OpenAI、電力逼迫時にデータセンターの需要抑制へ ジョージア州で最大1000MW

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OpenAIは2026年11月2日、電力網の需給が逼迫した際に、今後建設するコンピューティング拠点の電力需要を抑える「Grid Protectors Program」を発表した。ジョージア州で計画する拠点の最大1000MWの需要抑制契約を先行事例に、電力会社や規制当局と地域ごとの取り決めを進める。
■ジョージア州の契約を全米展開のモデルに
先行案件は、ジョージア州エフィンガム郡の「Project Camellia」だ。ジョージア・パワーが2026年7月22日に発表した25年間の契約では、計画上の電力需要約3200MWに対し、最大1000MWのデマンドレスポンスを提供する。削減可能な規模は、計画需要の約31%に相当する。
契約により、ジョージア・パワーは需要が高まる一定の時間帯に、拠点への電力供給を減らせる。同社はこれを、米国内でも最大級の単一施設による需要抑制契約の一つと説明している。OpenAIの試算では、1000MWは米国の約70万世帯の平均的な電力需要に相当する。
ジョージア・パワーは8月26日、この電力供給契約が州公益事業委員会の規制手続きで承認されたと発表した。OpenAIは、計画に必要なインフラと電力供給の費用を全額負担するとしている。拠点は開発段階にあり、需要抑制は稼働後に実施する。
全米プログラムでは、削減量、応答速度、継続時間を電力会社と協議し、拠点ごとに条件を定める。Axiosによると、OpenAIのエネルギー政策責任者ジョン・マカリック氏は、業界の考え方の変化、技術の進歩、地域社会の声を取り組みの背景に挙げた。
■需要側で電力網を支える仕組み
デマンドレスポンスは、電力の需給状況や価格などに応じて、需要家が使用量や使用時間を変える仕組みだ。供給が厳しい時間帯の需要を減らせば、電力網の需給調整を助けられる。AIデータセンターでは、処理の優先順位を保ちながら電力利用を調整することが重要になる。
需要を時間帯ごとに調整する考え方には長い歴史がある。英国で1978年に導入された「Economy 7」は、夜間7時間の電気料金を低く設定し、蓄熱暖房などの夜間利用を促す料金制度だった。1985年にはエネルギー専門家のエイモリー・ロビンス氏が、省エネによって不要になる電力を「ネガワット」として捉える考え方を論じている。
大口の産業需要家も、電力需要の調整に参加してきた。ニュージーランドの電力会社メリディアン・エナジーが2024年に発表したアルミニウム精錬所との契約には、25~185MWの需要抑制オプションがある。精錬所では製造工程の状態や抑制時間に応じた制約があり、AIでは処理ごとの遅延許容度やサービス要件に応じた制御が必要になる。
米国では2005年エネルギー政策法がデマンドレスポンスの普及を政策として掲げた。連邦エネルギー規制委員会(FERC)は、卸売市場での報酬ルールなどを整備し、2020年の命令第2222号では、需要調整を含む分散型エネルギー資源を束ねて市場に参加させる制度を定めた。
■英国では96基のGPUクラスタで最大40%削減
AI処理の電力調整については、英国で具体的な実証結果が公表されている。National Grid、Emerald AI、米電力研究所(EPRI)、クラウド事業者Nebius、NVIDIAは、2025年12月にロンドンのNebius施設で5日間の試験を実施した。対象はNVIDIA Blackwell Ultra GPUを96基備えたクラスタだった。
National Gridが2026年3月2日に公表した結果によると、200件を超える模擬的な電力調整要求に対応し、重要な計算処理を維持しながら、クラスタの消費電力を最大40%削減した。NVIDIAも、1分未満で最大40%の削減を達成したと説明している。
突発的な発電能力の喪失を模した緊急試験では、約30%の負荷を40秒未満で削減した。研究チームが6月に公開した技術論文では、長時間の試験について、2~10時間にわたる10~40%の削減要求に対応し、優先度の高い処理ではほぼ通常どおりの処理性能を保ったと報告している。
制御にはEmerald AIのソフトウェア「Emerald Conductor」を使った。研究チームの説明では、電力網から受け取る削減目標や継続時間を、GPUの電力上限と処理スケジュールの調整に変換する。応答時間が重要な推論などを優先し、延期や減速が可能な学習・バッチ推論の処理を調整する仕組みだ。
