【外国為替市場を検証:ユーロ・円相場】リスク回避のユーロ売りがやや優勢

2011年8月20日 18:58

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【外国為替市場フラッシュ:8月15日~19日の週のユーロ・円相場】

■ユーロ・円相場は概ね1ユーロ=109円台~110円台

  8月15日~19日の週の外国為替市場でユーロ・円相場は、概ね1ユーロ=109円台~110円台で推移した。イタリアとスペインの国債利回り上昇やフランス国債格付け引き下げ観測など、欧州ソブリンリスクの波及拡大に対する警戒感が強まる中で、独仏首脳会談の内容が注目されたが、ユーロ共同債や欧州金融安定基金(EFSF)の増額に否定的だったことなどで、市場の不安を和らげるには不十分という見方が多く、リスク回避のユーロ売りがやや優勢だった。

  ユーロ・円相場の1週間の動きを振り返ってみよう。前週末12日の海外市場では、1ユーロ=108円80銭台~109円60銭台で推移し、ユーロ買い戻しが優勢だった。欧州4カ国で銀行株に対する空売り規制が実施され、安心感が広がって欧米株式市場が上昇し、リスク回避の動きがやや後退した。

  こうした流れを受けて15日の東京市場では、1ユーロ=109円60銭台~110円20銭台で推移した。ドイツがユーロ共同債に賛成の意向との報道でユーロ買い戻しがやや優勢だった。日本の4~6月期実質GDP(国内総生産)1次速報値は、前期比0.3%減(年率換算1.3%減)で市場予想ほど悪化しなかったが、反応は限定的だった。15日の海外市場では、1ユーロ=110円近辺でモミ合った後、1ユーロ=111円近辺に円が下落した。ECB(欧州中央銀行)が、12日までの週に流通市場で買い入れたユーロ圏諸国の国債が、過去最大規模の220億ユーロだったことが明らかになり、市場予想を上回ったとしてユーロ買い戻しが優勢になった。

  16日の東京市場では独仏首脳会談を控えて様子見ムードを強め、1ユーロ=110円30銭台~111円00銭台で推移した。16日の海外市場では、ユーロ圏4~6月期GDP(国内総生産)速報値が低調だったためユーロ売りが強まる場面もあったが、概ね1ユーロ=110円10銭台~111円00銭台で推移した。注目された独仏首脳会談では、ユーロ共同債や欧州金融安定基金(EFSF)の増額に否定的だったため、市場不安を和らげるには不十分という見方が広がったが、市場への影響は限定的だった。

  17日の東京市場では、1ユーロ=110円10銭台~50銭台で推移したが、独仏首脳会談後の記者会見の内容を受けてユーロ売りがやや優勢だった。17日の海外市場では、1ユーロ=110円10銭台~80銭台で推移し、ユーロ買い戻しがやや優勢になった。18日の東京市場では、1ユーロ=110円20銭台~50銭台で推移し、ユーロ売りがやや優勢だった。そして18日の海外市場では、リスク回避のユーロ売りが優勢となり、1ユーロ=109円20銭台に円が上昇した。

  19日の東京市場では、1ユーロ=109円20銭台~110円10銭台で推移し、ユーロ売りがやや優勢になった。19日の海外市場では、1ユーロ=109円20銭台~110円30銭台で推移し、ユーロ買い戻しがやや優勢になった。

  ECB(欧州中央銀行)によるイタリアとスペインの国債購入開始、欧州4カ国での銀行株に対する空売り規制により、ソブリンリスクに対する当面の過度な警戒感は和らいだ形である。しかし、ギリシャ国債の制限的デフォルト(債務不履行)に対する警戒感、イタリアとスペインの国債利回り上昇に対する警戒感、フランスへのソブリンリスク波及拡大に対する警戒感は根強い。そして世界的なリセッション(景気後退)に対する警戒感も加わり、リスク回避のユーロ売り・円買い圧力は依然として強い。16日の独仏首脳会談の結果も、市場不安を払拭するには不十分との見方が多く、当面はリスク回避のユーロ売り・円買い圧力が優勢となっている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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