知人の抗議で、作業着市場の拡充をあらためて痛感!

2020年1月7日 15:28

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 世辞(を言っても原稿料は上がらないだろうから・・・)ではなく、財経新聞の影響力を改めて痛感した。昨年12月13日の企業・産業欄に「ワーキングウェアの自重堂が人気を博する、その理由」と題する一文を記した。「カジュアル化・ファッション化商品」の導入や「空調服」に象徴されるアイデア商品の提供が、人気の背景という内容である。

【こちらも】ワーキングウェアの自重堂が人気を博す、その理由は

 年末も近くなった頃、知人から連絡が入った。「なぜ自重堂だけを取り上げ、作業着市場が拡大しているといった記事を書くのだ」という抗議の電話だった。知人は60歳代半ば。聞けば「娘夫婦が作業着店:ワークマンのフランチャイジーとして店をやっている」という。「物凄い勢いで成長している。作業着市場を書くならワークマンを外すな」と半ば、命令口調だった。

 ワークマンを調べなおした。小濱英之社長の「1980年に作業着・作業用品に特化した店舗をフランチャイズシステムでスタート。同時に早期から着手し開発したプライベートブランド商品は、ワーキングウェアに留まらずアウトドア・スポーツ・カジュアルシーンにもご利用いただき、年々販売数を伸ばしている。作業服・作業用品の小売店ではトップシェアを獲得し、店舗数は800店を超え1000店を確実なものとし成長し続けている」というメッセージに触れ、知人の言わんとすることも「ごもっとも」と思い、さらに調べた。

 収益動向は、最新版:四季報の業績欄の見出し【再増額】に象徴的。今3月期の期初計画は「9.6%増収(733億6000万円:四季報独自予想810億円)、11.0%営業増益(150億1000万円:同180億円)、11.0%最終増益(108億8000万円:同130億円)」。中間期時点の会社の期初予想に対する進捗率はそれぞれ「57%、58%、54%」も通期予想据え置き。

 小売店の収益動向を測る物差し「既存店売上高」の推移は「上半期:毎月前年同月を上回り平均127.7%、10月:123.8%、11月124.1%」といった塩梅。ちなみに11月末の総店舗数は855店(1997年現JASDAQ市場上場時約300店)。

 北は北海道から南は沖縄まで、宮崎県を除く各都道府県に店舗は配置されている。「フランチャイズ制」の在り方が、興味深い。「個人契約のみ。法人・自営業者とは契約しない」「25歳から55歳未満の夫婦での運営が原則」「店舗は本部が決定。地域性重視。居住地から40分以内の通勤距離地で運営。引っ越しを伴うようなフランチャイジーはNO」。昨年大納会の終値は年初値比42%強上昇している。

 ここまで知って「今度はミズノの知人から抗議が来ないだろうな」と不安になった。昨年4月にワーキングウェア等を手掛ける専門部署(ワークビジネス事業部)を設け、「2021年度売上高100億円」を掲げ「作業着市場への本格参入」を宣言している。昨年末には「ブレスサーモンアンダーウェア(発熱する生地を活かした冬場の下着)」の発売を発表している。

 作業着市場の今後に、改めて「ウオッチの必要あり」を感じた。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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