新型コロナ収束後も外来受診は回復せず パンデミック前の約6割に
配信日時: 2025-10-31 10:07:45

〜約3,000人を対象とした受療行動に関する全国調査〜
東京慈恵会医科大学 総合医科学研究センター 臨床疫学研究部の青木拓也准教授、松島雅人教授の研究チームは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック後の日本における受療行動の変化を全国規模で調査しました。
本研究は、パンデミック前、パンデミック期、パンデミック収束後の3時点を比較し、「症状出現時の受療行動」がどのように変化したかを明らかにしました。その結果、パンデミック期に大きく減少した診療所や一般病院への受診は、パンデミック収束後も完全には回復しておらず、パンデミック前の約6割にとどまっていることがわかりました。一方で、救急外来の利用はパンデミック前より増加しており、受療行動の長期的・構造的な変化が生じている可能性が示唆されました。
【研究成果のポイント】
全国の約3,000人を対象とした住民調査を実施し、パンデミック前・中・後の「症状出現時の受療行動」を比較しました。
パンデミック収束後も、診療所や一般病院への受診はパンデミック前の約6割にとどまり、完全には回復していないことが明らかになりました。
若年層、女性、高所得層、慢性疾患のない層では、診療所受診の回復が特に遅い傾向を示しました。
一方、パンデミック収束後の救急外来受診は、パンデミック前より増加傾向にありました。
感染不安の持続、軽症時の自己判断、OTC薬などのセルフケア志向が背景にある可能性があり、受療行動の長期的・構造的変化を示す結果となりました。
本研究は、レセプトデータでは見えにくい「症状出現時の受療行動」を直接調査した点に特徴があります。パンデミック後の受療行動の変化を正確に把握することは、プライマリ・ケア体制の構築や医療アクセスを確保するための政策立案に不可欠です。本研究は、アフターコロナの持続可能な医療提供体制を検討する上での一つの科学的基盤を提供するものです。
本研究成果は、2025年10月30日、Journal of General and Family Medicineに掲載されました。
【論文情報】
Aoki T, Matsushima M. Lingering Effects on the Ecology of Medical Care After the COVID-19 Pandemic: A Nationwide Repeated Cross-Sectional Study in Japan. J Gen Fam Med. 2025. doi: 10.1002/jgf2.70080
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