プレバイオティクスのケストースがうつ病などの精神疾患を予防できることを発見
配信日時: 2025-12-25 14:25:34

藤田医科大学(愛知県豊明市 学長:岩田仲生)医療科学部レギュラトリーサイエンス分野 毛利彰宏教授、田辺萌夏大学院生(現 病態システム解析医学分野助教)、國澤和生准教授、鍋島俊隆客員教授、齋藤邦明教授らは、医学部消化器内科学、医科プレ・プロバイオティクス講座の廣岡芳樹教授、栃尾巧教授、藤井匡准教授との共同研究により、プレバイオティクス※1のケストース※2が腸内細菌叢を変化させ、短鎖脂肪酸※3の産生を増やすことでうつ病などの精神疾患に対して予防効果があることを突き止めました。本研究により、ケストースを予防的に摂取することで、ストレスによる抑うつ症状、不安症状、認知機能障害の予防が期待されます。
本研究成果は、米国学術誌の「Journal of Neurochemistry」のオンライン版で2025年11月20日に公開されました。
論文URL : https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jnc.70273
<研究成果のポイント>
レバイオティクスのケストースが腸脳相関を介して抑うつ症状、不安症状、認知機能障害を予防できることを世界で初めて発見。
ケストースが、腸内細菌(Bacteroides sartorii)や短鎖脂肪酸の増加を介してミクログリア※4の活性化を抑制することで、精神疾患に対する予防効果を発揮することを発見。
精神疾患に対する予防薬としてケストースが有用である可能性を示唆。
<背 景>
うつ病などの精神疾患は腸内環境(腸内細菌叢)と深く関連することが知られています。特に、腸内細菌によって産生される短鎖脂肪酸は、脳内に作用することで、精神症状に影響を与える可能性があります。近年、腸内環境改善の有望な手段として、プレバイオティクスが注目されています。プレバイオティクスの一種であるケストースは腸内環境の改善効果や炎症抑制作用があることは知られていますが、精神症状に対する効果は不明でした。本研究では、ケストースを用いた腸内環境の改善が精神疾患に対して予防効果を発揮するか検討しました。
<研究手法・研究成果>
幼少期のマウスを隔離飼育することで社会的な孤立によるストレスを負荷した結果、抑うつ症状・認知機能障害・不安障害と海馬のミクログリアの活性化が引き起こされました。このストレスを受けたマウスにケストースを5%含有した餌を予防的に摂取させると、これらの行動障害の改善とミクログリアの活性化が抑制されることを発見しました。また、ケストースを摂取させたマウスでは、腸内細菌であるBacteroides sartorii(B. sartorii)と短鎖脂肪酸(酪酸、酢酸、プロピオン酸)の産生が増加することを発見しました。さらに、B. sartoriiと短鎖脂肪酸の増加は、抑うつ症状などの行動障害と有意な相関を認めました。
[画像1]https://digitalpr.jp/simg/2299/125527/600_486_20251225111600694c9e60e7c57.png
<今後の展開>
精神疾患予防のための新たなプレバイオティクス介入として、ケストースが有用である可能性が示唆されました。今後は、ヒトへの実用化に向けた臨床試験への発展が期待されます。
<用語解説>
※1 プレバイオティクス:腸内で良い働きをする腸内細菌を選択的に増やす食品成分のこと。
※2 ケストース:玉ねぎやライ麦などに含まれているオリゴ糖の一種で、プレバイオティクスの代表格として注目されている
※3 短鎖脂肪酸:腸内細菌によって作られる代謝物であり、腸内環境の改善や過剰な免疫反応を抑制する働きを持つ。
※4ミクログリア:脳内の免疫応答に関わる細胞で、過剰に活性化すると炎症性物質を放出し、神経細胞に損傷を与える。
<文献情報>
論文タイトル:
1-Kestose Prevents Psychiatric-Like Behavior by Enhancing Short-Chain Fatty Acid Production
著者:
田辺萌夏1,2,3、國澤和生1,4,#、藤井匡5,6、栃尾巧5,6、廣岡芳樹5,6、小鹿晴登1、成岡佑太1、伊藤弘康3,7、齋藤邦明2,8、鍋島俊隆2,4,9、毛利彰宏1,4,# (#共同責任著者)
所属:
1 藤田医科大学 医療科学部 レギュラトリーサイエンス分野
2 藤田医科大学 医療科学部 健康医学創造共同研究部門
3 藤田医科大学 医療科学部 病態システム解析医学分野
4 藤田医科大学 精神・神経病態解明センター
5 藤田医科大学 医学部 医科プレ・プロバイオティクス講座
6 藤田医科大学 医学部 消化器内科学
7 藤田医科大学 医学部 臨床検査科
8 藤田医科大学 医療科学部 先進診断システム開発分野
9 NPO法人 医薬品適正使用推進機構
DOI:10.1111/jnc.70273
本件に関するお問合わせ先
学校法人 藤田学園 広報部 TEL:0562-93-2868 e-mail:koho-pr@fujita-hu.ac.jp
プレスリリース情報提供元:Digital PR Platform
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