OpenAI、現調達資金を2028年までに使い切る見通し 1.2兆ドル評価の増資案も浮上

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OpenAIは、2026年から2030年末までのフリーキャッシュフローが累計2780億ドル(約43.6兆円、1ドル=157円換算)のマイナスになると予測していることが、Financial Timesなどの報道で明らかになった。計算基盤への支出が売上高の伸びを大きく上回る見通しで、同社は新たな大型資金調達について投資家と初期段階の協議を進めているとされる。
■2030年までに2780億ドルの資金流出を予測
Financial Timesが確認したOpenAIの社内プレゼンテーションによると、同社は2026年から2030年末までに、累計2780億ドルのフリーキャッシュフロー赤字を見込んでいる。資料は2026年7月、コンピューティング関連の取引に伴って作成されたという。OpenAIは報道についてコメントしていない。
社内予測では、2026年の売上高は360億ドル、2030年には3500億ドルへ増加する。2030年末までの累計売上高は約8400億ドルを見込む一方、コンピューティング能力とインフラへの支出は約8560億ドルに達する見通しだ。
OpenAIは2026年3月、1220億ドル(約19.2兆円)の出資約束を得たと発表した。調達後の企業価値は8520億ドルで、同社の発表によれば、Amazon、NVIDIA、SoftBankが戦略的パートナーとして資金調達を支え、Microsoftも参加した。
Financial Timesの報道では、同社は現在の支出計画を続けた場合、3月に確保した資金を2028年までに使い切る見込みだという。これは直ちに資金が底を突くことを意味するものではないが、計画するインフラ投資を継続するには、追加の資本調達や売上高の大幅な拡大が必要になる。
■1.2兆ドル評価の追加調達を協議
OpenAIは2026年9月、大手投資家と新たな資金調達について初期協議を行ったと報じられた。協議されている企業価値は約1兆2000億ドル(約188.4兆円)で、3月の8520億ドルから約41%高い水準となる。
協議は投資家側から持ちかけられたとされるが、まだ初期段階にあり、評価額や調達規模が変更される可能性がある。OpenAIはこの報道についてもコメントを控えている。
同社は2026年6月、米証券取引委員会にS-1登録届出書の草案を機密扱いで提出したと発表した。ただし、上場時期は決定しておらず、非公開企業である方が進めやすい取り組みもあるため、上場まで時間がかかる可能性があるとしていた。
サム・アルトマンCEOは9月に掲載されたFortuneのインタビューで、AIの安全性を巡る状況を踏まえ、2026年中には上場しない考えを示した。具体的な上場年は確約しておらず、新たな非公開調達が実現すれば、上場を急がずにインフラ投資を続けられる余地が広がる。
■訓練と推論を支える計算基盤
生成AI事業では、モデル開発に必要な訓練だけでなく、利用者からの要求に応答する推論にも継続的な計算資源が必要になる。ChatGPTやAPIの利用が増えるほど、モデルを稼働させるための半導体、データセンター、電力、ネットワークへの支出も増える構造だ。
OpenAIは2026年3月時点で、ChatGPTの週間利用者が9億人を超えたと発表している。また、同社が2025年に明らかにしたデータでは、ChatGPTには世界で1日25億件を超える要求が送られていた。
利用規模の拡大は売上高を伸ばす一方、サービス提供に必要な計算量も押し上げる。今回報じられた財務予測は、OpenAIが売上高の急増を想定しながらも、それを上回る規模で計算能力を確保しようとしていることを示している。
もっとも、2780億ドルは2026年から2030年までを対象とした社内予測であり、確定した支出額ではない。売上高の伸び、半導体の性能、モデルの効率化、サービス価格、インフラ契約などによって、実際の資金需要は変わり得る。
■独自の推論向けチップも開発
OpenAIは2026年6月、Broadcomと共同開発した初の独自AIアクセラレーター「Jalapeño」を発表した。大規模言語モデルの推論処理を主な用途とし、チップ実装やネットワーク技術にはBroadcom、ボードやラックの統合にはCelesticaが参加している。
