ウィズコロナの車販売 リモート商談花盛りは危険 (2) トヨタ式HVを説明できないディーラー

2020年7月15日 07:37

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■トヨタ式HVを説明できないトヨタのディーラー

 以前、神奈川トヨタ、横浜トヨペット、ネッツトヨタなどトヨタ系列店で下取り車を査定してもらいHV車で商談を進めていた。そこで、「素人向きで良いのでトヨタHVの電気式CVTの仕組みを教えてほしい」と頼んだら、まず「整備士に説明させる」としてきたディーラーがほとんどだった。

【前回は】ウィズコロナの車販売 リモート商談花盛りは危険 (1) リモート商談は営業マン不要のワナ

 これは、半世紀以上昔から行われてきた営業手法だが、ユーザーにとっては「信頼できる話が聞けない」証明となってしまっている。案の定、散々待たされた挙句、整備士が図面を持って現れた。それが決まりになっているようだった。

 整備士の説明は、電気式CVTの話ではなく、2モーター式HVのごく一般的な話しかできない様子であった。あきれたのは、あるディーラーで持ってきた図面は電気式CVTではなく、トルコンの図面だったことだ。

 トヨタ方式HVにはトルコンの必要はなく、ミッションとの一体図面でもなく、明らかに「ごまかし」だった。整備士と名乗った人物も、実は整備フロントマンであろう。HVの知識はなく、カタログを読んだのであろうか。

 仕方なく聞き流して、「分からないみたいだから、もういいよ」と言って商談を打ち切った。営業マンに再度尋ねると、本社の「お客様相談室に聴いてほしい」とのことだった。そこで、「トヨタのお客様相談室」に電話で聴いてみると、「技術者に尋ねて返事する」とのことで、折り返しの電話を貰った。

 しかし、それでも何を言っているのか分からなかったので、少しだけ尋ね返すと、即座に「何かトラブルですか?」と言ってきた。「いいえ商談を進めていて、知りたいのです」とだけ言ったが、逆に「クレーマー扱い」されたため、丁寧にお礼して電話を切り、営業マンとの商談も断り、「査定した時の個人情報を消すようにきつく申し渡した」。これに似た対応はトヨタだけでなく、日産でもスバルでも経験した。

 あるディーラーの社長インタビューの記事を読んだら、「法的整備があればディーラーは当分の間、業績の心配はない」とあった。しかし、その考え方の全体像は「お客様に寄り添ったサービス」が目標ではなく、業績優先だった。それを見て、「2度とトヨタとは商談はしない」と決めた。

 筆者のトヨタ車所有は覚えている限りでも8台ほどで、さらに親族や友人への推奨も含めると数えられないほどだ。トヨペット店が多かったと思うが、個人的には、もうトヨタのクルマは購入しないと決めた。

■市場は手間暇かけて作り出すもの

 営業技術について、「手間暇節約」で考えてはいけない。ましてやトヨタが世界に誇る「HVシステム」を説明できない営業マンがいること自体、異常であると考えるべきだろう。

 残念ながら、トヨタ各ディーラーの営業マンでトヨタ方式HVシステムを説明できたものはいない。こうしたことが、自社のクルマの特徴や魅力をユーザーに伝えられず、自動車市場そのものの縮小を進めていて、営業成績も低下していくことを理解できなければならない。すなわち、現状の営業の考え方の「逆転」が、自動車市場を拡大する方向性なのだと知ることだ。

 さらに、クルマは「整備を含んだ商品」であるので、家電と間違えてはいけない。それほど「トヨタの品質保証」を私は信じてはいない。絶対安心ですと言われても、技術的に無理なことなのだ。

 営業マンはユーザーとのかかわりをもっと考えてみることだ。SNSの普及によって、画面上でのつながりが大きいと勘違いしている風潮だが、自動車業界全体で「組織的品質不良」が起きているのも、「責任の所在」を理解できていないディーラーが普通になってきているからであろう。

 トヨタに「猛省を望む」と共に、「ウーヴン・シティー構想」の前に「いいクルマをつくろうよ」の掛け声を深慮することを望んでいる。(記事:kenzoogata・記事一覧を見る

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