「赤ちゃんの頭のかたちは、成長したらどうなる?」―富山大学とジャパン・メディカル・カンパニーの共同研究が国際誌に掲載

プレスリリース発表元企業:株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー

配信日時: 2026-11-04 10:30:00

猪又智実先生・吉田丈俊先生らが15~39歳の救急受診者242名の頭部CT画像を解析、53.3%が斜頭症基準に該当。2023年の研究公募から診療を支える知見へ



┃本リリースのポイント

- 15~39歳の救急受診者242名のCT画像を解析し、129名(53.3%)が斜頭症の基準に該当。中等度以上は46名(19.0%)という結果
- 同じ242名でも、短頭症に分類される人数は評価基準によって4名と175名に分かれ、年齢・集団に応じた「評価基準」の重要性を示した
- 2023年の研究公募から支援してきた富山大学との共同研究成果が国際誌に掲載。診療現場の問いを研究につなぎ、乳児期の評価や保護者への説明を支える知見へ。

 株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー(東京都中央区、代表取締役 大野秀晃、以下当社)は、2023年の研究公募から支援してきた、富山大学附属病院の猪又智実先生・吉田丈俊先生らとの共同研究成果が、2026年8月21日『The Journal of Craniofacial Surgery』に掲載されたことをお知らせします。
 研究チームは、15~39歳の救急受診者242名の頭蓋形状をCT画像から解析し、129名(53.3%)が斜頭症の基準に該当することを報告しました。また、同じ242名でも、短頭症に分類される人数は、適用する基準によって4名と175名に分かれました。成長後の頭蓋の実態と、評価の「ものさし」の重要性を示し、乳児期の診療と保護者への説明を考えるための知見を加えた研究です。

[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/46445/203/46445-203-db687d438ada98ca058d97ee7654e3f7-1609x977.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図:15~39歳の救急受診者242名の頭蓋形状。斜頭症基準に該当した129名(53.3%)のうち、軽度83名、中等度42名、重度4名。中等度以上は全体の19.0%。論文の集計値に基づき当社作成。

┃掲載論文の概要

- 論文名:Computed Tomography-Based Evaluation of Positional Cranial Deformities inEmergency Department Patients Aged 15 to 39 Years in Japan
- 日本語訳:日本の15~39歳の救急外来受診者における位置的頭蓋変形のCTによる評価(当社訳)
- 掲載誌:The Journal of Craniofacial Surgery/掲載日:2026年8月21日
- 著者:Satomi Inomata、Yasuhiro Kawahara、Shuhei Tsuritani、Mariko Doai、Aki Kido、Riko Kato、Kyo Noguchi、Taketoshi Yoshida
- 所属:富山大学附属病院 周産母子センター新生児部門・放射線部門、富山大学 放射線医学領域
- 論文DOI:10.1097/SCS.0000000000013294
- 論文の抄録・書誌情報(PubMed)

┃保護者の問いから始まった、富山大学との共同研究

 富山大学附属病院では、2022年から当社製の頭蓋形状矯正ヘルメットを用いた乳児の治療を行っています。頭のかたちを心配して受診されるご家族に、現在の状態と、成長後の見通しをどう説明するか。日々の診療と結び付いた問いが、今回の研究の背景にあります。
 2023年、吉田先生から当社の研究公募へ「日本の小児における頭蓋変形の疫学調査」の応募があり、審査を経て研究支援が始まりました。研究は15~39歳の頭蓋形状の解析へ展開し、2024年3月27日には富山大学附属病院との共同研究開始を公表しました。
 当社は共同研究資金を通じて支援し、CT画像の計測・解析と論文の執筆は富山大学の研究チームが担いました。診療現場で生まれた問いを公募で受け止め、研究者による検証を支える。その取り組みが、今回の国際論文へつながりました。

富山大学附属病院との共同研究開始の発表(2024年3月27日)

