雄性不稔(無花粉)スギ「春凪(はるな)」を開発しました ― 花粉症対策品種の充実に貢献 ―
配信日時: 2025-03-13 15:00:00
静岡大学農学部の花岡創 准教授の研究グループは、静岡県農林技術研究所森林・林業研究センター、神奈川県自然環境保全センター、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所林木育種センターと共同で、花粉の出ない雄性不稔スギ(通称: 無花粉スギ)個体を選抜しました。また、選抜個体を「春凪(はるな)」と命名し、森林総合研究所が設置する優良品種・技術評価委員会に申請して優良品種(無花粉スギ品種)として評価されました。
【研究のポイント】
・成長に優れ、材質や通直性、さし木発根性にも欠点がない雄性不稔スギを選抜しました
・選抜された個体(春凪)は、優良品種として評価されました
・将来的な林業への活用、あるいは、新たな無花粉スギ品種開発のための育種素材として活用できます
スギ花粉症は日本における深刻な社会問題の一つであり、花粉の出ない無花粉スギ品種の開発と普及は、花粉発生源対策として極めて有効と期待されます。しかし、現状では無花粉スギ品種の数は少なく、遺伝的多様性の確保や新たな品種を開発するための育種素材として、無花粉スギ品種の充実が望まれます。
スギの雄性不稔は、一つの遺伝子の変異に起因して生じ、この雄性不稔遺伝子を持つ個体同士を交配させることで作出することができます(図-1)。本研究では、雄性不稔遺伝子をホモ接合型(aa)で保有する神奈川県の田原1号と、雄性不稔遺伝子をヘテロ接合型(Aa)で保有する静岡県の大井7号の人工交配家系から、雄性不稔かつ成長や材質、通直性、さし木発根性など、林業用品種として求められる性能にも欠点がない個体を選抜しました。
この家系材料は、2010年に神奈川県自然環境保全センターと静岡県森林・林業研究センターが共同で作出したものであり、その後、静岡県森林・林業研究センターがそれらの性能を評価するための試験地を造成し、育成してきました。2023年から、静岡大学と林木育種センターがその調査や統計解析、無花粉であることの確認等を共同で行い、優良な1個体の選抜に至りました(図-2)。この選抜個体を、森林総合研究所林木育種センターが設置する優良品種・技術評価委員会に4機関で申請し、2025年1月28日に開催された委員会において優良品種の品種評価基準を満たしていると評価されました。
今回の品種申請にあたって、選抜した雄性不稔スギ個体の名称を静岡大学内で公募しました。合計106件の応募があり、申請者4機関で審査した結果、静岡大学理学部の2年生、星野優樹斗(ほしのゆきと)さんからの案である「春凪(はるな)」が採用されました。この名称には、「春:いままで花粉症に苦しめられてきた時期に、凪:静かでゆったりと暮らすことができるようになる」という思いが込められています。
今後、この春凪は、静岡県等での林業への活用のほか、既存の優良品種と交配させ、新たな無花粉スギ品種を作出するための育種素材として活用するなど、スギ花粉発生源対策に役立てていくことができます。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/96787/59/96787-59-ff81e9a16c9edc94cadf39ec4de78497-319x352.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図-1:雄性不稔遺伝子の遺伝性と雄性不稔となる仕組み
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/96787/59/96787-59-a15a4c8638b1d6d1ee0415b5f839f504-334x597.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図-2:試験地で撮影した春凪のクローン個体
研究者コメント
静岡大学農学部 准教授・花岡 創(はなおか そう)
神奈川県と静岡県の努力が、約15年の歳月をかけて実を結びました。そのお手伝いをできたことをとても嬉しく思います。このような成果が、皆さんに林木育種を知っていただくきっかけに なれば幸いです。
【研究助成】
本研究は、静岡大学プロジェクト研究所「山岳先端情報システム研究所」と静岡県農林技術研究所森林・林業研究センターとの共同研究契約に基づき、実施されました。
【用語説明】
雄性不稔:正常に花粉を形成できない現象のこと。
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