景気指数、米住宅ローン・借り換え申請指数、6日の英中銀金融政策委員会(金利発表)、独8月鉱工業受注、ECB理事会(金利発表)、米9月チェーンストア売上高、米新規失業保険申請件数、7日の仏8月貿易収支、英8月鉱工業生産、独8月鉱工業生産、米8月卸売在庫、米8月消費者信用残高、米9月雇用統計、ロックハート米アトランタ地区連銀総裁の講演、などがあるだろう。

  なお中国は10月3日~7日(国慶節)、韓国は10月3日(建国記念日)、香港は5日(重陽節)、インドは6日(ヒンズー教デセラ祭)が休場となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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