Uber EatsとZipline、2029年にドローン配送1日100万件目指す―現在公表ペースの約230倍

2026年8月19日 12:29

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記事提供元:Tech Times

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Uberとドローン配送企業のZiplineは、Uber Eatsに自律型ドローン配送を組み込む戦略的提携を発表した。2026年内に米国のダラス・フォートワースとヒューストンで展開を始め、その後は数十都市への拡大を計画している。

両社が掲げる目標は、2029年末までに1日100万件のドローン配送を実現することだ。Ziplineが公表している現在の配送ペースを基準にすると約230倍への拡大が必要であり、機体や拠点の増強に加え、規制対応と注文密度の確保が焦点となる。

■2029年末までに1日100万件を目指す

今回の提携には、UberによるZiplineへの戦略的投資が含まれる。投資額や詳しい条件は公表されていない。対象地域の利用者は、Uber Eatsで対応商品を注文する際、通常の配達方法に加えてドローン配送を選べるようになる予定だ。

Ziplineは、ドローンによる配送時間をおおむね5〜10分としている。Uberが通常の配達時間の目安として示す約30分と比べ、短時間で商品を届けられる点を訴求する。

Ziplineによると、同社のネットワークでは世界のどこかで約20秒に1件の配送が行われている。このペースが24時間続くと仮定すれば、1日あたり約4,320件に相当する。1日100万件へ増やすには、単純計算で約231倍に拡大する必要がある。

同社はこれまでに、4大陸で270万件を超える配送を実施し、2,000万点以上の商品を届けたとしている。自律飛行の累計距離は1億3,500万マイルを超える。もっとも、過去の累計件数と1日あたりの処理能力は性質が異なるため、2029年の目標達成には、各都市で継続的に大量の注文を処理できる運用体制の構築が必要になる。

■親機と小型配送機を組み合わせる「Platform 2」

Uber Eatsで利用される予定のZiplineの「Platform 2(P2)」は、親機の「Zip」と、荷物を地上へ運ぶ小型配送機「Droid」を組み合わせたシステムだ。

Zipは固定翼と垂直離着陸用のプロペラを備え、時速約70マイル(約113km)で巡航する。配達先へ到着すると上空300フィート超(約91メートル超)でホバリングし、荷物を収めたDroidをテザーと呼ばれるケーブルで降ろす。

Droidは搭載した小型ファンを使って位置を調整し、指定された場所へ荷物を置く。荷物を届けた後はZipへ巻き上げられ、機体は拠点へ戻る。大型の親機を地上付近まで降下させず、比較的小型のDroidだけを配達地点へ近づけることが、この方式の特徴だ。

P2には2基のNVIDIA Jetson Orin NXモジュールが使われている。1基は機体側のセンサー情報の統合、もう1基はDroid側の処理を担う。Ziplineは、周囲の航空機を音によって検知するシステムも開発し、航路の安全確保に利用している。

P2が運べる荷物は1回あたり最大8ポンド(約3.6kg)で、ドックを中心とするサービス半径は最大10マイル(約16km)とされる。食品配送では、輸送用容器の断熱構造によって移動中の温度変化を抑える。

■事業拡大を左右する目視外飛行

大規模なドローン配送では、操縦者が機体を直接見続けなくても運航できる目視外飛行、いわゆるBVLOSへの対応が重要になる。飛行範囲や運航方法に制約が多ければ、一つの拠点からカバーできる地域や、同時に運用できる機体数が限られるためだ。

Ziplineは、ダラス・フォートワース地域などでFAAの承認や免除措置に基づく目視外運航を行っている。こうした運航実績は、Uber Eatsとのサービスを既存地域から始めるうえでの基盤となる。

米国では現在、個別の承認や免除措置に依存しているBVLOS運航を、より予測可能で拡張しやすい制度へ移行するため、FAAがPart 108と呼ばれる規則案を策定している。規則案は、低高度での目視外飛行、運航区域の承認、機体の要件、他の航空機との安全な分離、情報提供事業者などの枠組みを定めるものだ。

Part 108は2025年8月に規則案として公表されたが、2026年8月18日時点では最終規則になっていない。このため、新たな地域でのサービス開始には、機体や運航者に関する認可だけでなく、具体的な空域や運航方法に応じたFAAとの調整が引き続き必要となる。

■配送コストを左右する注文密度

ドローン配送の事業性を考えるうえでは、1件あたりの配送コストが重要になる。ただし、UberとZiplineは、今回の提携や既存の米国事業について、1件あたりの実コストを公表していない。

ドローン配送のコストとして引用される約13.50ドル(約2,160円、1ドル=160円換算)は、特定の事業者が公表した現在の実績値ではなく、運航条件を設定したコストモデルによる推計である。同じモデルでは、地上車両による単独配送を約2ドル(約320円)としている。操縦者が同時に管理できる機体数や配送距離、拠点の稼働率によって結果は大きく変わる。

2024年には、ウォルマートの配送を手掛けていたDroneUpが、1件あたり約30ドル(約4,800円)かかっていると報じられた。同社は7ドル(約1,120円)未満を目標としていたが、同年8月に米国の3都市で計18拠点を閉鎖し、約70人を削減した。拠点閉鎖には規制や設備、運用体制を含む複数の事情が関係するため、配送単価だけを唯一の原因とは断定できないものの、コスト低減が業界共通の課題であることを示した。

