ミノキシジルが血管網を形成し男性ホルモンによる毛乳頭の小型化を改善することを発見

プレスリリース発表元企業:大正製薬株式会社

配信日時: 2026-06-16 11:00:00



大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区 社長:上原 茂](以下、当社)は、神戸学院大学大学院薬学研究科の水谷健一特命教授との共同研究により、発毛成分ミノキシジルが、毛乳頭周囲の血管密度を高め、血管網を再構築することにより血流を整える可能性を見出しました。さらに、男性ホルモンにより引き起こされる毛乳頭の小型化を改善することで、AGAにおける発毛環境の改善と毛髪の健やかな成長に寄与する可能性を見出しました。本研究成果は、シュプリンガー・ネイチャー社発行の国際学術誌Scientific Reports※に掲載されました。
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◇研究背景
ミノキシジルは壮年性脱毛症(AGA:男性型脱毛症ともよばれる)に対する発毛効果が認められた有効成分として薄毛治療に用いられ、国内外で広く使用されています。当社は、日本におけるミノキシジル研究のパイオニアとして40年以上にわたり、基礎から応用に至るまで幅広く研究を実施してまいりました。
その一環として、神戸学院大学大学院薬学研究科の水谷健一特命教授と共同し、ミノキシジルの新たな作用メカニズムの解明に取り組んできました※1。
今回私たちは、毛髪の成長を制御する司令塔の役割を担い、毛髪の太さに関与する※2ことが知られている「毛乳頭」に着目しました。本研究では、ミノキシジルが毛乳頭及び周囲の血管にどのような影響を及ぼすのかを検証し、以下の研究成果が得られました。

◇研究成果
1.:ミノキシジルは毛乳頭周囲の血管密度を増加させる
2.:ミノキシジルは男性ホルモンによる毛乳頭の小型化を抑制する
3.:ミノキシジルは男性ホルモンによる血管網形成阻害を抑制する

【研究成果1.】
ミノキシジルは毛乳頭周囲の血管密度を増加させる
血管はあらゆる組織・細胞に栄養や酸素を供給する重要な器官であり、毛包の成長においても極めて重要な役割を担っています。血管を可視化できる遺伝子組み換えマウスにミノキシジルを塗布し、皮膚組織を解析したところ、ミノキシジルを塗布していないマウスに比べて毛包周囲の血管が増加し、特に毛乳頭の周囲を取り囲むように毛細血管の密度が増加しました(図1)。この結果から、ミノキシジルは毛乳頭近傍の血管形成を選択的に増強し、酸素や栄養等を毛乳頭が受け取りやすい環境を整えることで、毛髪の成長を支えている可能性が示されました。
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図1 ミノキシジル塗布による毛乳頭(DP)周囲の血管密度の増加

【研究成果2.】
ミノキシジルは男性ホルモンによる毛乳頭の小型化を抑制する
AGAでは、男性ホルモンの影響によって、細く短い毛髪しか生えなくなる「毛包の小型化」が起こることが知られています。男性ホルモンは毛乳頭細胞の増殖を抑制することで、ヘアサイクルの短縮や脱毛の一因になると考えられていることから、毛乳頭に対する男性ホルモンの影響とミノキシジルの効果を検証しました。
マウスに男性ホルモンを塗布すると、毛乳頭が小型化しました。一方で、ミノキシジルを塗布すると、男性ホルモンによる毛乳頭の小型化が抑制されました(図2)。この結果から、ミノキシジルは男性ホルモンによって引き起こされる毛乳頭の小型化を改善し、毛髪の健やかな成長に寄与する可能性が示されました。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/180826/52/180826-52-53d45faa2129776fe8ba352b92741ba9-1400x646.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2 男性ホルモンによる毛乳頭(DP)の小型化に対するミノキシジルの抑制作用

【研究成果3.】
ミノキシジルは男性ホルモンによる血管網形成阻害を抑制する
さらに、男性ホルモンが毛乳頭周囲の血管に及ぼす影響を明らかにするため、培養したヒト血管細胞を用いました。ヒト血管細胞を特殊なゲル上で培養すると血管網を形成しますが、男性ホルモンを処置すると、血管の長さや分岐の数が減少し、血管網の形成が阻害されました。一方で、ミノキシジルを処置すると、血管の長さや分岐の数が増加し、男性ホルモンによる血管網の形成阻害が抑制されました(図3)。この結果から、ミノキシジルは男性ホルモンによる血管細胞の機能障害を改善し、血管密度を増加させ、さらに血管網を再構築することにより毛乳頭の小型化を抑制する可能性が示されました。
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図3 男性ホルモンによる血管網形成阻害に対するミノキシジルの抑制作用

◇まとめ
以上の3つの研究成果より、ミノキシジルが毛乳頭周囲の血管密度を高め、さらに血管網を再構築することにより血流を整え、男性ホルモンにより引き起こされる毛乳頭の小型化を改善することで、AGAにおける発毛環境の改善と毛髪の健やかな成長に寄与する可能性が示されました。今後さらなる研究により、ミノキシジルの作用メカニズムの一層の解明が期待されます。
当社は毛髪に関わる様々な課題を解決するため、「“生える”を科学する大正製薬のヘアケア研究」をモットーに、毛髪科学に関わる研究活動を継続し、生活者のより豊かな暮らしの実現に貢献してまいります。


Ying Zeng, Akinari Abe, Satsuki Takashima, Miyu Kono, Reina Kagiyama, Mariko Komabayashi-Suzuki, Mariko Moriyama, Hiroyuki Moriyama, Tadashi Okamoto, Hideya Ando, Masaki Tanaka, Masamitsu Ichihashi, Masatsugu Ema, and Ken-ichi Mizutani, “Preferential Crosstalk between Perifollicular Capillary Vessels and Dermal Papilla Cells during Hair Cycling Homeostasis.”, Scientific Reports, 16:15328, 2026.
DOI: https://doi.org/10.1038/s41598-026-46001-2

【補足】
※1
2023年9月1日リリース
発毛成分「ミノキシジル」に新たな作用メカニズムを発見~毛包周囲の毛細血管増加作用~
URL: https://www.taisho.co.jp/company/news/2023/20230901001380/
※2
Elliott K., et al., J. Invest. Dermatol., 113(6):873-7, 1999.
※3
Bg(バルジ領域):毛のもとになる毛包幹細胞が集まる毛包上部の領域。
※4
VEGFR1:毛細血管の増加に重要な役割を担う血管内皮成長因子(VEGF)のシグナルを細胞内に伝達する受容体で、主に血管細胞に存在する。
※5
HG(毛芽):新たな毛を作る細胞を含む組織。
※6
K15(keratin 15):毛包のバルジ領域に存在する毛包幹細胞の代表的なマーカー。















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