同社によると、Jalapeñoのエンジニアリングサンプルは、目標とする動作周波数と消費電力で機械学習の処理を実行している。初期試験では、ワット当たり性能が既存の最先端アクセラレーターを上回る見込みだとしているが、最終的な性能測定は完了していない。
独自チップには、モデルとハードウェアを一体で最適化し、推論に必要なデータ移動や電力消費を抑える狙いがある。実運用における性能やコスト削減効果は今後の検証を待つ必要があるものの、計算効率の改善はOpenAIの長期的な収支を左右する要素になる。
■Stargateで米国内の基盤を拡大
OpenAI、SoftBank、Oracle、MGXは2025年1月、米国内にAIインフラを整備する「Stargate Project」を発表した。4年間で最大5000億ドルを投じる計画で、SoftBankが財務面、OpenAIが運営面を担当する。
2025年9月には、米国内の新たなデータセンター5拠点が発表された。既存のテキサス州アビリーン拠点などを合わせ、計画容量は約7ギガワット、今後3年間の投資規模は4000億ドル超と説明されている。
Stargateの投資額と、OpenAIの社内資料に示された8560億ドルのコンピューティング関連支出は、対象期間や契約範囲が異なるため、単純に合算することはできない。それでも、同社がモデルの訓練と提供に必要な計算能力を長期的に確保しようとしている点では共通している。
こうした基盤整備が予定どおり進むかは、資金調達だけでなく、半導体供給、データセンター建設、電力確保などにも左右される。OpenAIにとっては、インフラの拡大と計算効率の改善を並行して進めることが重要になる。
■AI投資を支える収益拡大が焦点
OpenAIの計画は、企業や個人によるAI利用が拡大し、2030年に年間3500億ドルの売上高へ到達することを前提としている。2026年の360億ドルから4年間で約10倍に増やす計算であり、今後も高い成長率を維持する必要がある。
一方、2026年2月に公表されたNBERのワーキングペーパーでは、米国、英国、ドイツ、オーストラリアの経営幹部約6000人を調査した結果、約9割が過去3年間にAIによる雇用や生産性への影響はなかったと回答した。同じ回答者は、今後3年間にはAIが企業の生産性を平均1.4%押し上げると予想している。
この調査はOpenAI製品だけを対象としたものではなく、企業におけるAI利用全般を扱っている。また、査読済み論文ではなく、議論と検討を目的に公表されたワーキングペーパーである。それでも、企業のAI導入が急速に進む一方、その効果が財務指標に表れるまでには時間がかかる可能性を示している。
OpenAIが想定する売上高を実現できるかは、AIが企業の生産性向上やコスト削減、新しい製品・サービスの創出にどれだけ結び付くかによって変わる。同時に、独自チップやモデル設計の改善によって、利用1件当たりの計算コストをどこまで下げられるかも重要になる。
■企業利用者は継続性と契約条件を確認
OpenAIのAPIや法人向けサービスを利用する企業にとって、2780億ドルのフリーキャッシュフロー赤字予測は、提供事業者の長期的な継続性を評価する材料の一つとなる。ただし、これは将来の社内予測であり、現在の支払い能力やサービス停止を直接示す数字ではない。
複数年契約や基幹業務への導入では、価格改定の条件、利用量の上限、モデル変更時の扱い、データの移行方法、障害時の代替手段などを確認することが重要だ。特定のAI事業者だけに依存する場合は、別のモデルやクラウド環境へ移行できる設計も検討対象になる。
OpenAIは巨額の資金を確保し、投資家との追加調達協議も報じられている。今後の焦点は、2030年までの急速な売上成長を実現しながら、計算能力の拡大と推論コストの低下を両立できるかにある。
元記事: OpenAI Projects $278B Cash Burn: Record Round Runs Dry Before Revenue Catches Up
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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