┃242名のCT画像が示した、成長後の頭蓋形状

 研究チームが着目したのは、頭蓋の成長が概ね完了し、形状が比較的安定する15~39歳の頭蓋です。乳児期の診療に役立つ背景情報を増やすため、成長後の頭のかたちを定量的に調べました。
 対象は、2014年1月~2023年12月に富山大学附属病院の救急外来で、外傷などの診療上の理由から頭部CT検査を受けた日本人です。470件の検査から画像条件や除外基準等に基づいて242名を解析し、頭蓋内に異常が認められなかった画像を用いました。
 CT画像の頭の向きと測定断面をそろえ、放射線科医2名が独立して計測しました。左右差を示す「頭蓋非対称指数(CVAI)」と、頭の幅と長さの比を示す「頭蓋指数(CI)」を使い、頭のかたちを比較できる数値として捉えています。

・53.3%が斜頭症の基準に該当、中等度以上は19.0%
 CVAIが3.5%以上を斜頭症として分類すると、242名中129名(53.3%)が該当しました。内訳は軽度83名、中等度42名、重度4名で、中等度以上は46名、解析対象全体の19.0%でした。
 成長後の頭蓋に、どの程度の左右差があるのか。これまでデータが限られていた若年層の頭蓋形状を、人数と重症度で具体的に示したことが、本研究の主な成果の一つです。乳児期の頭のかたちを診る先生方にとって、将来についてのご家族の疑問を考えるための基礎データになります。
・短頭症は4名と175名。同じ頭蓋でも、基準によって分類が変わる
 頭の幅と長さの比を示すCIで短頭症を分類すると、日本人小児の既報データに基づく参照基準(94%超)では4名。一方、国際的に用いられる人類学的分類(81%超)では175名(72.3%)が該当しました。同じ242名の測定値でも、適用する基準の違いによって、分類結果が大きく変わりました。
 この結果は、数値を測定する技術とともに、その数値をどの年齢・集団の基準で評価するかが重要であることを示しています。研究チームは、日本人の頭蓋形状を踏まえた参照値の必要性を指摘しました。日本人のデータを国際論文として示すことは、国や地域を越えて頭蓋形状を評価する際の、共通の議論にもつながります。

┃研究の知見を、医師の学びとご家族への説明へ

 研究は、論文掲載に至る過程でも医療者教育とつながってきました。著者の猪又先生は、2025年7月20日の「第6回 位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会」で、「日本人における若年成人の斜頭症の有症率の検討」を講演しています。
 乳児期の頭蓋変形を診る医師が、成長後の頭蓋形状についても学び、ご家族への説明を考える。診療から生まれた問いを研究し、その知見を医師同士で共有する場が、すでに育っています。今回の論文化によって、その知見を国内外の研究者と医療者が参照できるようになりました。

[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/46445/203/46445-203-9c59d7d01172ec6f0b73668708e7d506-1950x1300.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
2025年7月20日、第6回 位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会で講演する猪又智実先生。若年成人の斜頭症について、診療に携わる医療者と知見を共有した

猪又先生の講演を含む、第6回研修会の開催報告

吉田丈俊先生のコメント
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/46445/203/46445-203-3de55f3a1604ef05cfc22d1653446566-1447x1836.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]

吉田丈俊先生
富山大学附属病院 周産母子センター長・新生児部門 教授



本研究では、15~39歳の日本人242名の頭部CT画像を用いて頭蓋形状を定量的に解析し、成人期においても斜頭症が53.3%に認められ、19.0%が中等度以上であることを明らかにしました。また、短頭症の頻度は日本人基準と国際基準で大きく異なり、民族・集団特異的な頭蓋形状を考慮した評価基準の重要性も示されました。乳児期の頭蓋変形が成長後にどの程度残存するかについては、これまで十分なデータがありませんでした。本研究成果が、ヘルメット治療を含む乳幼児の頭蓋変形診療における適切な評価、保護者への説明、治療方針決定の基礎資料となることを期待しています。本研究をご理解いただき、研究助成を通じてご支援いただいたジャパン・メディカル・カンパニーの皆様に心より感謝申し上げます。


