【相場展望】海外要因を睨みながら引き続き神経質な展開に

2011年8月28日 08:30

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【株式市場フューチャー:8月29日~9月2日の株式市場見通し】

■次のイベントは週末9月2日の米8月雇用統計

  来週(8月29日~9月2日)の株式市場は、次の重要イベントとして週末9月2日に米8月雇用統計の発表を控えており、引き続き米国株式市場や外国為替市場の動向などを睨みながら、海外要因で神経質な展開となりそうだ。

  前週末8月26日、世界の金融市場の関心を集めたジャクソンホール・シンポジウムという重要イベントを通過した。バーナンキ米FRB(連邦準備制度理事会)議長は、量的緩和策第3弾(QE3)に関して具体的には言及しなかったが、次回9月のFOMC(連邦公開市場委員会)で追加緩和の検討を続けるとした。

  バーナンキ米FRB議長の講演内容は結果的に、ほぼ事前の市場のコンセンサスの範囲だったが、追加緩和策の可能性が残ったことや、重要イベントを通過したことを好感して、26日の米国株式市場では、ダウ工業株30種平均株価が前日比134ドル72セント(1.21%)高と反発した。こうした流れを受けて、週初29日の日本株式市場は買い先行でのスタートが想定される。

  しかし、世界的なリセッション(景気後退)やソブリンリスクに対する警戒感は強い。そして次は、8月30日の米8月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、31日の米8月ADP雇用リポート、9月1日の米8月ISM製造業景気指数、2日の米8月雇用統計など、重要な経済指標の発表が相次ぐため、株式市場、外国為替市場ともに、神経質な展開が続きそうだ。

  外国為替市場では、リスク回避の動きと円売り市場介入に対する警戒感が交錯する状況で、ドル・円相場は1ドル=76円台~77円台、ユーロ・円相場は1ユーロ=110円台~111円台と、円の高止まり状況が続いている。主要経済指標の内容次第では、円買い圧力が増す可能性もあるだろう。

  テクニカル面で見ると、東証1部市場の騰落レシオ(25日移動平均)は前週末26日時点で67.9%であり、依然として売られ過ぎゾーンにある。さらに前週末26日時点で、日経平均株価の移動平均線に対するマイナス乖離率を見ると、25日移動平均線に対しては5.13%、75日移動平均線に対しては7.85%、200日移動平均線に対しては11.04%であり、依然としてマイナス乖離率は大きい。

  テクニカル・リバウンドがあっても不思議ではない水準であり、日経平均株価8700円台~8800円台近辺での下値固めが完了すれば、トレンド好転の可能性も想定されるだろう。ただしファンダメンタルズ面で見れば、国内主要企業の4~9月期業績見通しの修正発表が本格化する9月中旬ごろまでは、やや買い手掛かり難となるだけに、当面は米国の主要経済指標次第の展開だろう。

■注目スケジュール

  来週の注目スケジュールとしては、国内では、8月29日の民主党代表選、30日の7月有効求人倍率、7月完全失業率、7月家計調査、7月商業販売統計、31日の7月鉱工業生産速報、7月毎月勤労統計、7月住宅着工戸数、7月大手建設受注、9月2日の4~6月期法人企業統計、8月マネタリーベースなどがあるだろう。

  海外では、8月29日の独8月消費者物価指数速報値、トリシェECB(欧州中央銀行)総裁の欧州議会での証言、米7月個人所得・消費支出、米7月住宅販売保留指数、30日のユーロ圏8月景況感・業況感指数、米6月S&Pケース・シラー住宅価格指数、米8月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)、米週間チェーンストア売上高、米週間レッドブック大規模小売店売上高、米FOMC議事録(8月9日分)公表、コチャラコタ米ミネアポリス地区連銀総裁の講演、ブラジル中銀政策決定会合(~31日)、31日の独8月失業率、ユーロ圏7月失業率、ユーロ圏8月消費者物価指数速報値、米7月耐久財受注改定値、米7月製造業新規受注、米8月企業人員削減数、米8月ADP雇用リポート、米8月シカゴ地区購買部協会景気指数、米住宅ローン借り換え申請指数、ロックハート米アトランタ地区連銀総裁の講演、ブラジル中銀政策決定会合(最終日)、9月1日の豪7月小売売上高、中国8月PMI、ユーロ圏8月製造業PMI改定値、EU財務相理事会(予算会合)、米7月建設支出、米8月ISM製造業景気指数、米8月自動車販売台数、米8月チェーンストア売上高、米新規失業保険申請件数、2日のユーロ圏7月生産者物価指数、米8月雇用統計などがあるだろう。なお8月29日は英国、30日はシンガポール、31日はインドが休場となる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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