【外国為替市場を検証:ユーロ・円相場】29日の海外市場で1ユーロ=110円台に円が上昇

2011年7月30日 20:59

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【外国為替市場フラッシュ:7月25日~29日の週】

■欧州ソブリンリスクに対する警戒感

  7月25日~29日の週の外国為替市場で、ユーロ・円相場は、週前半は概ね1ユーロ=112円台~113円台のレンジでモミ合う展開だったが、週後半にリスク回避のユーロ売り・円買いの展開となった。欧州ソブリンリスク拡大に対する根強い警戒感に加えて、欧州の景気減速も懸念され、週末29日の海外市場では1ユーロ=110円40銭台に円が上昇した。米連邦債務上限引き上げ問題に対する警戒感も、リスク回避の円買いにつながった。

  ユーロ・円相場の1週間の動きを振り返ってみよう。前週末22日はユーロの買い戻しが一巡し、東京市場では1ユーロ=113円台前半、海外市場では1ユーロ=112円台半ばに円が上昇してモミ合う展開だった。

  この流れを受けて25日の東京市場では、1ユーロ=112円台でモミ合う展開だった。米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがギリシャ国債の格付けを引き下げたが影響は限定的だった。25日の海外市場でも、概ね1ユーロ=112円台でモミ合う展開だった。26日の東京市場では、ユーロの買い戻しが優勢になり、一時1ユーロ=113円50銭台に円が下落した。また26日の海外市場では、1ユーロ=112円90銭台~113円20銭台で小動きだったが、ユーロ買い・円売りがやや優勢だった。

  27日の東京市場では、1ユーロ=112円台前半に円が上昇した。ショイブレ独財務相が欧州金融安定基金(EFSF)による国債購入に慎重な姿勢を示したとの報道で、欧州ソブリンリスクが意識されてユーロ売りが優勢になった。この流れを受けて27日の海外市場では、1ユーロ=111円90銭台に円が上昇した。28日の東京市場では、1ユーロ=111円50銭台に円が上昇した。さらに28日の海外市場では、一時1ユーロ=110円80銭台に円が上昇した。イタリア国債の低調な入札結果に加えて、ユーロ圏7月景況感指数の低下で景気減速懸念も強まり、ユーロ売りの展開となった。その後は1ユーロ=111円20銭台~40銭台にユーロが買い戻された。

  29日の東京市場では、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスによるスペイン国債格付け引き下げ方向見直しや、米連邦債務上限引き上げ問題を巡る米議会での採決見送りで、リスク回避の動きが強まり、1ユーロ=110円70銭近辺に円が上昇した。さらに29日の海外市場では、1ユーロ=110円40銭台に円が上昇した。欧州ソブリンリスクの再燃懸念や欧州景気減速懸念でユーロ売りの展開となった。

  ユーロ・円相場については、7月21日のユーロ圏緊急首脳会議でギリシャに対する第2次支援策(民間負担も含めて総額約1600億ユーロ)と、欧州金融安定基金(EFSF)の機能拡充を決定したため、欧州ソブリンリスクに対する当面の警戒感が和らいでいた。しかし、ギリシャ国債の制限的デフォルト(債務不履行)に対する警戒感がくすぶっていることに加えて、イタリアやスペインの国債利回りが再び上昇傾向となっているため、警戒感が再燃しかねない状況である。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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