┃猪又先生との研究を、これからの診療と教育へ

 本論文の筆頭著者である猪又智実先生は、成長後の頭蓋形状を調べる研究に取り組まれ、一般社団法人日本頭蓋健診治療研究会での活動や、当社主催「位置的頭蓋変形に対するヘルメット適正治療研修会」での講義などを通じ、臨床経験と研究から得られた知見を広く医療者と共有してくださいました。
 本論文の執筆後、猪又先生はご逝去されました。当社は、猪又先生と共同研究をご一緒できましたことに心より感謝するとともに、謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
 猪又先生とご一緒した研究から得られた知見を、当社は責任をもって、今後の頭蓋診療と医療者教育へつなげてまいります。今回の研究が示した成長後の頭蓋形状や評価基準の重要性を足場に、乳児期から成長後までの変化を捉える研究や、年齢・集団に応じた評価について、研究者の皆さまと検討を重ねていきます。

┃富山大学との共同研究・関連発表

 富山大学との共同研究では、今回の若年層の頭蓋形状研究に加え、乳児の骨密度・頭皮血流に関する研究成果も公表しています。2026年9月30日の論文掲載リリースは、吉田丈俊先生が筆頭著者を務め、猪又智実先生も共著者として参加した研究を紹介しています。

頭蓋変形に関する共同研究
2026年9月30日|赤ちゃんの頭のゆがみ、頭蓋骨の扁平な側で骨密度と頭皮血流の低下を発見―富山大学とジャパン・メディカル・カンパニーの共同研究
2026年1月14日|頭蓋組織の生理学的解析に関する共同研究開始
2024年3月27日|「日本の小児における頭蓋変形の疫学調査」の共同研究開始

医療模型に関する共同研究
2024年9月11日|「ヒト側頭骨標本観察による内耳構造の三次元構築」の国際学会ポスター発表
2024年6月12日|富山大学・福島県立医科大学・当社による、内耳構造の三次元構築に関する共同研究開始

・ジャパン・メディカル・カンパニーについて
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/46445/203/46445-203-4dacb1b9b57e1b7dd0f386f3b7d4c98c-375x150.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


 ジャパン・メディカル・カンパニーは、「世界にまだない、選択肢をつくる。」をミッションに、乳幼児の頭蓋診療を支える製品・サービスと、外科手術の学習を支える医療模型を開発・製造・提供する医療機器メーカーです。1897年創業の大野興業を前身とし、2018年に独立しました。
 頭蓋形状矯正ヘルメットQurum Fit(クルムフィット)・Qurum(クルム)、計測・治療支援アプリを提供し、医療機関による適正な頭蓋健診・変形予防・ヘルメット治療を、設計・製造技術と診療現場の運用支援を通じて支えています。また、医療模型KEZLEX(ケズレックス)は、手術前シミュレーションや医療従事者の手技教育に活用されています。

 乳幼児頭蓋変形領域では2023年から毎年共同研究を公募し、2026年度で4年連続となりました。医療模型領域でも2025年から公募を実施し、2026年度で2年連続となっています。医療現場の問いを研究へつなぎ、研究から得られた知見を製品開発と診療・教育へ還元する取り組みを続けています。
ジャパン・メディカル・カンパニーの共同研究・研究公募

 当社製ヘルメットによる累計治療症例は20,000症例以上。日本国内の大学病院・小児医療専門病院での採用施設数は国内最多※。シンガポール・サウジアラビアでも適正な頭蓋健診と適正なヘルメット治療を開始、海外展開も進めています。
※2026年10月時点自社調べ。国内頭蓋矯正ヘルメット主要メーカー5社を対象に各社公開情報をデスクリサーチ、大学・小児専門病院の導入数を比較。

■社名:株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー
■設立:2018年5月
■代表取締役:大野秀晃
■事業内容:医療機器・医療雑品の開発・製造・販売
■URL:https://japanmedicalcompany.co.jp

・本リリースに関するお問い合わせ
報道関係者の皆様からの取材、研究結果の図解、関連する教育活動についてのお問い合わせを受け付けています。研究者・医療機関への取材は、関係者と調整のうえご案内します。

株式会社ジャパン・メディカル・カンパニー
広報窓口:コーポレイト・デザイン室 柳本 瑞穂
TEL:03-5829-8342 / E-mail:choice@japanmedicalcompany.co.jp

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