伊藤潤二の実写ドラマ「ストレンジ」が海外配信 「あばら骨の女」「死びとの恋わずらい」の見どころ

(Tv-tokyo.co.jp)[写真拡大]
伊藤潤二の漫画を実写化したドラマ「ストレンジ -伊藤潤二の夜も眠れぬ奇妙な話-」が、英語題「Strange: Junji Ito’s Tales for Sleepless Nights」として10月2日にHBO Maxで海外配信を開始した。日本ではテレビ東京系で7月に放送が始まり、9月に終了した。異なる怪異を描く作品群の中でも、「あばら骨の女」と「死びとの恋わずらい」は、身体への願望と、言葉が人に及ぼす影響をそれぞれ際立たせる。
■日本で放送された伊藤潤二の実写アンソロジー
テレビ東京の番組情報によると、国内では伊藤の作品を選んだオムニバス形式のドラマとして放送され、最終回は第11話だった。原作には『伊藤潤二傑作集』と『魔の断片』の作品が含まれる。物語によって出演者や監督が変わり、「死びとの恋わずらい」は複数の回に分けて描かれた。
当初第1話に予定されていた「幻痛屋敷」は放送が見送られ、「死びとの恋わずらい -四つ辻の美少年-」が第1話となった。日本ではテレビ東京が、LeminoとU-NEXTで第1話からの見放題配信を案内している。海外でのHBO Max配信に先立ち、7月には米国のAnime Expoで一部エピソードが上映された。
伊藤は漫画家になる前に歯科技工士として働いていた。本人はファミ通の対談で、学校で学んだ歯牙解剖学をきっかけに解剖学を意識するようになったと語っている。2025年7月にはアイズナー賞の殿堂入りも果たした。
■「あばら骨の女」が映す、美しさへの憧れ
第4話「あばら骨の女」では、齊藤なぎさが演じる女子大生ユリが、兄の恋人・瑠璃子の腰のくびれに憧れる。瑠璃子は不気味な弦の音におびえ、やがてあばら骨を失った姿で発見される。その音はユリの周囲にも響き始め、美しさへの憧れが怪異へとつながっていく。
下津優太が監督したこの回は、7月22日にカナダ・モントリオールのファンタジア国際映画祭で世界初上映された。同じく下津が監督した第7話「顔泥棒」も、7月29日に同映画祭で上映された。ファンタジアの紹介文は、ユリの体形への悩みと、瑠璃子をめぐる異変を作品の入口としている。
Inverseの批評家ケイティ・ライフは「あばら骨の女」について、原作の不気味さに迫る映像化と評価した。一方、登場人物だけに聞こえる不穏な音の扱いなどには改善の余地も指摘している。身体の内側で起こる異変を、動く映像と音でどう表すかが、この回の見どころだ。
■肋骨をめぐる現実の研究
美容目的で下位の肋骨を切除する手術は、医学論文にも症例が報告されている。第11・第12肋骨は、前方で胸骨につながらない「浮遊肋」と呼ばれる。第10肋骨を含む一部を切除する手法も報告されているが、手術の範囲や方法は一様ではない。
実例として、モデルのピクシー・フォックスは2015年に左右の第10~第12肋骨、計6本の一部を切除する手術を受けたと、執刀医のバリー・エプリーが説明している。作品では、骨格にまで手を加えたいという願望が、ユリの目に映る怪異と重ねられる。美容上の理想と身体の内側を結び付ける点に、現実の手術との発想上の接点がある。
研究面では、2023年に浮遊肋切除を受けた5人の症例報告が発表された。2025年の系統的レビューは、肋骨の切除と形を変える手術に関する8研究、計444人を検討し、追跡期間を3~6カ月と報告している。肋骨を切らずに形を変え、固定具を用いる手法については、RIBOSS-01という観察研究も登録されている。
■「死びとの恋わずらい」の辻占と霧
「死びとの恋わずらい」は、第1話、第8話、第9話にわたって描かれる。細田佳央太が演じる深田龍介が訪れた霧深い町では、四つ辻で通行人に恋の行方を尋ねる「辻占」が広まっている。四つ辻に現れる美少年の言葉をきっかけに犠牲者が増え、龍介はその正体を追う。
辻占は、道を行く人の言葉や様子から吉凶を読む日本の占いだ。大阪府東大阪市の瓢箪山稲荷神社は、辻占に用いる場所と方法を紹介し、占いの紙を入れた煎餅が作られてきたことも伝えている。ドラマでは、霧が四つ辻を日常から切り離し、誰の言葉が運命を左右するのかという不安を強める。
社会学者デビッド・フィリップスが1974年に論じた「ウェルテル効果」は、報道された自殺の後に模倣が起こり得るという現象を指す。世界保健機関も、自殺に関する情報の伝え方がその後の行動に影響し得るとして、報道上の配慮を求めている。四つ辻の美少年の言葉が町に広がる物語は、言葉や噂が人の行動に作用するという発想から読み解ける。
研究の数字は、それぞれ対象と測り方を踏まえて読む必要がある。42研究を分析した論文の「14.3倍」は、著名人の自殺を扱う研究で模倣効果が見つかる割合についての比較だ。また、職場の同僚を対象とした研究の「33.3%増」は、対象者を長期に追った推計である。いずれもドラマの登場人物に当てはめる数字ではなく、情報や人間関係を通じた影響を考えるための背景となる。
■静止画の恐怖を映像と音へ
伊藤の漫画では、見慣れた人体や街並みの細部が少しずつ変わることで、不穏さが積み重なる。「あばら骨の女」は身体の輪郭と弦の音を、「死びとの恋わずらい」は霧と四つ辻に集まる人々の言葉を使い、それぞれ異なる方法でその感覚を実写へ移している。
2023年にはNetflixでアニメ「伊藤潤二『マニアック』」が配信され、2024年にはアニメ「Uzumaki」も公開された。今回の「ストレンジ」では、独立した短編と複数回にわたる物語を、俳優の演技、美術、音響を通して見ることができる。伊藤作品の恐怖が画面の動きや間によってどう変わるかも、見比べる手掛かりになる。
元記事: Junji Ito’s Strange Hits HBO Max: Horror Manga Described Rib Removal Surgery 25 Years Before Trials
※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。
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