National Gridによると、Emerald AIの最高経営責任者バルン・シバラム氏は、現実的な数十種類のAI処理を使って緊急時の素早い抑制と継続的な需要削減を検証し、より大きな施設にも拡張できると説明した。需要抑制を電力網の調整力として活用するうえで、削減量に加え、応答速度、継続時間、処理性能を合わせて評価する手掛かりになる。
■増大する電力需要と地域社会の反応
データセンターの電力需要は拡大が見込まれている。Goldman Sachs Researchは2026年3月の分析で、世界のデータセンター電力需要が2030年に2023年比で220%増えると予測した。
米ローレンス・バークレー国立研究所の「米国データセンター電力使用報告・2025年更新版」では、2024年の米国のデータセンター電力使用量を192TWh、国内全体の4.7%と推計している。2030年の基本シナリオは649TWh、全体の11.8%で、複数の不確実性を合わせた推計範囲は9.5~15.3%だ。
テキサス州の電力網を運用するERCOTが2025年の送電計画で用いた2031年のピーク需要は約159GWだった。一方、2026年7月22日の実際のピーク需要は暫定値で91.134GWに達した。需要予測は、データセンターなどの大型案件について、接続申請量と実際の稼働見込みをどう織り込むかによって変わる。
地域での建設には反対も多い。Gallupが2026年3月2~18日に実施し、5月に公表した調査では、米国人の71%が居住地域へのAIデータセンター建設に反対し、48%が強く反対した。同じ調査で、近隣への原子力発電所建設に反対した割合は53%だった。
■各州で進む許認可と税優遇の見直し
ニューヨーク州のキャシー・ホークル知事は2026年7月14日、州知事行政命令第62号に署名し、大規模データセンターに関する州環境保全局の一定の許認可手続きを一時停止した。対象は、50MW以上を使用するか使用可能な施設のうち、命令で定める条件に該当する新設・拡張案件だ。
停止対象は、同局が命令前に申請書類の完備を認めていなかった裁量的な許認可などで、自治体の許認可は対象から除かれる。州政府は最大1年間の停止と説明している。命令によると、2026年5月時点でニューヨーク独立系統運用機関(NYISO)の接続待ち案件には、約12GWのデータセンター需要が含まれていた。
メイン州では、ジャネット・ミルズ知事が4月24日、大規模データセンターの許認可を一時停止する法案に拒否権を行使した。ジェイの旧製紙工場跡地で進む計画への適用除外が盛り込まれていなかったことを理由に挙げた。その後、州知事行政命令で15人の諮問評議会を設置し、別途、データセンター事業を州の事業開発税優遇制度から除外する法律に署名した。
アリゾナ州では、2026年6月に成立した予算に、データセンター向け税優遇の新規申請を3年間停止する措置が盛り込まれた。公共ラジオ局KJZZによると、申請の受け付け停止は7月1日に始まった。
■契約条件と運用実績が今後の焦点
他社もデータセンターの需要調整を進めている。Googleは2025年にIndiana Michigan Powerとテネシー川流域開発公社(TVA)との契約を発表した。2026年3月には、Entergy Arkansas、Minnesota Power、DTE Energyを加え、電力会社とのデマンドレスポンス契約が合計1GWに達したと公表している。
需要調整には、電力会社との個別契約や卸売市場への参加などの形がある。FERCの2011年の命令第745号は、需給調整能力と費用対効果などの条件を満たす需要削減に、卸売市場の地点別限界価格で報酬を支払うルールを定めた。連邦最高裁は2016年、この命令を6対2で支持した。
OpenAIは今後、地域の条件や設備に応じ、敷地内の発電・蓄電設備からの電力供給や、蓄電池と電力制御による需要変動の緩和も検討する。発電・送電設備への投資と需要調整を組み合わせる方針だ。各拠点で合意する削減量、応答速度、継続時間と、その条件に沿った運用実績が、取り組みを評価する焦点になる。
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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