単価を下げる方法の一つが、各配送拠点で扱う注文数を増やすことだ。ドック、充電設備、機体などにかかる費用を多数の配送に分散できれば、1件あたりの負担は小さくなる。Uber Eatsとの統合は、Ziplineが個別の店舗ごとに利用者を集めるのではなく、既存の注文プラットフォームから需要を取り込める点に意味がある。

一方で、Uber Eatsの利用者数が多くても、ドローンで運べる重量、配送先の環境、飛行可能な天候、加盟店とドックの位置などによって、対象となる注文は限られる。各地域で十分な数の適格注文を継続して確保できるかが、採算性を左右する。

■Uberは複数の自律配送事業者をつなぐ

Uberは、自律運転や配送に関する技術をすべて自社開発するのではなく、複数の外部事業者を自社プラットフォームへ接続する戦略を進めている。ドローン配送では2025年にFlytrexとの提携を発表しており、Ziplineは新たな提携先となる。

自動運転分野でUberが車両購入や開発企業への出資に約束した金額は、報道ベースで100億ドル(約1兆6,000億円)を超える。ただし、これには将来の車両購入予定や、提携先が一定の展開条件を満たした場合の支出が含まれており、すべてがすでに投資済みという意味ではない。

このモデルでは、Uberが注文、決済、利用者との接点を担い、Ziplineが機体、ドック、運航システムを提供する。異なる配送手段を共通のアプリに統合できる一方、実際のサービス範囲や能力は、各技術事業者の設備と許認可に左右される。

■WingやDoorDashもドローン配送を拡大

米国では、Alphabet傘下のWing、AmazonのPrime Air、DoorDashなどもドローン配送を進めている。

Wingはウォルマートとの提携を拡大し、2027年に270店舗を超えるネットワークを構築する計画だ。主力機の積載量は最大2.5ポンド(約1.1kg)で、新しい大型機では最大5ポンド(約2.3kg)に対応する。ZiplineのP2は最大8ポンドを運べるため、対応できる注文の範囲に違いがある。

ウォルマートは2026年5月、WingとZiplineなどを通じたドローン配送の累計件数が100万件を超えたと発表した。これは複数年、複数事業者の合計であり、UberとZiplineが目標とする「1日100万件」とは規模の測り方が異なる。

DoorDashは2026年7月、自社の「DoorDash Air」がFAAのPart 135航空運送事業者証明を取得したと発表した。ただし、Part 135証明だけであらゆる地域の目視外飛行が認められるわけではなく、実際の展開には機体、空域、運航方法などに関する追加対応が必要になる。同社はWingやFlytrexとの既存提携も継続する方針だ。

■初期展開はダラス・フォートワースとヒューストン

UberとZiplineは、2026年末までにダラス・フォートワースとヒューストンでUber Eats向けの展開を始める予定だ。両地域ではZiplineがすでに事業基盤を持っており、ウォルマート、Chipotle、Panera Bread、Wendy'sなどの商品を扱っている。

その後は米国の数十都市へ拡大するとしているが、対象都市と都市ごとの開始時期は公表されていない。新たな地域への展開には、ドックの整備、加盟店とのシステム連携、対象商品の選定、空域と運航に関する調整が必要になる。

1日100万件という目標の実現には、単に機体数を約230倍にするだけでは足りない。製造能力、拠点網、加盟店、適格注文、空域承認、保守体制を並行して拡充し、それぞれの市場を継続的に高い稼働率で運用する必要がある。

今回の提携によってZiplineはUber Eatsの注文基盤へ接続し、Uberは自社で機体を開発せずに新たな配送手段を追加できる。2029年の目標を左右するのは、短時間で飛べる機体の性能だけでなく、各都市で十分な注文を集め、1件あたりのコストを持続可能な水準へ近づけられるかどうかだ。

■注目ポイントQ&A

●Uber Eatsの注文はどのようにドローンで届きますか?

対応地域で対象商品を注文すると、ドローン配送を選択肢として利用できるようになる予定です。Zipと呼ばれる親機が配達先の上空でホバリングし、荷物を収めたDroidをケーブルで降ろして指定場所に置きます。Droidはその後、親機へ巻き上げられます。

●BVLOSとは何ですか?

BVLOSは「Beyond Visual Line of Sight」の略で、操縦者が機体を直接見続けられる範囲を超えて飛行する目視外飛行を指します。広い地域を効率的にカバーするドローン配送では重要ですが、米国での実施には運航者、機体、空域、運用方法に応じたFAAの承認などが必要です。

●ドローン配送の採算性は確立していますか?

UberとZiplineは、現在の米国事業における1件あたりの配送コストを公表していません。記事で参照される13.50ドルという金額はコストモデルによる推計であり、実際の単価は運航条件や注文数によって変わります。今回の提携では、Uber Eatsから十分な注文を集められるかが重要になります。

●ZiplineとWingの主な違いは何ですか?

ZiplineのP2は、親機を上空にとどめ、テザーでつないだ小型のDroidを地上へ降ろします。Wingも機体を着陸させず、ホバリングした状態からテザーで荷物を下ろします。最大積載量はZiplineのP2が約3.6kg、Wingの主力機が約1.1kgで、Wingには約2.3kgに対応する大型機もあります。

●日本でもUber Eatsのドローン配送を利用できますか?

今回発表された計画は米国向けです。2026年8月18日時点で、日本でのZiplineによるUber Eatsドローン配送の提供予定は発表されていません。

元記事: Uber Eats Drone Deal Targets One Million Daily Deliveries: Zipline Must Scale 230-Fold

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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