ワインやチョコレートの渋みで記憶力向上、感覚刺激で作用と判明 芝浦工大、フラバノールの脳作用メカニズムを解明
配信日時: 2025-10-31 13:45:00

芝浦工業大学(東京都江東区/学長 山田 純)システム理工学部の越阪部奈緒美教授(食品栄養学研究室)らの研究グループは、チョコレートや赤ワインなどに含まれるフラバノールの渋みが感覚刺激として脳に信号を送り、即座に記憶や覚醒に関わる神経系を活性化することを明らかにしました。
従来、食品成分が脳に作用するには、消化・吸収を経て血中に移行する必要があると考えられてきました。しかしフラバノールは生体利用率(血中への吸収率)が極めて低く、脳への作用を説明することが困難でした。研究では、実験でフラバノールをマウスに一度だけ投与したところ、青斑核(LC)を中心とするノルアドレナリン神経系が即座に活性化し、運動量や短期記憶の向上、ストレス応答の活性化が確認されました。さらに、脳内のノルアドレナリンやドーパミンの増加も観察されました。
この成果は食品の味や感覚が脳や自律神経に影響を与える可能性を示しており、今後の健康食品開発や感覚栄養学の発展に貢献することが期待されます。
■ポイント
●フラバノールの渋みが感覚刺激として神経を介し、記憶や覚醒に関わる脳内ネットワークを即座に活性化することを実証
●従来の食品成分の吸収モデルでは説明できなかった脳作用の新たな仕組みを解明
●食品の「味」や「感覚」が脳や自律神経に影響を与える可能性を示し、感覚栄養学や健康食品開発への応用に期待
画像1: https://www.atpress.ne.jp/releases/554538/LL_img_554538_1.png
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■フラバノールの脳への影響は知られているも、仕組みは不明
赤ワインやチョコレートに含まれる「フラバノール」は、渋み(収斂(しゅうれん)性)を持つ代表的なポリフェノール化合物です。先行研究で海馬依存性記憶を回復させる効果が実証されていて、認知機能の改善の可能性も示唆されています。しかし経口摂取したフラバノール自体は生体利用率が低く血中濃度も微量で、どのように脳や神経に作用しているのかの仕組みは、不明でした。
■「味覚」が脳に直接信号を送る可能性に着目
本研究では、フラバノールの「渋み」という感覚刺激が、口腔や腸の神経を介して脳に信号を送る可能性に着目しました。マウスにフラバノールを一度だけ経口投与したところ、脳の青斑核(LC)が即座に活性化し、ノルアドレナリンやドーパミンなどの神経伝達物質が増加。これにより、記憶力や覚醒状態の向上、ストレス応答の活性化が確認されました。
■今後の食品開発への貢献に期待
今回の成果は、食品の「味」や「感覚」が脳や自律神経に影響を与える可能性を示しており、感覚栄養学(Sensory Nutrition)という新しい研究分野の発展にもつながります。今後は、味や食感を活かした機能性食品の開発や、認知機能やストレスケアを目的とした食事設計など、健康維持・増進に向けた応用が期待されます。
■論文情報
論文タイトル:Astringent flavanol fires the locus-noradrenergic system, regulating neurobehavior and autonomic nerves
著者(本学関係者を抜粋):藤井靖之(芝浦工業大学 SIT総合研究所 特任研究員)、篠田佳亮(芝浦工業大学大学院博士課程 機能制御システム専攻2025年修了)、大和悠希(芝浦工業大学大学院修士課程 システム理工学専攻2025年修了)、坂田和生(同2025年修了)、牟田織江(同2025年修了)、長田裕太(芝浦工業大学大学院博士課程 機能制御システム専攻2025年修了)、小野杏史佑(芝浦工業大学大学院博士課程 機能制御システム専攻2025年修了)、安住瑞妃(芝浦工業大学大学院 システム理工学専攻1年)、越阪部奈緒美(芝浦工業大学システム理工学部 教授)
掲載誌:Current Research in Food Science(Volume 11, 2025, 101195)
DOI: https://doi.org/10.1016/j.crfs.2025.101195
■芝浦工業大学とは
工学部/システム理工学部/デザイン工学部/建築学部/大学院理工学研究科
https://www.shibaura-it.ac.jp/
理工系大学として日本屈指の学生海外派遣数を誇るグローバル教育と、多くの学生が参画する産学連携の研究活動が特長の大学です。東京都(豊洲)と埼玉県(大宮)に2つのキャンパス、4学部1研究科を有し、約9,500人の学生と約300人の専任教員が所属。2024年には工学部が学科制から課程制に移行。2025年にデザイン工学部、2026年にはシステム理工学部で教育体制を再編し、新しい理工学教育のあり方を追求していきます。創立100周年を迎える2027年にはアジア工科系大学トップ10を目指し、教育・研究・社会貢献に取り組んでいます。
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