『X-ファイル』新作がシリーズ化 ライアン・クーグラーのパイロット版は65mmで撮影

2026年10月16日 11:46

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記事提供元:Tech Times

米Huluは2026年10月13日、ライアン・クーグラーが手がける『X-ファイル』新作をシリーズ化すると発表した。主演はダニエル・デッドワイラーとヒメーシュ・パテル。米国での配信開始日と話数、日本での配信予定は発表されていない。

■新たな捜査官が未解明の事件を追う

ディズニーの発表によると、主人公は経歴も考え方も大きく異なる2人のFBI捜査官だ。未解明の現象に関わる事件を扱い、長く閉鎖されていた部署に配属された2人が、捜査を通じて関係を築いていく。

クーグラーはパイロット版の脚本、監督、製作総指揮を務め、シリーズでも製作総指揮を担う。ショーランナーはジェニファー・イェール。オリジナル版の企画者クリス・カーターも製作総指揮に名を連ねる。

製作にはOnyx Collective、20th Television、クーグラーらが設立したProximity Mediaが参加する。クーグラーは公式声明で、長年愛してきた『X-ファイル』の魅力に敬意を払いながら、自分たちなりの道を見つけたいと語った。

1993年に始まったオリジナル版では、デイヴィッド・ドゥカヴニー演じるモルダーとジリアン・アンダーソン演じるスカリーが、超常現象に関わる事件を捜査した。テレビシリーズは2016年と2018年にも制作され、劇場版も2作公開されている。今回の新作は、別の2人の捜査官を物語の中心に置く。

■65mmフィルムで撮影したパイロット版

撮影情報を扱うHollywood North Buzzによると、パイロット版は2026年5月11日から6月11日までカナダ・バンクーバーで撮影された。バンクーバーはオリジナル版の最初の5シーズンが撮影された街でもある。

映画情報サイトWorld of Reelは、パイロット版の上映時間は約2時間で、オータム・デュラルド・アーカポーが65mmフィルムで撮影したと報じている。同サイトは、シリーズ化決定前にパイロット版の劇場公開も検討されていたと伝えた。

アーカポーはクーグラー監督作『罪人たち』で、IMAX用65mmフィルムとウルトラ・パナビジョン70を使った撮影を手がけた。2026年3月には同作でアカデミー賞撮影賞を受賞し、この部門で初の女性受賞者となった。大判フィルムの選択は、新作の映像を考えるうえでも注目点になる。

テレビ作品での大判フィルム撮影には、35mmと65mmを併用した『ユーフォリア』シーズン3の例がある。65mmは35mmより大きな画面に像を記録できるが、見え方はレンズ、フィルム、現像、デジタル化、最終的な配信画質にも左右される。

■『罪人たち』と『X-ファイル』に通じる問い

『罪人たち』は1932年の米ミシシッピ州を舞台に、ブルース、共同体の歴史、吸血鬼の恐怖を重ねた作品だ。劇中では演奏が過去や未来の音楽文化を呼び起こすように描かれる。クーグラーはAndscapeの取材で、ブルースと精神性、超自然的なものとの関係を知るなかで、ホラーを物語に組み合わせたと語っている。

音楽や地域に受け継がれた経験を、登場人物が世界を理解する手掛かりとして使う。この描き方は、『X-ファイル』でモルダーとスカリーが異なる見方から同じ事件を追う構造を考える補助線になる。新作で2人の捜査官がどのような視点を持つかは、今後の物語の見どころだ。

オリジナル版では、モルダーが奇妙な出来事の説明を探し、医師でもあるスカリーが観察や検証を重視する。哲学者パースのいうアブダクション、つまり観察した事実を説明する仮説を立てる推論を重ねると、2人のやり取りを読み解きやすい。仮説を生み、証拠に照らして問い直す過程が、作品の推進力になってきた。

現実の米国でも、未確認異常現象(UAP)の報告や調査は公的な議論の対象になっている。米議会は2023年に軍関係者らを招いて公聴会を開き、NASAも同年、調査に必要なデータの収集方法などを検討した報告書を公表した。何を記録し、どう検証するかという問いは、『X-ファイル』の捜査劇に重ねて考えられる。

■架空の設定を読み解く科学の補助線

『X-ファイル』には、レトロウイルスを使った異星人と人間の交雑や、拉致体験の記憶をめぐる筋書きがある。現実の研究に目を向けると、ウイルス由来の配列が生物の遺伝情報に残ることや、思い出す行為に伴って記憶の状態が変わり得ることが分かっている。

国立遺伝学研究所によると、ヒトゲノムのおよそ8%は、祖先への感染に由来する内在性レトロウイルスの配列だ。これはウイルスと遺伝情報の関係を考える具体例になる。架空の交雑設定は、遺伝子の変化をめぐる物語として読むことができる。

神経科学者カリム・ネイダーらは2000年、ラットの恐怖記憶を呼び起こした後、脳の特定部位でタンパク質合成を妨げると、その記憶の表れ方が変わると報告した。研究の対象は実験で形成した恐怖記憶で、想起後の記憶が再び安定する「再固定化」を調べたものだ。記憶が常に固定された記録として扱われるわけではないという発想が、作品の記憶をめぐる謎を考える手掛かりになる。

作中の飛行体をめぐる描写には、高速移動や急な方向転換などもある。現実のUAP調査では、目撃情報に加えて観測データを集め、現象を特定していく。捜査官が証言と証拠をどう扱うかという点に、フィクションと現実の調査に通じる情報処理の構造が見える。

■出演者と今後の発表

主演のデッドワイラーは『ティル』でメイミー・ティルを演じ、『ピアノ・レッスン』にも出演した。パテルは『イエスタデイ』『ステーション・イレブン』などで知られ、映画『オデュッセイア』にも出演している。異なる経歴を持つ2人を組ませる新作の設定で、それぞれがどんな捜査官を演じるかが注目される。

パイロット版の出演者として、エイミー・マディガン、スティーヴ・ブシェミ、ベン・フォスター、デヴァリー・ジェイコブス、タントゥー・カーディナル、ロックリン・マンローも報じられている。マディガンは2026年3月、『WEAPONS/ウェポンズ』でアカデミー賞助演女優賞を受賞した。

ディズニーの発表によると、パイロット版の音楽には『罪人たち』でもクーグラーと組んだルドウィグ・ゴランソンが参加した。シリーズ化を受けて、イェールがショーランナーとして製作を率いる。放送・配信時期や日本での提供方法など、視聴に関わる情報は今後の発表を待つことになる。

元記事: Hulu Orders Full Season of Coogler’s X-Files Reboot: Pilot Shot on 65mm Film

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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