宅配寿司で急成長を遂げる、ライトオンエクスプレスHDのFC戦略の何故

2021年4月20日 16:49

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 「銀のさら」ブランドをご存知だろうか。宅配寿司である。東証1部のライドオンエクスプレスHDが展開している。学卒後に米国ロサンゼルスに留学した現社長の江見朗氏が勉学の傍ら、寿司職人として働いたのが原点。2001年に起業。

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 現在、宅配事業は「銀のさら」「釜寅(釜飯)」「すし上等!」の3ブランド。銀のさらとすし上等!の違いは、後者は若者向けの低価格ブランド。前者・後者とも食した御仁は、「味は変わらない。しいて言えば“上等!”は中トロ・マグロ・サーモンのネタが小ぶりかな」と話してくれた。

 全国に直営店101/フランチャイズ店264(本校作成時点)を展開。「銀のさら」単独店は358店だが、「釜寅」や「すし上等!」の複合ブランド店を入れるとFCを含む全チェーン店数は742店に及ぶ。FC制を導入し多店舗展開を図っているのは、設立当初からの方針。江見氏はその理由をこんな風に語っている。

 「当初の寿司の原価率は約50%。デリバリーが主のピザの場合は約3割。日本人は寿司大好き民族だから、クオリティは落とせない。だが原価5割では利益はでない。スケールメリットを図る以外に道はなかった。また複数ブランドを同一店で展開すれば、人件費負担も軽減できる」。

 始業翌年の02年には200店を突破。そして16年には700店超といった具合に、多店舗展開が図られてきた。そして例えば「釜寅」は、200店舗余で併設運用されている。

 一方で江見氏は宅配店の強みを「立地にとらわれない。初期投資が低い。座席などの制約をうけない。マーケティングができる」と指折り数えている。商売人である。

 今後については「6年前から実験的に行っている」という、「テイクアウト店の併設に注力する」としている。

 富士経済やNPDジャパン(世界23カ国で消費者や小売店のパネル調査を行っている業界最大手の日本法人)の調べによると、こんな結果が明らかになっている。

★現在、日本の外食市場は約28兆円。このうちデリバリー市場は6000億円台。

★将来的には外食市場の4割が、デリバリーになることが予想される。

★宅配寿司市場は現在約600億円。寿司市場全体(約1兆7000億円)の3-4%水準。伸長の余地十分。

 商売人社長が率いるライドオンエクスプレスHDは提携レストラン700店超の「宅配代行事業」も手掛けている。

 前3月期の「2.6%増収、33.0%営業増益、19.9%の最終増益」に続き今3月期計画は、「17.6%増収(247億3900万円)、59.5%営業増益(22億円)、75.6%最終増益(14億100万円)」。

 コロナ禍効果では語りきれない、成長企業と言える。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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