UMGとElevenLabs、認可型AI音楽プラットフォームを共同開発 ファンによるリミックスに対応へ

2026年9月12日 11:19

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記事提供元:Tech Times

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Universal Music Group(UMG)とElevenLabsは2026年9月10日、AI音楽分野における複数年のライセンス契約と戦略的提携を発表した。両社は、ライセンスを取得した音楽とアーティストの参加を基盤に、ファンがリミックスやマッシュアップなどを制作できる新たなAI音楽プラットフォームを開発する。

新サービスは開発中で、提供開始日、料金、参加するアーティストや楽曲は公表されていない。「パーソナライズされたボーカル体験」も提供するとしているが、具体的な機能や技術的な仕組みは明らかにしていない。

■ライセンスと製品開発を含む複数年契約

今回の契約は、ElevenLabsにとって大手レコード会社との初の提携となる。ライセンス供与だけでなく製品開発も対象とし、ファン向けのAI音楽プラットフォームに加え、アーティストやソングライター向けのAI音声製品も共同開発する。

ファン向けプラットフォームでは、参加するアーティストやソングライターの音楽を使い、リミックス、マッシュアップ、既存楽曲の新たな解釈を制作できるようにする。両社はこれらに加え、「パーソナライズされたボーカル体験」を提供すると説明している。

この表現から具体的にどのようなボーカル生成や編集が可能になるかは、現時点では判断できない。ElevenLabsは音声合成や音楽生成の技術を持つが、発表ではアーティストの声を複製して任意の楽曲を歌わせる機能までは明記されていない。

新プラットフォームは、ElevenLabsが既に提供している音楽関連製品とは別のサービスとして展開される。既存製品には、開発者や企業向けに音楽生成モデルを提供するMusic APIと、オリジナル曲の生成や編集に対応するElevenMusicがある。

■音声AIから音楽生成へ事業を拡大

ElevenLabsは、テキスト読み上げ、音声合成、吹き替え、音声対話などを中心に事業を展開してきたAI企業である。近年は音楽生成にも事業領域を広げ、テキストや歌詞、楽曲のイメージなどを基に音楽を生成・編集する製品を提供している。

同社が2026年5月に発表した音楽生成モデル「Music v2」は、ボーカル、楽器構成、アレンジ、複数言語への対応を改善した。楽曲の一部分だけを作り直すインペインティングや、イントロ、バース、コーラスといったセクションごとの構成にも対応する。

ElevenLabsは、同社の音楽モデルについて、ライセンスを取得したデータで学習したと説明している。同社はこれまでに、独立系レーベルなどを代表するMerlinや音楽出版社のKobaltを含む音楽権利者との契約を進めてきた。今回のUMGとの提携は、こうしたライセンス重視の方針を大手レコード会社との製品開発に広げるものとなる。

■AI音楽をめぐる訴訟とライセンス契約

生成AIによる音楽制作をめぐっては、学習データへの録音物の使用が著作権侵害に当たるかが争われてきた。2024年6月には、UMG、Sony Music Entertainment、Warner Music Groupの関連レコード会社が、全米レコード協会の調整の下、音楽生成AIを提供するSunoとUdioを米国の連邦裁判所に提訴した。

その後、UMGは2025年10月にUdioと和解し、ライセンスに基づくAI音楽サービスの開発で合意した。Warner Music GroupもUdioおよびSunoとの訴訟を和解し、Sunoとは2025年11月にライセンス提携を発表した。

一方、すべての訴訟が終結したわけではない。Sony MusicはUdioとの係争を続けており、2026年7月には、Udioが許可なく音楽生成モデルの学習に使用したとSony側が主張する3万117件の録音を対象に、別の訴訟を提起した。UMGとSonyの関連会社によるSunoへの訴訟も継続している。

UMGとElevenLabsの契約は、両社間の訴訟を解決するための和解として発表されたものではない。ElevenLabsが以前から権利者との契約を進めていたこともあり、係争後に構築された一部の提携とは異なる経緯を持つ。

■「パーソナライズされたボーカル体験」に残る未定事項

今回の発表で特に注目されるのが、「パーソナライズされたボーカル体験」という機能である。音声生成技術を手掛けるElevenLabsとの提携であることから、アーティストの声や歌唱表現を生かした機能が想定されるものの、利用できる素材、生成可能な内容、出力物の公開範囲などは示されていない。

