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【読者と一問一答】米債務引上決定なのにNYダウはなぜ急落か?
【問い】 アメリカの債務引上が可決されたのに、なぜNYダウは2日(火)に265ドルも大きく下げたのですか。今後、どうなりますか。
【答え】 債務上限の引上が議会で通ればNYダウは好感して、高くなるという見方が多くありました。完全に期待外れとなりました。
★1万2000ドル台で「トリプル天井形成」
理由の1つには、NYダウが7月6日の1万2753ドルに対し、7月21日に1万2751ドルと、「二番天井」をつけ動きが悪くなっていたことがあります。さらに、もう少し前の5月2日の1万2876ドルまで含めると、1万2000ドル台では、相場を見る人なら全員が嫌がる「トリプル天井」形成となっています。このことが、強気より、弱気を増加させていると思います。
なぜ、1万2000ドル台をピークに調整となっているのか。ひとことで言えば、景気の下降懸念です。たとえば、6月の非農業部門の雇用者数増加が予想を大きく下回り1万5000人の増加にとどまり、6月の失業率が9.2%と悪化しました。昨年11月に実施されたQE―2と呼ばれる量的緩和効果が薄くなっているようです。
ならば、再び、政府支出を増やせばよさそうなものです。ところが、昨年11月に量的緩和のQE―2を実施した時はデフレの心配が強まっていました。当時に比べ、今は、景気が悪くなりつつあるとはいっても、まだデフレ懸念は出ていません。むしろ、これまでの量的緩和の副作用でインフレの心配が強い状況です。つまり、景気対策は非常に難しく、株がもっとも嫌がるスタグフレーション(経済停滞の中の物価高)に近い状況です。
債務枠2兆1000億ドルの拡大が認められた一方で、今後10年で2兆4000億ドルの財政赤字削減も求められています。軍事費を削るなどの、何らかの赤字削減が必要となってきます。景気にとってバラ色ということではないのです。
★相場がQE―3を催促も
株価はこうした経済のカジ取りの難しさ、景気の悪化を懸念して下げていると思われます。アメリカは個人の株式保有比率が高いため、株価が下がると逆資産効果となって消費にマイナスです。
もっとも、別の見方をすれば、株価が下がることで次の景気対策(QE―3)を催促する動きともみることができるでしょう。アメリカ政策当局の景気に対する発言などを注意深く見守ることが大切です。また、今週末に発表の7月の雇用統計も重要です。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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