発表では、プラットフォームをライセンス済みの音楽とアーティストの参加に基づいて構築するとしている。ただし、参加手続き、権利許諾の単位、生成物の権利関係、アーティストやソングライターへの報酬算定方法については公表していない。

音声や容貌を本人の許可なくAIで再現する行為については、米国でも法整備が議論されている。個人の声や外見を非常に写実的に再現したデジタル・レプリカを対象とする「NO FAKES Act of 2026」は、2026年6月に米上院司法委員会で承認されたが、記事公開時点では成立していない。同法案には、無許可のデジタル・レプリカに対する連邦レベルの権利や救済手続きが盛り込まれている。

欧州連合では、AI法第50条の透明性義務が2026年8月2日から適用されている。合成された音声、画像、映像、テキストを生成するAIの提供者には、一定の例外を除き、出力を機械で検出可能な形式で示すことが求められる。また、ディープフェイクに該当する音声や映像などを利用する側には、人工的に生成または操作されたことを開示する義務がある。欧州でサービスを提供する場合、ライセンスの取得に加えて、こうした透明性要件への対応も必要になる。

■UMGが進めるAI企業との提携

UMGは、生成AIを一律に排除するのではなく、権利者との契約やアーティストの関与を前提とした提携を複数進めている。UdioとのAI音楽サービス開発のほか、ファン向けリミックスサービスを手掛けるHookなどとも協業してきた。

UMG会長兼CEOのLucian Graingeは、AIと音楽の可能性について、アーティスト、ソングライター、ファンを中心に置くことが重要だと説明した。責任あるAIは音楽との新たな出会いを促し、アーティストとファンの関係を深め、創作に関わる人々に新しい収益機会をもたらし得るとの考えを示している。

ElevenLabs共同創業者兼CEOのMati Staniszewskiは、UMGのコミュニティーと権利管理の専門性をElevenLabsのAIモデルや製品と組み合わせることで、アーティストやソングライターがファン向けの新しい体験を生み出し、公正な報酬を得られるようにすると述べた。

ElevenLabsは2026年2月、シリーズDで5億ドルを調達し、企業評価額は110億ドルとなった。同社発表では、2026年の最初の4カ月で年間経常収益が5億ドルを超えたという。大手レコード会社との契約は、音楽分野で事業を拡大する同社にとって、権利処理を前提とする製品開発を具体化する重要な足掛かりとなる。

■演奏者への報酬をめぐる別の争点

大手レコード会社がAI企業と結ぶライセンス契約では、録音に参加した演奏者への報酬も争点となっている。American Federation of Musicians of the United States and Canada(AFM)は2026年6月、UMGやWarner Records、Atlantic Recordingを相手取り、SunoやUdioとの契約をめぐる訴訟を提起した。

AFMは、組合員が演奏した録音物をAIの学習や音楽生成に利用する許諾が、労働協約上の「新たな利用」に当たり、レコード会社には演奏者への支払いと組合への通知義務があると主張している。これに対し、レコード会社側は契約上の支払い義務を争っており、裁判所による最終的な判断は示されていない。

今回のUMGとElevenLabsの契約について、セッション演奏者を含む関係者への報酬配分は明らかにされていない。両社はアーティストとソングライターが価値を共有し、公正な報酬を受け取れるようにするとしているが、具体的な対象者や算定方法は今後の注目点となる。

■開始時期や料金は未発表

新プラットフォームでは、参加アーティストやソングライターの音楽を使ったリミックス、マッシュアップ、新たな楽曲解釈、パーソナライズされたボーカル体験を提供する予定である。既存のMusic APIやElevenMusicとは別に提供されることも確認されている。

一方、提供開始日、対応地域、料金体系、利用条件、参加アーティスト、利用できる楽曲、生成物を外部へ公開できるかといった詳細は公表されていない。参加する権利者への報酬制度についても、両社は公正な報酬を確保する方針を示すにとどまっている。

ライセンスを取得した楽曲でファンがAIを使った共同創作を楽しめる環境は、音楽配信を聴くことから、楽曲に創作的に関わることへ体験を広げる可能性がある。実際にどの程度の機能が提供され、アーティストとファンの双方に受け入れられるかは、今後発表される仕様や参加者、権利管理の設計に左右されそうだ。

元記事: ElevenLabs Signs First Lawsuit-Free AI Music Deal with UMG: Fans Get Remix Platform

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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